株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab. (読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代の仕事に関する意識調査」を行いました。
Z世代社員と接する機会も増え始め、Z世代の考えや接し方を理解したい先輩社員の方も多いのではないでしょうか。今回は働くZ世代を中心にSHIBUYA109 lab.が調査した結果、Z世代社員の仕事に関する意識が明らかになりました。
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【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2023年1月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
居住地:一都三県
性別:男女
年齢:18~26歳
対象:社会人 (SC設問は大学・短大・専門学生・大学院生の就活生も含む)
回答者数:411名(SC設問は652名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件:社会人 男子4名、女子4名 2G 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
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1990年代中盤から2010年序盤に生まれた世代であるZ世代の“年上組”がすでに20代中盤である今、消費者としてはもちろん、ビジネスパーソンとしてのZ世代の価値観を知っておく重要性はますます増しています。仕事上でのコミュニケーションについて、社内の人とプライベートな話を共有したいかという問いに対し、「共有したい」が42.6%、「共有する必要はない」が57.5%と、意見が分かれる結果となり、若者世代の中でも多様な考え方があるとわかります。飲み会に関しては、上司を含めた会社の飲み会は好きかどうかについて「好き(33.4%)」「苦手だ(66.7%) 」となる一方で、同期や同世代の同僚との会社の飲み会が好きかについては意見がほぼ半数ずつに意見が分かれ「好き(50.8%)」「苦手だ(49.1%)」となりました。
グループインタビューでは、「社内イベントは自分でも企画する方だった」「隔週で飲み会を設定してくれている。もちろん強制ではない。飲み会で軽く仕事の話をしておくと、次の日の会議で話しやすくなる」「休日に一緒に買物に行く」という回答がある一方で、「コロナ禍で他人との飲食について、リスク許容度・価値観の違いがあるので、プライベートについて聞かれたら答えるが自分からは話さない」「趣味の話をしたら仕事を休んだ日に『ヲタ活しているのでは?』と詮索されそうで嫌」「同僚のプライベートには興味がない」などの回答が聞かれました。同世代の中でも意識のばらつきが大きく、画一的な対応ではなく、各個人の価値観を反映しながらコミュニケーションをとることが大切なようです。
次に、職場でSNSアカウントを交換している相手を調査してみると、グループインタビューでもよく触れられていたInstagramについては「誰とも交換していない(42.6%)」が次点の「同じ部署の同期・同世代の同僚(20.0%)」と最多となりました。
グループインタビューでも、「上司とSNSでつながるのは気まずい。飲み会の様子はシタとも(親しい友達)だけに公開している」「夜中に連絡が来ても返したくないので、プライベートは共有したくない。同期で仲が良い人だけつながっている」などの意見が聞かれました。
さらに、業務上での絵文字の使用については、「社内でのやり取りで気軽に使用したい(42.1%)」「感情やニュアンスが伝わりやすく便利(29.2%)」「上司に積極的に使って欲しい(21.7%)」が上位となり、好意的な意見が多い一方で、グループインタビューでは、「上司が絵文字を使っている場合は自分も使うなど相手に合わせる。ただ、上司が使う絵文字によっては媚びられているのかなと思う」「冷たい印象を持たれないように、テキストでのやりとりには絵文字を加えている」など関係値や状況に合わせて細かく使い分けが必要であることがうかがえます。
理想の上司像について聞いてみると「わかりやすい言葉で説明してくれる(53.3%)」「丁寧に教えてくれる(46.7%)」「気軽に相談しやすい(45.3%)」などが「リーダーシップがある(27.3%)」「決断力がある(24.6%)」「実績や結果を残している(21.4%)」よりも上位になりました。周囲を引っ張っていくリーダーよりも、より同じ目線に立てるコミュニケーション力の高いリーダーを求めていることがわかります。
また、オンラインにおける理想の上司のサポートについても「オンライン上でも相談しやすいような働きかけをしてくれる(27.7%)」「テキストで丁寧に業務のサポートや指示を送ってくれる(27.5%)」「内容によってテキストと電話を使い分けて連絡してくれる(24.3%)」などが上位になり、コロナ禍でリモートワークが進んだ分、オンラインでもきめ細やかなコミュニケーションができ、話しかけやすい上司像が求められているように見えます。
そして、仕事の評価方法については「大勢の前で褒められたい(38.7%)」というよりも、「大勢の前では褒められたくない(個人的に褒めて欲しい) (61.3%)」という価値観を持っていることがわかりました。
グループインタビューでも、「大勢の前で褒められると、周囲の期待を集めるので嫌だ」「1on1で褒められたい。褒められると、自分を気にかけてくれていたんだと思えるし、自分がやっていることが正しいと安心できる」などの声が聞かれました。
働くZ世代が勤務先について特に「古い」「遅れている」と感じることについて聞いてみると、「IT環境・電子機器関連(機器の古さ、対応の遅さなど)(31.9%)」「業務の電子化(ハンコ・経費・書類申請など)(27.0%)」「働き方(リモートワーク・労働時間など)(22.4%)」が上位となり、業務上のコミュニケーションよりも、設備や制度に対しての遅れにストレスを感じることが多いとわかりました。
グループインタビューでも、「コロナ禍なのに、オフラインで押すハンコ文化なのがものすごく古く感じる」「いまだにアナログなタイムカードを使っていて嫌だ」などの声が聞かれています。
働くZ世代が考える理想の職場は、「休み・有休が取りやすい(59.9%)」「給料が多い/仕事に見合った報酬(56.2%)」「プライベートの時間も確保できる・残業が少ない(53.3%)」といった回答が多く、「達成感のある仕事ができる(22.4%)」「転職に有利(10.7%)」といった、成長を目指す回答よりも上位であることから、よりプライベートとの両立がしやすい環境を理想と考えていることがわかります。
理想の働き方については、「好きなことでお金を稼ぐ(38.9%)」「場所にとらわれずに働ける(38.7%)」「週休3日制(34.3%)」という仕事内容やワークライフバランスに関する項目が、「副業ができる(21.7%)」「フリーランス・個人事業主として働く(12.9%)」などの収入や経験の増加に関する項目よりも上位になっており、私生活を主軸にした仕事を持っているようです。
仕事の価値観についての回答も、「仕事の充実」よりも「プライベートを充実させて生きていきたい」と回答したのが68.1%、「仕事で人生を充実させる」よりも「仕事は私生活をするための資金集めの手段だ」と考えているのが63.8%、働くのは「会社のため」ではなく「自分のため」と考えているのが74.2%となりました。
グループインタビューでも、「将来は自分でビジネスがしたい(起業したい)」という声もある一方で、「上の世代はとにかく仕事が好きで一生懸命やりたいと張り切っている感じだけど、私の同期たちは、生活のためにそれなりにやりがいのある仕事がしたいって感じ」「プライベート:仕事=9:1の優先度」「プライベートが大事なので、働くのはちょっとだけがいい」といった意見も聞かれました。
こういった結果から、Z世代の中ではより一層「仕事」と「プライベート」をきっちりと分け、仕事と趣味の両立を大事にする働き方を求めていることがわかります。
「将来的にどこまで出世したいと考えますか」という質問に対し、最も多かったのが「出世したいと思わない(27.0%)」、次いで「チームのプロジェクトやリーダー・主任(12.9%)」という結果となりました。
出世したくない理由としては、「責任が重くなるから(56.5%)」「プライベートを重視したいから(39.9%)」「仕事量と給料が釣り合わないから(34.5%)」「労働時間が長くなるから(32.3%)」等が挙げられています。
グループインタビューでも「プレイヤーでいたいので、チーム内のリーダーが良い。管理職は嫌だ」「出世はどちらでも良いが裁量権は欲しい」「課長くらいまでにはなりたい。それ以上になると、1世代に1人もおらず多くの人の支持が必要なので難しそう」などの意見があり、目標が現実的な視点で語られるほか、肩書に固執するのではなく、裁量権を持って自分の適性にあった働き方で働きたいという思いがあると考えられます。
最後に、就職・転職についても調査しました。社会人だけでなく、就活経験のある学生も含めて選考について聞いた結果が図にまとまっています。
転職意向を聞いてみると、最も多かったのが「転職は考えていない・今の会社でずっと働きたい」で25.1%となり、転職経験や転職意向がある層は52.8%となりました。転職したい理由としては「収入面で不満があった(38.7%)」「労働時間の面で不満があったから(31.8%)」「社風・社員の雰囲気が合わなかった(29.0%)」などが上位にあがっています。
実際にグループインタビューでも「転職の際には給料を重視した」「仕事もプライベートも重視するキャリアにしたいが、今後も転職の際は給料を重視する」などの回答が聞かれ、現実的な待遇を重視してキャリアを選ぶ姿が見られました。
理想の働き方の回答でも見られたように、Z世代のキャリア観においては、先が見えない社会情勢の中で生まれ育った背景もあってか、遠い将来のための成長よりも、「今」や「直近の未来」を優先してキャリアを積んでいく傾向が見られています。
2021年に実施した同様の調査と比較すると、就活生が企業に求めることは、前回はやりがい重視だったのに対し、今回は「福利厚生」「給与水準」など、より実利的な部分が重視される傾向へ変化がみられました。「仕事で自分の人生を充実させる」というより、「私生活を充実させるための仕事」という位置づけで捉えている若者が増加していることが分かります。自分が価値を感じることに対して時間とお金をかけたいというモチベーションが高いこと、そして直近の物価上昇や増税など金銭的な事情も含め、不確実性の高い時代に生まれ育っていることでチャレンジよりもリスクが少ない「安全性」を優先せざるを得ない社会情勢の影響も考えられます。
Z世代だけでなく、社会全体で仕事や働き方に関する価値観は多様化しています。企業の制度やマネジメントにおいて、これまでの画一的な育成体制や働き方を押し付けるのではなく、「個」に目を向け、育成・コミュニケーション方法をカスタマイズしていくことが求められています。
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