株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、選挙権を持つ18歳以上の大学生などのZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代の政治に関する意識調査」を行いました。
SHIBUYA109 lab.のこれまでの調査では、Z世代は社会課題に関心が高く、昨年度の調査でも高い投票意向があることがわかっています。そんなZ世代は今後控えている選挙や政治家に対してどのように考えているのでしょうか。一都三県に住む男女を対象とした定量調査と、定性調査を実施し、彼らの政治に対する意識を明らかにしました。
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【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2022年4月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
居住地:一都三県
年齢:18~24歳
対象:大学生・短大・専門学校生
回答者数:400名(男性200名/女性200名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件:大学生 男性4名、女性4名 2G 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
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まず「今後、選挙があれば投票すると思いますか」と聞いてみたところ、「必ず投票すると思う(42.8%)」「投票したいがまだわからない(日時や場所による)(31.8%)」という回答が得られ、約7割以上のZ世代に投票意向があることがわかっています。
グループインタビューでは、「投票しない人は不満を言う資格がないと思うので、不満を含めた意見を言うためにも投票する」「自分にできることは行動に移したいので投票する」という意見が出るなど、政治について意見を持ち、不満に対して行動に移そうとするZ世代の姿が見られました。
一方で、投票に行きにくいと感じる理由を聞いてみると、「投票したいと思える候補者がいない(34.3%)」「自分が投票しても社会は変わらないと思っている(20.3%)」が回答数として多く、政治に対する期待感の低さが投票のハードルに繋がっているようです。
実際に、Z世代の政治に対する期待感について調査したところ、「日本の政治に期待している」のはわずか18.5%となりました。投票意向の有無に関わらず、Z世代全体として日本の政治にあまり期待していない傾向にあることがわかります。
次に、政治関連の情報収集実態について聞きました。選挙前だけでなく、日常の中で政治関連の情報を目にしているという回答者は61.3%となり、半数以上のZ世代が日常的に政治に関する情報に触れていることがわかります。
普段の政治に関する情報収集の媒体は「テレビ(67.0%)」「ニュースサイト・アプリ(39.0%)」「Twitter(37.3%)」と、マスメディアも活用しながら情報収集しています。また、1人あたりの平均チェック数は3.6個となり、複数のメディアから情報を収集していることがわかります。グループインタビューで聞いてみると「食事の時にテレビをつけて、特に番組を選んだりせず、その時に放送しているニュースを見ている」「テレビの情報も見た上で、皆の意見がどうなのかをTwitterで見る」など、情報源を使い分けながら収集していることがわかります。
さらに、SNS、マスメディア問わず日々膨大な量の情報に接しているZ世代は、非常に高い情報リテラシーを持っています。情報を収集している時に気をつけていることが一つでもあると回答したのは、全体の約8割となりました。気をつけていることとして「情報発信源を確認する」が1位となり、Z世代は、情報の性質を厳しく見極めながら情報を得ていることがわかります。
政治にまつわる話題の共有について、政治の話を「話しにくいと感じる」人は全体の4割程度となりました。ただし、「周りと話しやすい環境が理想か」という問いかけに対しては「どちらとも言えない」という回答が42.3%と高い数値になり、政治というトピックがZ世代の中でセンシティブな話題として捉えられていることがわかります。
グループインタビューでも、「政治に関する思想は話さない。政治にまつわる考え方などの話をしたいが、『相手が話すのが嫌だったら?』と考えると心配」「SNS上での発信でも、自分の意見は言わないようにしている。自分の意見が誰かの気持ちに影響を与える可能性もあるので怖い」などの意見が聞かれました。
政治の話題が話しにくい理由としては、全体では「自分のスタンスが決まっていないから(23.6%)」が最も多い回答となりました。グループインタビューでは、特定の問題に対して「どちらが悪いと言い切るのは難しい。私たちが目にするニュースも何らかの偏りがあると思うので、そこから一概に善悪を決めつけることはできない」といった声もあり、多様な意見に耳を傾けているからこそ、白黒つけることを避ける傾向が見られました。
政治の話を共有する相手についても、「家族(47.3%)」「リアルな友人(22.0%)」の回答数が多くなるなど、政治は親しい間柄で話し合うトピックになっているようです。特に政治に関心のある層を集めたグループインタビューでは、「家族とニュースを見ながら政治の話をする」という声も複数聞かれました。
SNSリテラシーの高いZ世代はSNSにおける投稿の影響力の大きさも意識しています。グループインタビューでは「SNSではちょっとした言葉のニュアンスで行き違いが起きることも多く、発信者も受信者も精神的にすり減ってしまうことがある。そのため、最低限の発言に留め、発信する時は本アカウントとは別のアカウントを使用している」「いいと思うコメントであっても『いいね』は慎重に考えてから押している。バズってしまうと、正しい情報でなくても影響力を持ってしまうので、自分がその意見に同意している1人として見られてしまうことが怖い」といった意見もありました。
最後に、Z世代はどのような政治を望んでいるのでしょうか。まずは「あなたは理想の政治家がいますか」と聞いたところ、約9割が「いない」と回答しました。
さらに、政治家のイメージを聞いてみると、全体では多かった回答順に「不正がある(45.5%)」「対応が遅い(32.2%)」となりました。
グループインタビューにて政治への不満を聞いてみると、「経済格差を感じる。豊かな人からしっかりお金をとって、福祉などへの投資に回して欲しい」「教育にもっとお金を使って欲しい」「幅広い人に目を向ける施策をして欲しい」という意見が聞かれ、資産や施策の偏りに対する不満が感じられる意見が出ました。また、その背景に「政治家が一般的な生活感覚とは乖離した別の世界の人に感じる」「企業経験のある人に政治家になってほしい」など、既存の政治家に対する不満も聞かれています。
一方で、「理想の政治家のイメージ」を聞くと、「誠実(48.3%)」「対応が早い(38.5%)」などが回答数で上位になっており、現在のイメージと真逆になっていることがわかりました。SHIBUYA109 lab.の過去調査にて、Z世代のSNS活用について調査した際、インフルエンサーを支持する理由として、丁寧な対応や誠実さが挙げられていました。これらの結果は、Z世代が信用に足る人物だと判断する上で"誠実さ"を重要視していることを示しています。
さらに、理想の政治について自由回答で聞いてみると、「若者・少数派を含む国民に寄り添って欲しい」という意見が多く、「暮らしやすい」「寄り添う」「生きやすい」など、生活に根付いたキーワードが散見されました。
グループインタビューにおいても、「SNSは国民の本音が集まる場所だと思う。政治家にもSNSで幅広い人の声にもっと耳を傾けてほしい」「政治家になる人は、様々な人と接点を持つことができる人や、ネットも活用し様々な視点に立てる人がいい」などの意見が聞かれ、「限られた人だけではなく、若者などを含むより幅広い『国民の声』を聞いて欲しい」というZ世代の思いが感じられます。
6月に参議院選挙が控えている中、彼らの政治に関する意識を調査しました。コロナ禍で自身の生活と政治の関わりを身近に感じたことが影響し、Z世代の政治に対する関心は昨年に続き高まる傾向にあります。今回の調査で注目すべき点は、Z世代の情報と向き合う姿勢です。
政治に限らず、彼らは自分の意見を持ち掲げることより、多様な意見の存在を知ることに重きを置いています。そのため一つの情報について、SNSも含めた複数メディアを駆使しながら多角的な視点から情報を吟味し、同時に他者の意見も確認しています。
この背景として、彼らはSNSで日々多様な価値観や考え方に触れていることが当たり前であり、そして常にSNSでゆるく繋がる環境で生まれ育ったことにより、周りの目に対する意識が高いことが関係しています。彼らは政治に関しても、社会の変化や多様な価値観に目を向けられる視野の広さと情報接触におけるバランス感覚を求めていると考えられます。
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