株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキュウラボ)』は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代のキャリア観に関する意識調査」を行いました。
「福利厚生を重視」「ゆるい職場を求める」…など、若者の働き方や、働く意欲に関して、よく話題になりますが、実際のところはどのように考えているのでしょうか。
24卒、25卒と言われる大学3年生、4年生であり、一都三県に住む男女を対象とした定量調査と、定性調査を実施し明らかにしました。
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【調査方法】
①WEB調査
調査期間:2024年1月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
(SHIBUYA109 lab.調べ GMOリサーチ プラットフォーム利用の調査)
居住地:一都三県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)
性別:男女
年齢:20~24歳
対象:大学3~4年生
回答者数:438名(大学3年生200名:大学4年生238名/男性172名:女性266名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
※一般企業に進む可能性が高い方、もしくは教員志望でも一般企業の選考を受けたことがある方のみ
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
デプスインタビュー
対象者条件:大学生 男子4名、女子4名 合計8名
※その他過去定性調査をもとに考察
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今回の調査ではZ世代のキャリア観について、2024年と2025年に大学卒業予定の大学4年生および3年生を対象に調査しました。(2024年1月時点)まず、仕事と成長に関する質問をしてみると、「自分の市場価値をあげたい」と考えているZ世代は75.1% (男性71.5%、女性77.5%)にものぼりました。一方、「自分のペースで成長したい」という回答は80.1%(男性74.5%、女性83.8%)となり、「誰よりも早く成長したい」という回答の49.1%(男性54.1%、女性45.9%)と大きな差が生まれました。
さらに、「『バリバリ』働いていきたい」と回答したのは49.1%(男性50.0%、女性48.5%)となっています。「バリバリ」のイメージを聞いたところ、「平均以上の年収を得る(48.4%)」「自分の稼ぎで生活ができる(46.0%)」「自分の稼ぎで好きなものが買える・好きなことができる(43.7%)」が上位になり、「市場価値が高い(31.6%)」「休みを返上して働く(30.7%)」といった項目よりも高くなっています。 Z世代の「バリバリ働く」とは、「自立した生活をする経済力を得るための働き方」だというイメージがあると言えそうです。
自由回答でも、「努力が認められて、それに見合った報酬や対価が支払われること」「日々成長を目指しながら働くこと」「仕事とプライベートを両立しながらも6:4の比率くらいで仕事を大事にする」などが聞かれました。自由回答をテキストマイニングした結果は下図となりました。一部「残業」「プライベート」などの言葉は見えるものの、「キャリアアップ」「積極的」などのワードも多く、仕事に対するマインドや仕事の充実度を重視したイメージであることがわかります。
グループインタビューでも「20代のうちは働こうと思っているので、逆にゆるすぎる会社には行きたくない。働けるうちに働かないともったいない(大学3年生女子)」「結婚するまでは仕事メインでOK。30歳前後で結婚するのではと考えている。残業も1日当たり2時間程度なら長いと思わない」など、意欲的に働く意識を持っていることがわかります。一方で、「年収は良かったとしても、幸福度はどうなんだろう?と考える。イキイキ働けてお金がそこそこ貰える仕事が良い。プライベートの時間も欲しい(大学4年生男子)」「プライベートを楽しみたくてお金が欲しいと思うので、お金のためにプライベートを捧げたくない。家庭も欲しい(大学4年生男子)」という意見も聞かれ、あくまで「生活や人生の充実度を上げるために仕事を頑張る」「プライベートを犠牲にはしたくない」という意識がうかがえます。
また、 「AIに代わられないような仕事・スキルを身に着けたい」と回答したのは70.3% (男性68%、女性71.8%)で、「選考の中でAIツール(Chat GPTなど)を使用してみたことがある」 と回答したのは32.9% (男性37.8%、女性29.7%)となりました。グループインタビューでも、「ESを書くにあたって使ったが、結局言葉を変えなくてはいけなくて自分で書くようになってしまった」「志望度の高くない企業だけESを書く時に(ChatGPTを)使った」「受けようと思っている企業の事業内容をChatGPTで大まかに調べてもらって、いい加減な部分もあるので、その後自分で調べた」など、日常の中で違和感なくAIツールが活用されていることがわかりました。
次に、働く環境について聞きました。「企業選びの際に注目している内容」については「福利厚生の内容(55.3%)」が最も多くなり、「SNSで触れている就活の情報で、参考にしている情報」についても「福利厚生」が39.7%でもっとも多くなったことから、働く環境に求めるものとして福利厚生が重視されていることがわかります。
また、「『ゆるい職場』に魅力を感じる」と回答したのは60.1% (男性54.7%、女性63.5%)になりましたが、「ゆるい職場のイメージ」を聞いてみると、「髪色や服装などの身だしなみの規定が少ない・ない(53.9%)」「規則が少ない(50.5%)」「ノルマが課せられない・達成しやすい(50.0%)」「大きな責任を負わない(48.4%)」「上下関係が厳しそうでない(46.1%)」が上位にあがり、責任や成績が求められない環境だけではなく、労働規則が自由であることも重視されていることがわかります。
また、快適な職場として求める要素としては、「休みがとりやすい・多い(62.6%)」「残業時間が少ない(57.8%)」「優しい人が多そう(54.6%)」となりました。
さらに、「ワークライフバランスを大事にしたい」と回答したのは87.9%(男性82.5%、女性91.4%)、「給料と労働時間が見合っているかできる限り確認している」と回答したのは71.0%(男性67.4%、女性73.3%)となり、プライベートと仕事の両立ができるかどうかを企業選びで厳しく見ていることがわかります。グループインタビューでは、「20代は仕事を頑張りたいが、結婚後は家庭の時間も大事なので、毎日23時まで働くのは避けたい。子供が生まれるまでは仕事が多めで、土日休めればOK(大学4年生男子)」「結婚することを前提に就活したので、転勤は嫌だった(大学4年生男子)」「仕事重視の生活で良いが、休みがないのは困る。土日休みならOK(大学4年生男子)」など、前項目に続き、男性も結婚・出産を考慮に入れてワークライフバランスを重視したキャリアプランを立てている声が印象的でした。
一方、「説明会や選考の中で『こんな会社は避けよう』『受けるのをやめよう』と感じた企業側の言動」について自由回答をテキストマイニングした結果、「アットホーム」といった単語が目立ちました。その他実際の回答を見てみると「良いところしか言わない企業」「他企業、他業種をさげすむ、バカにする発言」「私の話を退屈そうに聞いている」などの回答がありました。
「社内の雰囲気」の理想を聞いてみると、「穏やか・ゆったりしている(42.9%)」「明るい・賑やか(38.4%)」が上位に来る一方、「体育会系(3.9%)」「年功序列・上下関係がしっかりしている(8.2%)」の人気がないことがわかりました。
また、全体の傾向は似ているものの、男性だけでみると「自由・柔軟」が1位となり、上位項目でも男女で差が開いていることから、会社に求める雰囲気では男女に違いがあることがわかりました。
最後に、入社後の働き方についてまとめました。
まず、「あなたは入社後、どのように活躍したいですか」という質問に対し、「周囲の人に頼りにしてもらえる(42.9%)」「一緒に働いている人や同じチームの人に認められる(41.6%)」などの回答が多くなり、関わる仕事の規模の大きさや成果よりも、周りからの承認を重視していることがわかります。実際にグループインタビューでも、「(自分が成長したと思えるのは)後輩に頼られるようになったら。大学時代のサークルで『先輩の話を聞いて最後まで続けようと思った』と後輩に言われて泣きそうになったので、職場でもそういう人になりたい(大学3年生女子) 」という声が聞かれました。
新卒で就きたい職種では、「営業(16.7%)」「企画・マーケティング(14.8%)」「ITエンジニア(13.7%)」が人気な一方、将来就きたい職種では「企画・マーケティング(20.1%)」「事務・管理(16.4%)」「経営戦略・事業開発(11.9%)」が人気になりました。「希望の部署や業務に携われない場合は転職も考えている」という回答は50.9%となっています。
さらに、「将来的には『マネジメント』や『管理職』にも興味がある」という回答は53.5%、「リスキリング支援が充実している企業が良い」という回答は64.4%となりました。グループインタビューでは、「クライアントに名指しで仕事をもらいたい。自分だからできる仕事をやりたい。経営側にはいきたくない。経営側に行くと自発的な仕事ができないイメージなので、ずっとプレイヤーでいたい(大学3年生女子)」「役職があったら不満に対する意見が通りやすいだろうし、やりたいこともできそう。本部長くらいまでは考えているが、その上の役職になることを考えたことは無い。社長になるほどの能力がないし、社長を支えるほうが向いている(大学4年生男子)」「役職を得ようと思うほどガッツがない。結果として役職をもらうことになるならやってみたい。上に立ちたいというわけではなく、お金もらうためにも、役職は必要だと思うので(大学4年生男子)」など、仕事で活躍はしたいものの、役職については消極的な意見が多数聞かれました。
ワークライフバランスを重視したり、「ゆるい職場」に魅力を感じるなど、一見仕事に対する意欲が無いように思われがちな若者ですが、市場価値を高めることも含め、一定の成長意欲を持っている実態が見られています。
現在、人手不足が深刻化しているなか、貴重な働き手である若者の就業意識に関する注目が高まっていますが、無闇な過保護体制ではなく、成長の見える化や、個々のペースに合わせた成長支援など、若手の成長支援と向き合う姿勢やプロセスの見直しが必要です。
また、本来はポジティブな言葉である「アットホーム」などの言葉が、若者にはネガティブに感じられる等、言葉の受け取り方が変化している実態もあります。採用活動等において若者に伝える魅力やメッセージの設計も、非常に重要なポイントです。
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