株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、15〜24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代のヲタ活に関する意識調査」を行いました。
SHIBUYA109 lab.は、これまでもヲタ活について度々調査を実施してきました。しかし、最新のヲタ活事情を明らかにすべく、 今年もaround20(15〜24歳)を対象に、Z世代のヲタ活に関する意識調査を実施してみると、新たな実態が見えてきました。
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【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2022年5月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
居住地:一都三県
性別:女性
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・短大・専門学校生など学生
回答者数:525名(10代315名/20代210名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件: 高校生~大学生・短大・専門学校生 女子4名×2G 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
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2021年には流行語大賞に「推し活」がノミネートされるなど、すっかり馴染みのある言葉となった「ヲタ活」。
今回の調査でも約8割以上のZ世代が「推しがいる」と回答しています。
ヲタ活をしているジャンル1位は「アニメ・漫画・ゲームのキャラクター・声優」という結果となりました。
「あなたは日常のなかでどのくらい『推し』を意識していますか。」という質問では、「ヲタ活のときだけ意識している」という回答が1割程度となりました。ここから、ヲタ活は今や、多くの人にとって"日常化"し、普段の生活の中に溶け込んでいることがわかります。
また、ヲタ活に使用する金額は、年間で平均46,650円という結果となりました。
そんな「日常化」したZ世代のヲタ活では、どのような消費活動が行われているのでしょうか。
ヲタ活消費は公式の"ファングッズ"の領域にとどまりません。推しがいる回答者のうち約8割が、ライブチケットや公式グッズ以外にもヲタ活を目的にお金を使っています。
その中身として挙げられたのは、「参戦服(ライブなど、ヲタ活する際に着る服)(42.6%)」、「推しのイメージカラーなど推しを連想できるアイテム(42.6%)」、「コスメ・スキンケア(40.0%)」など。
日常的に利用する商品も"ヲタ活"をきっかけに購入されていることがわかります。
「推しと同じアイテムや推しがおすすめしていたアイテムを購入する」経験や購入意向がある回答者も約8割と高い数値になっています。調査では推しと同じアイテムを購入、または購入意向がある理由として、「推しを常に感じられる(50.6%)」「推しと同じ感情を味わいたい・推しと同じ体験がしたい(48.7%)」などが挙げられ、グループインタビューでも、「推しが購入していたゲーム用のカードを15,000円で購入した。推しの話を理解したいから同じものを買ってしまう」「推しが見ているアニメを見ている。(推しがその話をしていると)同じものを見た事が感じられて嬉しい」という意見が聞かれました。
さらに、「推しの影響を受けて趣味や価値観の変化があった」と回答した人は9割にものぼり、「音楽(54.6%)」「趣味(44.2%)」「価値観・考え方(43.3%)」などで影響を受けていることがわかります。
グループインタビューでも、「推しに関連する会社に入りたい。中学受験は嫌だったけど、その会社に入るために偏差値の高い学校に行きたくて努力した」「推しと共演していた方の演劇を見に行くようになり、好きな俳優ができた」「韓国語と中国語の勉強をはじめ、将来は通訳にも興味がある」など多くの参加者が、推しの影響を受けて、趣味の幅を広げたり、将来に活きる学習をはじめたりしていることがわかりました。
また、2022年のヲタ活は外出規制緩和に伴い「推しとお出かけすること」がトレンドです。推しのアクスタ(※アクリルスタンド)やトレカ(※トレーディングカード)、ぬい(※ぬいぐるみ)を日常的に持ち歩き、カフェなどで撮影しており、それらを「推しを連れていく」と捉えているようです。それだけでなく、昨年流行したグッズを自分なりにデコレーションする「創作ヲタ活」の流れも続いています。
ヲタ活ファッションも「日常化」し、普段から使えるヲタ活グッズが求められるとともに、普段のファッションとヲタ活ファッションとの境界が曖昧になっています。
ライブ等のイベントをはじめ、ヲタ活時のファッションは「普段のファッションに一部ヲタ要素を取り入れる」と回答するZ世代が42.1%という結果となりました。
さらに、ヲタ活の際に「推しのカラーを取り入れる(44.2%)」「推しの雰囲気に合わせる(38.1%)」ファッションをした経験があるという回答が、「グッズのTシャツなどを着用する(27.2%)」という回答を上回り、ヲタグッズをそのまま着るのではなく、あくまで自分が普段着ている服装に合わせてヲタ活要素を取り入れていることがわかります。
グループインタビューでも、「グループカラーが普段の服装とは合わないので、小物や部屋に取り入れている」「(ファンの服装の雰囲気であるカッコいい服装に合わせつつ)自分が好きなフリルや猫がついた服を着る」など、ヲタ活時のファッションと普段のファッションを明確に分けるのではなく、自分の個性にヲタ要素をミックスした「ヲタ活ミックス」なファッションを楽しむZ世代が多く見られました。
「公式グッズを日常生活でも使用している」Z世代は約57.0%で半数を超えますが、公式グッズにおいては、「どんなグッズでも買う」と回答したのは1割程度になり、重要視されているのは、「デザインがお洒落(64.3%)」「ヲタバレしにくい(44.4%)」「自分の持ち物や洋服のテイストと合う(34.4%)」で、普段から使用できるアイテムが求められていることがわかります。グループインタビューでも「去年の推しのライブTシャツが、ロゴも小さく、デザインもとてもお洒落だったのでよかった。ライブTシャツに見えないようなものだったので私服でも着ていた」といった声がありました。
次に、ヲタ活に関するコミュニケーションについて見てみると、ヲタ活をしているZ世代のうち、96.0%が自分がヲタクであることを周囲に知らせていることがわかっています。一方、知らせている相手については「親しい友達(88.4%)」や「家族(77.3%)」が高い数値となり、「クラスメイト・部活やサークルの友達(45.6%)」「恋人・パートナー(22.9%)」の数値と差が出ていることから、全員に漏れなくヲタクであることをアピールしているのではなく、あくまでヲタ活について話す相手は絞り「ヲタ活安全圏」の中でコミュニケーションをとっていることが考えられます。
さらに、ヲタ活をどのSNSアカウントで投稿しているか聞いてみると「Twitterの投稿(ヲタアカ)(33.3%)」「Instagramのストーリー投稿(サブアカ・友達限定公開)(31.4%)」「Instagramのストーリー投稿(本アカ)(30.0%)」という回答が多数になり、不特定多数が閲覧するSNS発信においても、「ヲタ活アカウント」や、Instagramの「親しい友達機能」を活用して、発信を見られる相手を絞り、日常生活とヲタ活を切りわけた「ヲタ活安全圏」をつくって発信していることがわかります。
「自分の趣味やヲタ関連の情報を発信することで、興味ない人たちに不快な思いをさせてしまうことを防ぎたい」という声もあり、相手・場所によって自身の見せ方を使い分けていくZ世代の価値観が関係しています。
家族とヲタ活をしたり、家族がヲタ活に協力してくれたりすることがあると答えたのは64.5%で、友達感覚が強まっている「友達家族」の関係性がヲタ活でも垣間見えます。
グループインタビューでも「親がハマっていたアイドルに自分もハマった」「親がおすすめしてくれたオーディション番組を見て推し活にハマり、今も一緒に応援している」「朝イチで購入しなければならない商品は通勤しているお父さんに買ってきてもらう」など、家族とのやりとりがきっかけでヲタ活にハマったり、家族で仲良くヲタ活したりしている様子が聞かれました。
SHIBUYA109 lab.では、2018年から毎年Z世代のヲタ活について調査をしていますが、彼らのヲタ活を軸とした消費行動は年々広がりを見せています。公式グッズを購入する等の「オフィシャルヲタ活」だけでなく、コロナ禍に活発となった自作グッズを作って楽しむ「創作ヲタ活」を経て、「ヲタ活」はなくてはならない生活の一部となりました。
また、推しの存在は消費だけでなく価値観や考え方・キャリアにも影響を及ぼしており、好きを極めていく姿勢が様々なモチベーションを生み出しています。
近年、企業のマーケティングにおいてもZ世代のヲタ活の熱量が注目されていますが、ヲタ活が日常と表裏一体となった今、企業が取り入れるべき要素は「日常生活に溶け込めるヲタ活」です。デザイン性やファッション・SNS投稿の世界観など、ヲタであるZ世代の日常生活を主軸においた商品やプロモーションの設計が必要となるのではないでしょうか。
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