SHIBUYA109 lab.

Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査

株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査」を行いました。

扉絵

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INDEX 目次

1 Z世代の映像コンテンツの楽しみ方とは?

「テレビ離れ」「倍速視聴」など、Z世代の映像コンテンツの視聴態度が度々話題になっていますが、彼らの実態はどうなっているのでしょう。一都三県に住む男女を対象にした定量調査と、定性調査を実施し、彼らの映像コンテンツの楽しみ方を明らかにしました。

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【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2022年7月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
居住地:一都三県
性別:男女
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・短大・専門学校生など学生
回答者数:400名(男性200名/女性200名 ※動画配信系サブスク登録者)
※上記はスクリーニング後の本調査の人数となります。
※スクリーニング設問の回答者数はn=945(男性:459/女性:486)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。

②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件: 高校生~大学生・短大・専門学校生 女子4名×2G 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
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2 「倍速視聴」するのは約半数。Z世代が気にする本当の"タイパ"とは

Z世代の約7割が何かしらのサブスクリプションサービス(以降サブスク)を利用し、サブスク登録者のうち74.1%が動画配信サービスに登録している昨今、「テレビ離れ」「倍速視聴」など、彼らの映像コンテンツの視聴態度が度々話題になっています。
今回のSHIBUYA109 lab.の調査では、Z世代の映像コンテンツの視聴態度について、徹底調査しました。

Z世代のサブスクに登録状況

動画配信系サブスク等、低価格で大量に映像コンテンツを見られる環境が整うにしたがって"タイパ(タイムパフォーマンス)"が重要視されるようになり、85.0%のZ世代が「タイムパフォーマンスを重視する」と回答しました。
しかし、視聴態度の詳細を見てみると、「ながら見(別の作業をしながら映像を見る)」するZ世代が81.3%であるのに対し、「倍速視聴」は48.6%、「スキップ再生(映像を飛ばしながら見る)」は51.5%、「ネタバレ視聴(作品を楽しむ前にある程度の内容を把握しておく)」は44.3%と約半数程度にとどまりました。

Z世代のタイムパフォーマンス重視

Z世代の映像コンテンツ視聴姿勢

さらに、時間に対する価値観について質問すると、タイパを重視する理由として「自分が価値を感じるコトに、時間を割きたいから」という回答が49.3%で最も多く「世の中のあらゆることを効率化したい」という回答(30.8%)よりも高い数値がとれました。

Z世代のタイムパフォーマンス重視理由

グループインタビューでも、「何回も見たい作品があるが、家庭用録画機器だと記録容量を食ってしまうので、サブスクに入っている」「一回見れば満足な作品と、何回も見たい作品がある」など意見が聞かれ、全ての映像コンテンツをできるだけ効率化して見たいというわけではなく “自分の好きなものにできるだけ時間をかけたい” と考えており、時間の使い方に関してもZ世代の『メリハリ消費』の価値観が表れていることが分かります。常にコンテンツ過多の状態であるZ世代が、取捨選択して効率的にコンテンツを視聴する方法については「動画は1.25倍速で見る。他にやりたいこともあるし、長い話は省略したい」「特にタイパを良くする方法を調べたことはないが、『別の作業をしながら動画も見れる』と気づき、実践している。トリートメントしながら動画を見るなど、日常的にタイパを意識している」という声がありました。
ここから、コンテンツ消化のための工夫は生活の中で、ごく自然に行われていることが分かります。
一方で、「ドラマやアニメなど何話まで見ていたか分からなくなることがある」と回答したのは65.8%、「観たことはあるが内容を覚えていないような映画やドラマがある」は72.6% ※図4 、「常に見たいコンテンツがあり追いつかない」が70.8%となっており、大量の映像コンテンツを消費し続ける弊害もいくつか見受けられました。

Z世代の映像コンテンツの楽しみ方

3 「視聴したコンテンツをシェアする」が約7割!Z世代がサブスクを使う"コスパ"以外の理由

Z世代の消費傾向として、タイパと同じく「コスパ重視」の姿勢も注目されています。実際に「コストパフォーマンスについて考える」Z世代の割合は92.0%になりました。「コスパ」という言葉についても、「コスパが良いと感じる状況はどんな時ですか」という質問に対し、「料金が安い」(69.3%)に次いで、「1度買えば長く使える・長い時間楽しめる」(41.3%)、「浮いたお金で自分の趣味に充てられる」(33.5%)が多くなり、コスパを時間で捉えているほか、より好きなものにお金をかけるための節約と考えていることが分かります。

Z世代のコストパフォーマンスの考え

「一方で、動画配信系のサブスクを選ぶ基準※図7に関しては「コスパが良い(25.8%)」「価格が安い(23.3%)」よりも、「サービスに魅力を感じる(38.8%)」「好きなジャンルのコンテンツが充実している(35.3%)」が上位に上がりました。
「動画配信系サブスクの魅力はなんですか」という質問の回答も、「自分の好きな時間に視聴できる(50.3%)」、「CMがない(39.0%)」「暇つぶしになる(34.3%)」が上位となり、やはりコスパは関係なく、動画配信系のサブスクだからこそ享受できる視聴スタイルに魅力を感じていることが分かります。

Z世代の動画配信サービスの決め手

Z世代にとっての動画配信サービス系サブスクの魅力

グループインタビューでも、「どちらかというとサブスク登録は、お金の節約というよりもエンタメを楽しむための出費として考えている」「サブスクは、これまでなら知らなかった作品にレコメンドで出会えるので価値がある」「普段は見ない古い作品も簡単に見られるのがサブスクのいいところ」という意見が聞かれ、サブスクはコスパの良さではなく、サービスの魅力に惹かれて利用されていることがわかりました。サブスクを解約しない理由を聞いた質問では、「今のサービスに満足している」が71.3%となり、次点の「金額が高くない」(17.8%)という理由を大きく超えて最も高い数値となりました。グループインタビューでも、「レコメンドされる作品がこれまでの閲覧履歴に紐付いて決められ、アカウントが自分好みに育っており、リセットされたくないので退会しない」「見たいドラマを見つけた時にサブスクに入っていなくて見られない状態になるのが面倒なのでずっと入っている」などの意見が聞かれました。

Z世代の動画配信サービス系サブスクを解約しない理由

また、「動画配信系サブスクについて周囲と共有することはあるか」という質問に対し、周囲と共有するという回答は7割以上。「話題作は友達とのコミュニケーションのきっかけになっている」と回答したのは73.3%にものぼり、動画配信系サブスクは、一人で映像を楽しむのはもちろん、コミュニケーションのきっかけとしても役割を果たしていることが分かります。

Z世代の動画配信サービス系サブスクの共有

また、グループインタビューでも、「サブスクの作品だと(後から見られるので)友達に紹介しやすい」「見ている番組をInstagramのストーリーズにアップして、そこから時々『私もそれ見たよ』という話題になるのが楽しい」「会話のネタとして話題の作品を見ている。初対面の人とでも、コンテンツの話なら盛り上がれる」といった声が聞かれ、動画コンテンツは、サブスクに登録するモチベーションになるのはもちろん、コミュニケーションのきっかけに活用されていることが分かります。
「友達などが観ているコンテンツを視聴する」という回答も68.8%となり、友達とのコミュニケーションがきっかけで、動画コンテンツの視聴を開始することもあるようです。

Z世代の映像コンテンツの利用頻度

4 約3割は2〜3ヶ月に一度は映画館に行く。Z世代のテレビ・映画の楽しみ方

最後に、動画配信系サブスクに限らず、映像コンテンツ全般に関してZ世代がどのように楽しんでいるかについても調査しました。「普段視聴しているもの」として多かったのが「動画配信サービス(無料)」(84.0%)、「動画配信系サブスク」(62.3%)、「テレビ番組」(59.8%)となり、動画配信サービスやサブスクがテレビ番組を上回りました。一方、「周囲で話題になるもの」では、「動画配信サービス(無料)」(47.0%)の数値が最も高いものの、テレビ番組が動画配信系サブスク(有料)をわずかに上回りました。

Z世代の映像コンテンツ利用について

グループインタビューでは「ドラマの最後に見逃し配信のお知らせをしていて、動画配信系サブスクに入会した」「CMが放送されているような大手動画配信系サブスクを使いたいと思っている」という声が聞かれるなど、Z世代の中では、ネット上で動画を見ることが当たり前になっている一方で、「クラスの友達が視聴している放送中のドラマは、翌日にすぐに話題になるため、リアルタイムで視聴するようにしている。」といった声もありました。視聴タイミングが様々なサブスクとは異なり、テレビ番組は皆が同じタイミングで視聴するため、より話題にしやすいようです。
周囲と話題にする番組ジャンルとして上位を占めたのは、アニメや日本の映画・ドラマとなりました。

Z世代の映像コンテンツの視聴ジャンル

さらに約9割のZ世代が日常の中で映画館に足を運び、映画館に足を運ぶ頻度としては「2~3ヶ月に一度」が28.8%で最も多くなりました。映画館に行く理由としては、「友達と一緒に楽しめるから」(45.9%)、「世界観に没入できるから」(42.2%)、「友達とのお出かけの一環として楽しめるから」(36.1%)などが挙げられています。
グループインタビューでも「映画館に行くことは思い出になる。雰囲気の違う映画館が沢山あるから、行くこと自体が楽しい」などの声が聞かれ、映画館で映画鑑賞をすることは、"体験"として楽しまれていることが分かりました。

Z世代の映画を観る頻度

Z世代の映画を観る理由

5 所長コメント:お金・時間・コンテンツへの向き合い方…限られたリソースを上手に配分しメリハリをつけるZ世代

Z世代はタイムパフォーマンス・コストパフォーマンスを重視する傾向にありますが、あらゆる場面で合理的に無駄なく過ごしたいからではありません。自分が価値を感じることに時間やお金を充て、それ以外は節約していきたいという観点からメリハリをつけ、限られたリソースを上手に配分しているのが実態です。
映像コンテンツに対する向き合い方にも同様の傾向がみられます。サブスクリプションサービスやSNSで日々膨大な量の情報やコンテンツを受け取る彼らは、コンテンツの内容が自分にとってどのくらい重要かを判断し、視聴態度においてもメリハリをつけています。例えば、周囲とのコミュニケーションのきっかけの作りやすさ、映像コンテンツの世界観にどのくらい没入したいかなどの判断軸に合わせて視聴方法や場所を決定しているようです。



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