株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、around20(15~24歳)のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから生理経験が有る方、無い方を含めて「Z世代の生理に対する意識調査」を行いました。
これまでのSHIBUYA109 lab.調査では、Z世代は社会課題に関心が高く、特に「ジェンダー」への課題解決意欲が高いことがわかっています。
今回は、来たる3月8日の国際女性デーを前に、Z世代の生理に対する意識について、around20(15~24歳)のZ世代の生理経験が有る方・無い方両者を対象に調査を行いました!
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【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2022年1月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
居住地:一都三県
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・短大・専門学校生
回答者数:800名(生理経験有400名/生理経験無400名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件: 高校生・大学生 生理経験有4名、生理経験無4名 2G 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
監修:株式会社 arca
高橋怜奈(産婦人科専門医、医学博士
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今回、SHIBUYA109lab.では、調査回答者を生理経験の有無で分けて調査を実施しました。生理経験者は、95.5%の割合で生理に関する悩みがあると回答しました。特に多かった悩みは、「腹痛・腰痛(60.0%)」「気分が落ちる・イライラする(48.8%)」「経血の量(42.8%)」「におい(42.0%)」「肌荒れ(41.0%)」となっています。
一方で、生理経験無の回答者のうち44.8%が、「わからない」と回答しました。ただし、グループインタビューでは、「体調が悪い人には声をかけたり配慮をするように心がけているが、自分が経験したことがないのでわからないことも多いし、どこまで踏み込んでいいかもわからない」という声が複数聞かれ、理解することを放棄しているのではなく、実体験の無い悩みに対して、理解度の低さを自覚しつつ、生理の悩みに寄り添いたいという姿勢が伺えました。
さらに、実際に生理時にイヤな思いをしたことがある人は、生理経験者の85.7%にもおよびます。イヤな経験の上位5つの経験を振り返ると、「急な生理に対応できなかった」ケースと、「生理による体調不良で日常生活(学校・アルバイト)に支障が出る」ケースに大きく分けられます。
この実経験もあってか、「生理について『世の中でこうなってほしい!』と思うこと」についての質問では、「予期せず生理になっても安心な環境(生理経験者:45.5%)」や「生理経験がない方の生理への理解(生理経験者:41.0%)」「生理休暇など生理をサポートする社会の仕組み(生理経験者:40.5%)」が特に求められていることがわかりました。
それでは、悩みの多い生理期間をZ世代はどのように過ごしているのでしょうか。
生理期間に何らかの工夫をして過ごしているのは、生理経験者の約8割となりました。多くのZ世代が、自分なりに憂鬱な気持ちになる期間を快適に過ごそうとしていることがわかります。具体的には、「暖かい格好をする(44.8%)」「温かい飲み物を飲む(40.3%)」「好きなものを食べる(39.8%)」などの工夫が見られ、「生理関連であったら嬉しいもの・こと」という質問についても、「生理時におすすめな食べ物(46.8%)」「生理時におすすめな飲み物(46.3%)」が挙げられていることから、身近なケアを大事にしていることがわかります。
そのほか、グループインタビューでは、生理日管理アプリが盛んに利用されており、生理経験者のグループ過半数がスマートフォンのアプリ(『ケアミー』『ラルーン』など)を活用して、生理日を記録・把握していることがわかりました。これらのアプリは生理周期を管理することが大きな目的ですが、利用アプリの選定基準として、「生理の過ごし方のアドバイスや気遣いある言葉が表示される」ことを挙げるなど、生理日管理以外の機能も重視して利用していることがわかりました。
また、「生理関連であったら嬉しいもの・こと」TOP5内に、「生理用品とわからない生理用品(31.5%)」「生理用品が1つずつ試せるサンプル(29.3%)」と生理用品に関する要望も挙がりました。生理用品の重要視している点を聞くと「吸収量の多さ(73.5%)」「漏れに強い(58.8%)」「ナプキン等の長さ(55.3%)」が上位になりました。経血の漏れ自体や、それによる下着の汚れを避けたい意識が高く、機能性を重視していることがわかります。
生理用品のデザインについても、グループインタビューでは「女の子っぽいデザインやピンクのものしか無いが、自分の持ち物がモノトーンなのでシンプルなデザインが欲しい」「生理用品とわからないデザインが嬉しい」という声もあるものの、「値段が高くなるならシンプルで安いものが良い」という意見もありました。
また吸水ショーツや月経カップなど、近年、生理用ナプキン以外にも様々な生理用品が登場していますが、グループインタビューでは「ナプキン以外はお金がかかる」「1パッケージに大量に製品が入っているものだと、試してみてダメだったときにゴミになるのが嫌だ」という意見や、「生理用品は母親から教えてもらったものを長年使っている。生理が始まった時に色々な種類の商品を知りたかった」という声もあり、生理期間を快適に過ごしたいものの、情報量の少なさと価格面が新しい生理用品を試すハードルになっていることがわかります。
生理に関する理解度について、「よく理解している」と認識しているのは、生理経験者でも65.1%にとどまり、経験したことの無い層については21.1%。理解不足を感じていることがわかります。実際に「生理についてもっと理解したい」と感じているZ世代は生理経験を問わず、約半数にのぼりました。
生理について知識を深めたい理由としては、生理経験者では「もっと生理を快適に過ごせる方法がある気がする(54.9%)」「自分の知識が正しいか自信がない(42.1%)」という声があがり、現在の自分の過ごし方や知識に満足できていない状態であることがうかがえます。また生理経験無の回答者は「自分の知識量が足りないから(69.6%)」「生理がある人のことを理解したい(56.4%)」などを理由に挙げ、経験の有無を問わず、生理期間を快適に過ごすための知識を求めているようです。
生理にまつわる情報を得る手段として、生理経験者にとって特に影響が大きかったのは「学校の授業(57.5%)」と「親(48.8%)」となりました。一方、生理を経験したことの無い回答者は「授業(52.5%)」のほか、「恋人・パートナー・配偶者(13.8%)」が情報源とされており、身近な人の実体験から学んでいるようです。
Z世代の生理にまつわる知識の情報源として、SNSも活用されていることにも注目です。生理経験者では「Instagram(29.0%)」が、生理経験無の回答者では「動画配信サービス(17.5%)」が、情報源としてTOP3に入っています。グループインタビューでは、生理経験者は「Instagramのおすすめ欄で生理に関する情報が流れてくるので、参考にしている」「動画配信サービスで知らなかった生理用品を知り、自分に合った様々な商品を試してみたくなった」、生理経験無の回答者では「生理中のパートナーとの接し方をカップルインフルエンサーの動画で知った」との言及があり、家庭や授業では得られないリアルで新しい情報をSNSから得ていることがわかります。また、「SNSだと人に相談することなく情報を得られるので良い」という意見もあり、どんな環境でもアクセスしやすいこともSNSが活用される一因です。
関心を持たれている情報としては、生理経験者では「生理時の快適な過ごし方(51.5%)」「生理による心身の不調(に関する情報)(33.3%)」「生理を楽にする医学的な情報(27.8%)」が挙がり、心身の不調にまつわる正しい知識を求めていることがわかりました。生理経験無の回答者では、「生理の人に対する接し方(41.3%)」が1位となり、自分の経験が無いからこそどのように接するのが良いのかを知りたいといった意見が見られました。
Z世代が生理について悩んだ時、周囲に相談する環境はあるのでしょうか。生理経験の有無を問わず、生理についての話題は4割以上が「話しにくい」と感じているようです。
生理に関する相談をしている相手としては、経験者は「母親・姉妹(64.0%)」が圧倒的に多く、次点で「友人(33.3%)」となりました。グループインタビューでは、「性別関わらず、仲の良い友達には生理であることを伝えることが多い。その方が体調不良の原因も理解し合えるし、今は親より友達の方が気軽に共有できる。」といった声が聞かれました。
一方で、理想の相談相手として挙げられているが実際に相談できていない相手として「婦人科等の医療機関」が挙げられ、前述の通り、医学的な情報も求められているがアクセスする機会が少ない現状が伺えます。婦人科についてグループインタビューでは、「親に婦人科の利用を相談したら反対された」「妊娠のイメージがあり、行きづらい」という声もあり、利用のハードルが高いことも要因としてあるようです。改善案としては、「レディースクリニックという名前の方が行きやすい」「見た目が堅苦しくないほうが行きやすい」などの声が聞かれました。
生理経験無の方では、現在3割以上の人が生理に関する話をする相手がいると回答し、中でも「恋人・パートナー・配偶者」が現在の相談者、理想の相談者としても最も多い結果となりました。グループインタビューでも「恋人の生理状況は共有されており、体調不良の時はサポートしている」「仲の良い友達からも生理であることを共有されることが多く、日常会話として認識している。共有されることで、接し方も気を使うことが出来るので良い」といった声が聞かれ、身近な人の生理状況を知り、サポートをする実態も聞かれました。
最後に、Z世代が生理について望む環境について聞いたところ、経験者の約6割、経験の無い回答者で約4割が「生理について話しやすい環境が理想」という結果となりました。
グループインタビューでは男女ともに「共有するのが恥ずかしい人もいるだろうし、話したい人が話せる環境が一番」という声が聞かれ、必ずしもオープンに話せる環境が理想というわけではなく、多様な考え方や選択肢を尊重したいZ世代の価値観が見てとれます。
多様な価値観が共存し、生理に関しても選択肢が広がっている今、それぞれの望む生理との向き合い方に合わせた環境づくりが必要なのかもしれません。
インタビューでは、生理に関するニュースやサービスの拡充・SNSでの投稿の増加など、生理に関する情報との接点が増えたことで、生理経験の有無を問わず意識の面で影響を受けている印象を受けました。昨今生理の貧困が社会課題として取り上げられていますが、今回の調査の結果から、「経済条件(収入・価格)による生理の貧困」だけでなく、「生理に対する理解の貧困」に苦しむZ世代もいるという課題も明らかになりました。更にそれが自身によるものだけでなく、身近な人の理解不足で起きうることでもあるため、世代や生理経験の有無を問わず、社会全体で正しい知識をインプットしサポートし合える環境の整備が必要と考えます。一方で、これまで生理に関する話題はタブーとして取り扱われることが多かったこともあり、Z世代においても生理の話題の取り扱いには慎重な姿勢も含め、多様な考え方が見受けられました。しかし、根底にある共通点としては「多様な考え方がある前提のもと、各々が望む選択肢を自分で選べる社会」を望んでいることであり、生理においても多様性を重視し、誰もがストレスフリーで生活が出来る環境を実現することが求められています。
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