株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代のSDGsと消費に関する意識調査」を行いました。
SHIBUYA109 lab.では過去にもSDGsに関する調査を行ってきましたが、2年経った今、意識の変化はあったのでしょうか。今回は消費への影響度にも注目しながら、一都三県に住む男女を対象とした定量調査と、定性調査を実施しました。
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【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2022年8月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用(SHIBUYA109 lab.調べ GMOリサーチ プラットフォーム利用の調査)
居住地:一都三県
性別:男女
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・短大・専門学校生
回答者数:400名(男性200名/女性200名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件:大学生 男子4名、女子4名 2G 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
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Z世代に「社会的課題の解決に対して興味関心がありますか?」という質問をしたところ、「関心がある」が41.0%、「すごく関心がある」が15.8%となり、合わせて関心がある回答者は56.8%と半数以上になりました。SHIBUYA109 lab.では、2020年にも同様の質問を実施しており、その際にも関心がある回答者は59%となっていることから、Z世代の社会的課題に関する関心度は、2年間ほぼ同水準で推移していることがわかります。
SDGsへの関心だけではなく自らの行動に関する意識にまで落とし込むと、「(社会的課題解決のために)すでに取り組んでいることがある」という回答が9.3%であるのに対し、「関心はあるが、具体的に取り組んでいることはない」が35.0%、「具体的に取り組んでいることはないが、情報収集している」という回答が27.0%となり、関心はあるものの行動に移せていないようです。
ただし、実際にSDGsや社会課題に関連する行動について「実施したことがあるもの」について聞くと、何らかの行動を起こしている人は7割以上もいました。具体的には、「エコバッグを使う・ビニール袋などを断る」(45.3%)「マイボトルを利用する」(31.5%)、「廃棄を減らすために今あるものを長く大事に使う」(23.8%)などの取り組みが行われています。
グループインタビューでも、事前調査で社会的課題解決に「関心がない」と回答していた参加者が「お店に返却するとお金がもらえる(デポジット式の)レジ袋を使っている」という経験を話したり、「実際問題になっている状況を知らないので、ドキュメンタリーを見たり、リアルな情報を見たりしたい」という意見も出たりするなど、「自分たちのSDGsへの関心・取り組みが不十分だ」という意識がある一方で、実際の取り組みを聞いてみると環境にやさしい活動に積極的な姿勢が見えました。膨大かつ多様な情報に触れる機会の多い現代社会において、社会的課題に対して積極的に取り組み、発信している人を見る機会が多く、その人達比較してしまう傾向にあり、自分の意識や行動を過小評価し、"実際の自分の行動"と "行動への評価"に不一致が生じていると考えられます。
また、普段から「口コミを見て、梱包が過剰そうな商品は買わないようにしている」など、社会的課題を強く意識せずとも、エコフレンドリーな振る舞いがZ世代では当たり前になっていることがうかがえました。
SDGsの中で、Z世代が課題に感じる内容を項目ごとに見ていくと、「日本がより力を入れて取り組むべき課題」としては、「ジェンダー平等を実現しよう(42.8%)」「貧困をなくそう(41.3%)」「働きがいも経済成長も(39.5%)」が上位となり、「多くの企業が取り組むべき課題」としては、「働きがいも経済成長も(34.8%)」「ジェンダー平等を実現しよう(32.5%)」「すべての人に健康と福祉を(29.5%)」が上位となりました。グループインタビューでは、「就活時に『女性活躍』をアピールする企業も増えてきたが、それらを意識して私達が選ばなければいけないという時点で日本はまだまだ過渡期だと感じる」「テレビで見た貧困家庭の様子が他人事ではないと思った」などの意見が聞かれ、より日常の中で身近なトピックに問題意識が集まることが多い傾向にあります。
また環境問題に関しても、「家の周りの川や自然が汚くなってきている」「修学旅行で海外に行った時に飲み水がなくて不便で環境を意識するようになった」など、自らの体験から問題意識を感じている例が多く見られました。
消費行動についてさらに深堀りすると、「SDGsや社会的課題に配慮して商品を購入したことがあるか」、という質問に対し、「購入経験有」という回答が50.1%と約半数になりました。購入経験有という回答のうち28.3%は「意識して買ったことはないが、たまたまそうだった」と回答しており、グループインタビューでも「購入した後に容器がリサイクルできると知って、無意識にSDGsに貢献できていたことを知り、嬉しくなった」「いつも購入しているものが地球に優しい活動につながっていると知ると、これからも買おうと思う。もっとアピールしてほしい」という意見が聞かれ、事前に知らなくても購入後にSDGsへの取り組みを知り、ブランドへの愛着が深まる例が見られました。
また、グループインタビューにて「SDGsや社会的課題に配慮した商品を積極的に買いたいと思うか」と聞いたところ「似た商品で迷った際には、環境に配慮した商品を選ぶ」「商品が並んでいたらラベルレスを選んでいる」という回答が多数見られました。
実際にSDGsや社会的課題に配慮して商品を購入した理由を聞いてみると、上位は「地球や社会に良いことをしたいから(45.5%)」「節約になるから(32.0%)」「似た商品で迷ったので、少しでも地域や社会に良い方がいいと思ったから(28.5%)」という回答となり、積極的にSDGs商品を選ぶほか、購入時に迷った際に購入する基準として考慮されていることがわかります。
一方で、「SDGsや社会的課題に配慮した商品を購入していない理由」を聞いたところ、「値段が高いから(19.5%)」「購入するメリットがよくわからないから(16.0%)」、「どこで売っているのかわからないから(12.5%)」という回答が上位になりました。
そのほか、「SDGsや社会的課題に対して、どういった商品やイベントなら購入・参加しやすくなりますか」という質問に対しては、上位の回答が「価格が安い・ポイントがもらえる(29.8%)」「無理のない値段で始められる(29.3%)」「なぜ地球や社会にいいのかしっかり説明されている(28.5%)」「地球や社会への貢献度が分かりやすい(26.5%)」「節約になる(24.3%)」となり、社会的課題への取り組みに、"金銭面でのメリット"と"情報の透明性や丁寧な説明"が求められていることがわかります。
グループインタビューでも、「ポイントでエコバッグをもらえたので使っているが、購入するかというと微妙。次もポイントで貰えるなら使いたい」「小銭を持つのが嫌いなので、小銭をもらったら募金箱に入れるようにしている」という回答があるなど、自分が享受できるメリットを重視する回答が得られています。さらに、「露骨に環境に良くないものは買わないようにしているが、SDGsに配慮している商品も実情はわからないので、闇雲にSDGsに配慮した新しい商品を購入せず、いつも購入しているものを長く使うように意識している」「SDGsは商品のアピールにもなるので、プロモーションに利用されているのでは?と考えることがある」などの意見が聞かれ、Z世代の情報収集のリテラシーの高さ・慎重さがうかがえました。
SDGsと企業のイメージに関して、「あなたはSDGsや社会的課題に取り組む商品やサービスを取り扱う企業に対してポジティブな印象を受けますか」という質問に、約7割のZ世代がポジティブな印象を受けると回答しており、特に「その企業の商品やサービスを使ってみたい(29.5%)」が最も多くなっていることから、商品の購入意向も高まっていることがわかります。
グループインタビューでは、消費者としてだけではなく、就職先を選ぶ視点においても、SDGsへの意識が企業イメージに影響している声も聞かれました。「SDGsに取り組む企業の方が世の中の流れを把握できている印象がある」「似たような就職先で迷ったら、SDGsに取り組んでいる企業を優先したい」という声があがっています。
また、「SDGs」という言葉に対して「よく聞く・目にする」という回答が76.3%、「イメージはない・よくわからない」という回答が15.5%となったのに対し、「サステナブル・サスティナブル」は「よく聞く・目にする」という回答が46.8%、「イメージはない・よくわからない」という回答が37.5%、「エシカル」に至っては、「よく聞く・目にする」という回答が19.0%、「イメージはない・よくわからない」という回答が64.3%で、言葉を理解していない層が半数以上となり、使用する言葉によって大きく理解度が変わることがわかりました。同じように環境に配慮した商品でも、商品説明やキャッチフレーズに使用する言葉によってZ世代への印象が変わることが予想されます。
グループインタビューでもSDGsに関しては「カラフルなロゴのイメージが強く、『SDGs』というワードもポップで親しみやすいものに感じる」「SDGsと聞くと、地球にとって良いことをしているとわかる」といった発言が多い一方で、「サステナブルは環境に関わるテーマに絞られるイメージ」「SDGsのほうがより範囲が広い気がする」「エシカル消費はあまり聞いたことがない」といった声がありました。
Z世代の社会的課題に対する関心が高いことは2年前の調査結果より明らかになっていますが、近年SDGsに取り組む企業が更に増えたことも影響し、より身近になっている様子がうかがえます。彼らにとってエコフレンドリーであることは当たり前であるものの、「自分よりももっと頑張っている人はたくさんいる」と謙遜する姿勢が強く、自身の社会的課題に対するアクション量への評価は控えめであることも特徴です。就活等での企業を見る視点においては企業のSDGsの取り組みが単なるプロモーションではないか?など、実態も重視しています。社会的課題に取り組むことが当たり前であるZ世代だからこそ、社会的課題に向き合う姿勢に対する評価基準が高いことも考えられます。一方で、Z世代の消費行動における社会的課題への寄与意向は、決して高いわけではありません。彼らは予算や自身へのメリットとバランスを加味し、全ての優先事項がクリアになったうえで「どうせならサステナ」くらいの感覚でおり、SDGsや社会的課題に配慮していることは、あくまで消費における判断軸の内の1つとなっているのが現状です。企業としてSDGsや社会的課題に配慮した商品を提供することは重要ですが、価格やデザイン性など購買判断の中心になる要素をクリアしていることが前提として求められています。
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