株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川あゆみ)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、SHIBUYA109 lab.独自ネットワークに所属するaround20(15~24歳)を対象に、「ジェンダーに対する意識調査」を行いました。
これまでのSHIBUYA109 lab.調査では、Z世代は社会課題に関心が高く、特に「ジェンダー」への課題解決意欲が高いことがわかりました。
今回は、来たる6月のプライド月間を前に、Z世代のジェンダーやLGBTQ+に関する意識について、SHIBUYA109 lab.独自ネットワークに所属するaround20(15~24歳)を対象に調査を行いました!
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【調査方法】
①WEB調査
対象:SHIBUYA109 lab.独自ネットワークでのアンケート回収
年齢:15〜24歳
回答者数:222名
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
グループインタビュー
対象者条件:高校生・大学生 1G 合計4名
その他過去定性調査をもとに考察
※調査内容監修:アートディレクター 五十嵐LINDA渉さん(TWINPLANET)
Instagram:https://www.instagram.com/watarulindaigarashi/?hl=ja
公式HP:https://watarulindaigarashi.tokyo/
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まず、LGBTQ+の認知状況について聞いたところ、「詳しく説明できる(9.5%)」、「名称と特徴程度を知っている(47.3%)」、「名称のみ知っている(19.4%)」と認知率は76.2%となりました。
次に、普段のLGBTQ+に関連した行動を聞いたところ、「ニュースを見る(30.6%)」、「SNSでLGBTQ+について知る(30.2%)」、「友達と話す(25.2%)」と続き、理解を深めるための行動が多い結果となりました。
グループインタビューでは、「情報収集も発信もTwitterを使っている。Twitterはリツイートで自分の意見も一緒に発信できるので活用している。その発信に対して友達もリプライをくれる」「Twitter上でLGBTQ+について発信している大学生にDMで声をかけ、LGBTQ+理解のためのイベントを開いた」などSNSを活用した積極的な情報収集、発信が聞かれました。またこの数年で、動画配信サービスやTikTokなどを中心としたSNSで、ジェンダー平等やLGBTQ+に関する情報を投稿する人も増加したことから、「LGBTQ+の当事者(22.5%)」や「インフルエンサー(21.6%)」の数値も注目するポイントです。
実際にグループインタビューでも、「アリアナ・グランデが好きで、LGBTQ+に関する発信を行っていて影響を受けた。自分が好きな人、推している人が発信することですんなりと情報が入ってくるので、有名人がもっと発信したらいいと思う」という声も聞かれました。
LGBTQ+に関して情報収集や発信も行うZ世代ですが、身近な人とはどのような関り方をしているのでしょうか。身近な人にLGBTQ+であると伝えられたらどう思うかを聞いたところ、約半数が「理解したいと思う」、「今まで通り接すると思う」、「信頼してくれてうれしいと思う」と回答しました。一方、「距離を置きたいと思う」は0%となり、否定的な意見は少ない結果となりました。
グループインタビューでは、「所属しているサークルにLGBTQ+の友人がいるが、特別な接し方はしない」「学校にLGBTQ+の友人がいるが、それがイレギュラーなことではなく、他の人と変わらない」といった話も聞かれました。Z世代はニュースやSNS、周りの友達との会話などを通しLGBTQ+に関する情報に触れています。オフライン・オンラインの両方でコミュニケーションを生み出すことで、理解を深めるタイミングを多く持っているため、 彼らにとってLGBTQ+は特別ではなく、自然な存在として捉えられています。
Z世代はLGBTQ+に対して自然な存在と考えていますが、親世代や社会全体とのギャップをどのように感じているのでしょうか。Z世代視点から見た各世代別の理解度について聞いたところ、同世代は63.0%、親世代は24.3%、社会全体は23.9%と、同世代と比較し、親・社会の間で理解度に2倍以上の乖離があると感じている結果となりました。
LGBTQ+に対する課題についても「親や親世代の知識・理解が足りていない(47.3%)」、「政府・企業など社会からの知識・理解が足りていない(45.0%)」、「LGBTQ+に対する支援が少ない(35.1%)」などが上がりました。
グループインタビューでは、家族ともLGBTQ+について話題にする方もいましたが、「親は固定概念が強いため、LGBTQ+に対する理解度が低いと感じ、話しにくい」といった声も聞かれています。
また、社会に対しては、「LGBTQ+に関連したニュースを見ると社会の理解も低いように感じるが、ニュースに取り上げられることで課題が伝わるのは良いと思う。目上の人や社会に対して変わるように働きかけるのは難しいところもあるので、自分たちが下の世代に対して理解や個人の考えを認め合うことを広めていきたい」といった話が聞かれ、下の世代に目線を向けた意見もあがりました。
そして、家族や社会だけでなく、Z世代の中でもいくつか課題があるようです。
LGBTQ+に対して理解していること・したいことをどのように伝えたいかを聞いたところ、 「アクションをしたいが、どのようなアクションをすべきかわからない(32.4%)」が1位となり、2位「SNSなどで発信する(31.1%)」、3位「LGBTQ+の友人を作り対話し、身近なところからの理解を進めたいと思う(21.6%)」と続きました。
グループインタビューでも「普段はLGBTQ+の子が周りにいるので話しやすいが、他のコミュニティだと話しにくい。もう少し気軽に話したい」という環境の違いからくる、LGBTQ+理解度の差異に悩む声や、「どのようなアクションをすべきかわからないし、LGBTQ+の方を自然ととらえたいと考えているが、逆にアクションを取らない方がよいのではないかと考えてしまう。正解がわからない」という意見が聞かれ、自分たちの具体的なアクションの仕方に関する課題が見受けられました。
日常でジェンダーやLGBTQ+関連で違和感を持ったシーンや言葉があるか聞いてみたところ、約6割があると回答しました。
具体的なシーンや言葉を自由回答で聴取したところ、「男のくせに泣くな」「女子力高いね」 「恋人の有無を聞くときに、彼女(または彼氏)いる?と聞かれること」など、ジェンダーの固定概念にとらわれる発言に違和感を持つという意見が多く上げられています。
グループインタビューでは、「相手を褒める時は"女子力高い"などではなく、"お菓子作りが得意で器用だね"とか、髪型変えたねとか、その子が工夫しているところを伝える」「ゲイの友達から“ゲイの友達が欲しいと言われるのが、自分という個性ではなくゲイというカテゴリーとして見られているようで嫌だ”と聞いた。悪気があって言っているのではないと思うが、知らないがゆえに傷つけていることがある。その人のパーソナリティに重きを置きたい」など、性別や固定観念で一括りにするのではなく、その人個人に目を向けた言葉を選ぶように心がけている実態が見受けられました。
最後に、今後世の中のスタンダードになって欲しいと思うことを聞いたところ、「男らしさ、女らしさなどではなく、自分らしさを認めてくれる社会(52.3%)」、「決めつけや固定概念や偏見で判断されない社会を目指したい(45.9%)」など、性別や見た目などにとらわれず、「個人」を認め合うことを望む意見が多く見受けられました。
グループインタビューでは、「そもそも性別はグラデーションだと思うので、性別や嗜好の型によって決められた選択肢ではなく、個人が自由で多様な選択が出来るようになって欲しい」「無意識な差別をしないためにも、まずは知識が大切だと思った。行政はもちろん、企業の方が課題に対してスピード感を持って取り組めることもあると思うので、知識や理解を深める場が増えていくといいなと思っている」といった声が上がりました。
日本はジェンダーギャップ指数が世界各国と比べてもまだまだ低い状況にあります。全ての人たちが認め合い、支え合える社会を目指していきたいと考え、今回SHIBUYA109 lab.として実態を調査しました。Z世代は社会課題に関心が高い世代であることが特徴として上げられています。
これは彼らが社会課題の解決が急がれる時代背景のもと生まれ育ったことが影響しており、そして社会課題が彼らのアイデンティティに関わる事項であるためです。
これまでのZ世代を対象とした私たちの調査では、約6割が社会課題解決について関心があると回答しており、SDGsの項目においても「5.ジェンダー平等を実現しよう」に対する解決意欲が特に高いことが明らかになっています。
Z世代にとって、ジェンダー平等を実現することは、彼らが望む固定概念や偏見から解放された「個人」を認め合う社会を実現する第一歩に位置づけられるのではないでしょうか。
また昨今の個人のダイバーシティや選択を阻害するような時事問題において、親世代の理解度や課題に向き合う姿勢にギャップを感じるシーンに直面することも増えているようです。Z世代の間では「多様な選択肢から個人が選択する自由」を無意識に迫害することがないよう課題に関する知識や理解を深めるための行動に積極的な姿勢が見受けられますが、世代を問わず、彼らの姿勢が共有できると、課題解決に近づくことができるのではないでしょうか。
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