株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代のお金と投資に関する意識調査」を行いました。
SHIBUYA109 lab.は昨年もお金に関する調査を実施し、Z世代のお財布事情や消費価値観を明らかにしてきました。今回はZ世代のお金に関する価値観や投資への意識をさらに深堀すべく、一都三県に住むZ世代を中心に調査を実施しました。
--------------------------------------
【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2022年3月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
居住地:東京都
年齢:18~24歳
対象:大学生・短大・専門学校生
回答者数:400名(男性200名/女性200名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件:大学生 男性4名、女性4名 2G 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
--------------------------------------
Z世代に「現代を生き抜くための能力や知識としてあなたが必要だと思うものを聞いたところ、「語学力(43.0%)」や「コミュニケーション力(59.3%)」を抜いて「お金に関する知識」と答えた人が73.0%で最多となりました。Z世代がいかにお金の知識の必要性を感じているかがわかります。
しかし、金融資産に関する理解度を見てみると、必要性を感じながらも実態が追いついていないのが現状です。投資信託や積立NISA、 NFTなど、様々な金融商品について「認知(聞いたことがある)」「理解」「興味」の割合を調査してみると、「預金」のみが「認知」「理解」で半数を超える1位となりました。理解率2位は「特になし」となり、預金以外の商品に関しては、認知率と理解率において2倍以上の差が広がる結果となりました。金融商品名を聞いたことはあるものの、理解には及んでいないことがわかります。
次にZ世代の貯金額について見ていくと、昨年に引き続き、10万円以内が1位となりました。貯金残高は、平均金額が全体:391,118円、男性:360,759円、女性:423,973円となりました。
昨年の調査と比較し、全体では56,820円、男性では38,616円、女性では76,720円の増加となっています。
貯金が増えた背景として、グループインタビューでは「友だちと遊びに行くためのお金が減った」という回答があり、去年から継続的にコロナの影響を受けていることが大きな要因だと考えられます。貯金の目的は「コロナ禍が収束したら海外旅行をしたい」「特に目的は決まっていないが、大きい買い物や旅行の足しにする」などが挙げられ、具体的な用途があるわけではなく、1〜2年後に起こり得る大きい金額の消費にむけて貯蓄していることがわかります。常に不安定な社会を生きてきたZ世代は、どうなるか分からない遠い未来よりも直近の未来を見据えた行動が垣間見えます。
また、就職後の暮らしの将来像については、「収入を得ながら、趣味や家庭などのプライベートも充実させたい(54.2%)」が1位となっており、次点で回答の多かった「安定した収入を得て、平均的な生活を送りたい(16.8%)」が「仕事に励み、人よりもお金を稼ぎたい(10.8%)」を上回っていることから、多くのZ世代が「ワークライフバランス」「安定」を重視していることがわかります。
それでは、Z世代はどのようにお金のやりくりをしているのでしょうか。
Z世代の消費活動のキーワードは「分散」。収入源も平均2.2個保有していることがわかりました。アルバイトも一つの勤務先だけでなく複数掛け持ちをしている事例があったほか、ポイントによる収入やフリマアプリの活用も一般的になっています。複数の収入源を求めるようになったきっかけとして、グループインタビューでは「焼き肉屋で働いていたが、コロナ禍の影響でシフトに入れなくなり、イベントスタッフの仕事を始めた」など、コロナの影響を受けている事例が複数聞かれました。
さらに、このような価値観は将来の仕事観にも影響しています。グループインタビューにて「(社会人になってから)副業したいか?」という質問をしたところ、男子全員がYESと回答。「コロナ禍を経験して、一つの仕事がなくなった時に別の手段があればいいと思った」という回答のほか、「一つの仕事だけじゃなく、他のスキルも身につけるために副業がしたい」「収入源を分散したら新鮮味もあるし、働く場所も選べる。リスクも分散できそう」など、今後も収入・スキルともに複数に分散して獲得し、リスクを避けようとする傾向が見られています。SHIBUYA109 lab.の過去の調査でもZ世代は「失敗したくない」という気持ちが強く、リスクを分散させる傾向にあることがわかっており、収入・スキルともに分散志向なのはZ世代ならではの特徴とも言えるでしょう。
決済方法においても「分散」がキーワードになりました。利用する決済方法は現金が94.5%で圧倒的ですが、交通系ICカード(60.5%)やクレジットカード(54.0%)、PayPayなどの電子決済(53.5%)などの利用率も高まっています。決済方法についてグループインタビューでは、「衝動買いするタイプなので、請求額が怖いから基本は現金・デビットカードを使っている。ポイントが貯まりやすいので、少額のお金は電子決済を使用している」「ポイント還元率が良いクレジットカードを主に使っているが、友達と割勘するときは電子決済を使う」といった声が聞かれ、決済時にメリットを考えながら使い分けていることがわかります。
今回の調査では、Z世代の投資意識についても聞きました。すでに現在「投資をしている」と答えたのは全体の12.3%と1割程度。ただし、「投資はまだしていないが興味はある・必要だと感じる」と回答した人は51.2%と半数を超えています。 しかし、投資については「難しい」「ハイリスク」などのイメージが多数を占めており、投資をしていない理由も「投資に関する知識がなく、何から始めていいかわからない(29.6%)」、「お金が減るリスクがある(25.4%)」「投資に対する知識がなく、まずは知識をつけるところから始めたい(20.8%)」など、知識の無さやリスクを懸念している傾向が見られました。
グループインタビューでも、「浅はかな知識でやるものではないと思うので先送りしている」「調べて学びたいが、言葉自体が難しい」「書籍で勉強をしたいが、本当に参考になるものを見つけられていない。勉強するための準備段階として、SNSやネットでどんな勉強方法や書籍が良いか情報収集をしている」、さらに「SNSの情報はうさんくさい」など適切な情報源の不足について言及がありました。また、「お金がかかる」「今は投資できる額も少なく、リターンも少ない。その上お金を失う可能性があるなら、普通にバイトで稼いだほうが楽」「投資して少額の金銭的な利益を得るよりも、服を購入してメルカリで売り、別のモノを購入できるほうが得られるものが多い」など、投資に対してハードルの高さを感じ、始めるコストに比べてリターンが少ない印象を受けている側面が見られました。日頃の体験や消費でも「コストパフォーマンス」を重視する傾向にあると言われるZ世代は、投資の勉強や実施においても、費やす時間やお金と、そこから得られるものを吟味しているようです。
投資について理想の学び方を聞いた質問では、「学校の選択授業の中で自分で選んで学びたい(38.3%)」「学校の必須カリキュラムとして学びたい(36.1%)」など、学校で学びたいという声が7割を超え、「お金のしくみや流れなどの基礎から学びたい(28.4%)」という声も多かったことから、信用できる教育機関でのわかりやすい金融教育を求めていることがわかりました。また、学ぶ時期としては、「大学や専門学校時代」が37.8%と最も多くなっています。背景として、グループインタビューにて「ひとり暮らしやバイトをはじめて自分のお金を持たないと実感がわかないと思う」などの意見が聞かれました。
2022年度から学習指導要領の改訂により高校の授業で金融教育が取り入れられることもあり、「お金に関する知識」に対する注目はより高まっていますが、Z世代のお金に関する価値観は、主に彼らの生まれ育った時代背景が大きく影響しています。彼らは生まれた時から不況で、経済状況が不安定な中で育ち、またこの先も正解のない時代を生きることを認識しています。そのため、そんな中でもバランスが取れた、安定した生活が送れることに価値を感じており、数年先の未来のための貯蓄や収入源・支払いの分散も、不確実な時代に生きるからこその選択と言えるでしょう。また彼らの普段の情報収集の中心はSNSですが、お金に関する情報については「正しい情報かどうか」の判断軸を現状持ち合わせていないため、時には誤った情報も流れるSNSでの情報接触に慎重な姿勢も見られています。
まずは彼らが安心・信頼できる学びの場や、情報環境の整備が必要と考えます。
■無料レポート請求
本調査記事で使用されたWEB調査のグラフレポートを無料で配布しておりますので、以下よりお問い合わせください。
会社名 | 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント |
---|---|
TEL | 03-3477-6719 |
FAX | 03-3477-6702 |
本社所在地 | 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番7号 五島育英会ビル4階 |