SHIBUYA109 lab.

Z世代の政治に関する意識調査

株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキュウラボ)』は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代の政治に関する意識調査」を行いました。

Z世代の政治に関する意識調査

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INDEX 目次

1 Z世代の政治に対する意識とは?

SHIBUYA109 lab.のこれまでの調査でも、Z世代は社会課題に関心が高く、高い投票意向があることがわかっています。今回はそんなZ世代が関心をもっている事柄や、政治参加への意識について、一都三県に住む男女を対象とした定量調査と、定性調査を実施し明らかにしました。

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【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2023年5月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用(SHIBUYA109 lab.調べ GMOリサーチ プラットフォーム利用の調査)
居住地:一都三県
性別:男女
年齢:18~24歳
対象:大学生・短大・専門学校生
回答者数:418名(男性200名/女性218名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。

②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件:男子学生3名、女子学生4名 2G 合計7名
・その他過去定性調査をもとに考察
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2 投票意向のあるZ世代は、今年も7割超え!Z世代が投票に行く理由とは

今回の調査では、Z世代に政治への意識について聞きました。はじめに、今後の選挙への投票意向を聞いたところ、72.3%が投票意向ありという結果になりました。

Z世代の今後の選挙への投票意向

投票に行く理由を聞いてみると、最も多かったのが「若者の投票率を上げたいから(44.0%)」次いで「自分の声を政治に反映させたい・届けたいから(38.4%)」「国民として与えられている権利を行使したいから(33.8%)」「高齢者ばかりでなく、若者にも目を向けてほしいから(31.5%)」「社会をより良くしたいから(31.1%)」となりました。
グループインタビューでも、「若者が投票しないと、若者のための社会はつくられない。自分の意見を暮らしに反映させるために、選挙権を得てからは投票に毎回行っている」「若者の投票率を少しでも上げたいので、投票したい相手がいなくても白票で投票しに行っている」などの声がありました。

Z世代が投票に行く理由

投票先を決める基準については「政策(68.5%)」が圧倒的に多く、次いで「人柄・印象(33.8%)」「所属政党(26.8%)」「活動実績(26.5%)」「経歴(15.6%)」といった回答となりました。一方で、「投票先をどうやって決めていいかわからない」という回答は、59.8%にのぼっています。グループインタビューでも、「街頭演説が目について聞いてみることがあるが、内容を理解しきれないので、候補者の話し方や表情を見ている」「選挙公報で政策を見て投票に臨んだが、実績などをもっとわかりやすく書いて欲しい」「いくつかの質問に答えると自分に合った政党を教えてくれる診断系サイトを使った」「動画で公約などを話して欲しい。文面だけではわからないし、話し方を見たい」などといった声があり、選挙にまつわる情報発信について改善の余地を感じているZ世代も多いようです。

Z世代が投票先を決める基準

Z世代の投票先の決め方

どのような政治家に親近感を覚えるかという質問では、「理念や政策に共感できる(25.8%)」「年齢が自分と近い(22.5%)」「テレビでよく見る(22.2%)」「SNSでよく見る(22.0%)」「街頭演説やポスターなど街でよく見る(19.9%)」となっています。
グループインタビューでも「若者を意識した政策を掲げている人を見ると気になる」「地に足の着いた政策を言っている人は信頼できる」といった声もあり、接触頻度が高いだけでなく、考え方に共感できる相手に親近感を覚えていることがわかります。

Z世代が親近感を覚える政治家

最後に、Z世代は投票意識が高い一方で、「自分が投票に行っても社会は変わらない気がする」が63.6%、「誰が政治家になっても社会は変わらない気がする」が49.8%と、多くのZ世代が政治や世の中に関して「どうせ変わらない」と諦めモードであることもわかります。実際にグループインタビューでも、「友だちに『選挙に行ってもどうせ変わらないよ』と言われてしまった」などの声がありました。

Z世代の投票に行くことや政治家についての考え

3 「日本の政治に期待していない」Z世代も7割超え。Z世代が思う現代の政治課題

次に、Z世代の政治に関する考えを調べてみました。政治に関して興味があることについて聞いてみると、「税制度(28.7%)」「年金問題(26.3%)」「教育支援(26.3%)」「子育て支援(25.4%)」「女性の活躍(21.3%)」などが挙げられました。去年の調査と比較してみると、医療関係の項目が下がり、お金や教育に関する項目の順位があがっています。コロナ対策への関心が下がり、Z世代の中でも、経済状況に関する項目に注目が集まっていることがわかりました。
その他、政治に関して、「日本の政治に期待している」に「そう思わない」と回答したのは71.8%、「日本の政治に不安を覚える」と回答したのは81.3%、「日本の政治が変わってほしいと思う」と回答したのは77.7%となりました。ここでも、現状を不安視すると同時に、政治への「諦め(=期待していない)」が感じられます。

Z世代が政治に関して興味があること

Z世代の政治に関する期待や不安について

「今後、政治の仕組みとしてあったらいいと思うこと」という質問では、「オンラインで投票できるようになる(インターネット投票)(55.5%)」「若手議員の増加(35.4%)」「女性議員の増加(28.7%)」などが挙げられました。グループインタビューでも、「選挙に行かなきゃと思うけど、会場に行くのが手間だし、仕事で行けない人もいそう。『スマホで投票できるようになったらいいね』と家族と話している」「大学生は(住民票が実家になっており)実家に戻って選挙に行かなきゃいけない人もいるので面倒な人もいるのでは」など、オフラインでの投票への不満がある一方で、「スマホで投票可能になると顔だけで選ぶなど適当に選んでしまいそう。通っている学校や会社など(アクセスのいい場所)でやってほしい」など、冷静な声も聞かれました。

Z世代が今後の政治の仕組みに希望すること

さらに、今後の選挙への要望にまつわる調査では「同世代の政治家が増えてほしい」は68.4%、「被選挙権の年齢が引き下がってほしい」は37.3%となりました。グループインタビューでは、「(今は若手議員が少ないが)議員の年齢ごとの比率を新たに考えたほうがいいと思う。20代は経験が浅いという意見もあるだろうが、20代だからこそ見えている世界がある」「(議員の年齢層が高いが)50代以上の人たちとのジェネレーションギャップは絶対にある。被選挙権年齢を引き下げるべき」など若い世代の意見を取り入れることを求め、そのために若い議員が活躍することを望む声がありました。

Z世代の政治家や選挙権への考え

「あなたは日本の政治が今後どのようになって欲しいですか。ご自由にお書きください。」という問いへの自由回答をテキストマイニングで図示した結果を見ても「若者」「若い世代」「若い人」などのキーワードが見られ、若い世代の意見を政治にもっと反映してほしい、という気持ちを抱いていることが見て取れます。

Z世代の今後の政治への希望

4 半数以上が「日本の政治を変えたい」と答えるZ世代はどう政治と関わる?

最後に、Z世代の政治との関わり方について調査しました。情報収集・情報発信について聞いたところ、「SNSで自然と政治に関連する情報に触れることが多い」と答えたのが37.8%となりました。ただし、最初の図の投票意向で「必ず投票する」と回答した層に関しては、55.9%となっており、投票意向が高い層はSNSでも政治に関する情報への接触頻度が高いことがわかります。

Z世代の政治に関する情報収集・発信

「自分の周りには政治に関連する事柄に関心を持っている人が多い」という回答も、全体では36.2%でしたが、最初の図で「必ず投票する」回答者では48.2%となっています。

Z世代の自分の周りの政治に関する事柄への関心

また、「日本の政治を積極的に変えていきたいと思う」という質問に「そう思う」と回答したのは54.5%と半数以上になったものの、「将来は政治家になりたいと思う」という回答は15.8%にとどまり、グループインタビューでも、「自分はキャラじゃないので、政治家にはなりたくない」といった声のほか、「企業からの働きかけでも政治を変えられると思うので、企業人として声を挙げたい。自分が発起人になるかはわからないが、将来所属する企業で社会問題に関する活動があれば参加する」という、企業側から世の中を変えようと思う声や「政治家にはならない。結局政治家になっても、世の中は変えられないと思う」など政治家への低い期待値を感じさせる意見など、様々な声が聞かれました。

Z世代の日本の政治や政治家への考え

政治家に対するイメージを自由回答で聞いてみても、「堅苦しい」「汚職」「居眠り」などの内容が多く、グループインタビューでも「政治家の悪い行いばかりが話題になりやすいので、どうしても目についてしまう。」といった声がありました。

Z世代の政治家に対するイメージ

ただし、Z世代は複数のメディアに触れている影響もあってか「悪い部分ばかりニュースになってしまうのでメディアによって印象がつくられている部分もあると思う」「もう少し人間らしい部分も見たい」と、政治家のイメージに関してメディアの影響にも自覚的である様子も見られました。政治家のSNSでどのような発信をしてほしいかという質問でも「公約や政策(44.0%)」「仕事の様子(43.8%)」のほか、「プライベート(趣味・ヲタ活など)(21.1%)」などの声もありました。

Z世代が政治家にSNSで発信してほしい内容

5 SHIBUYA109 lab.所長が分析!投票意向は高いが、投票率が上がらない理由…政治側からの情報共有の強化で歩み寄りが必要

コロナ禍で自身の生活と政治の関わりを身近に感じたことをきっかけに、若者の政治への関心は高まっています。今回の調査でも、投票意向は7割を超える結果となりました。しかし、4月に行われた統一地方選挙でも若者の投票率を高めるための啓発活動が各地で活発に行われましたが、若者の投票率は依然として低い状況です。
投票意向は高いものの、実際の行動になかなか繋がっていない要因として、以下の2つが考えられます。一つは、政治家の属性が偏っていることから、身近に感じられないということです。政治の場に様々な年代や性別の人が参加する環境になることが望まれています。もう一つは、若者が政治を自分ごとに感じられる情報が少ないことです。常に情報過多な環境に生きている若者は、興味のある情報ですら最初の情報接触の姿勢は受動的です。既に政治に関心のある人に情報は届きますが、そうではない層に対しては、政治側からの能動的な情報共有の強化は必須です。政治家の公約や政策の共有だけでなく、普段の仕事の様子など、どのようなプロセスで政策実現のために動いているのかを共有していくことが、若者と政治の距離を縮めるきっかけにもなりえます。



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