株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキュウラボ)』は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代の承認欲求に関する意識調査」を行いました。
Z世代の承認欲求について調査するにあたり、自分の「承認欲求」を100点満点で採点してもらった結果、平均は41.2点と50点を超えておらず、30点以下をつけた人数の割合は38.0%となりました。
さらに承認欲求について聞いた際、フリー回答のテキストマイニングしたところ、InstagramやインフルエンサーといったSNSに関連する語句に加え、「バカッター」「メンヘラ」などマイナスな印象を表現する言葉も多く見られました。Z世代の承認欲求とSNSには密接な関連性があることがうかがえます。
SNSと承認欲求の関係について調査していく上で、まず基本情報として各SNSの閲覧頻度は、いずれも「1日複数回」が最も多くなり、Instagram:63.1%、X(旧:Twitter):57.9%、TikTok41.3%、動画配信サービス:69.1%となっており、複数のSNSを日常的に何度も見ることが当たり前になっています。
また「多くの友達と繋がる自分のメインのアカウントは非公開(鍵)アカウントである」という質問に対して「はい」と回答した割合は68.7%であり、多くのZ世代はSNSで不特定多数から承認されたい、リアクションを受けたいという目的でSNSを行っておらず、身近な人とのコミュニケーションのために使用していることがわかります。
インタビューでも、「SNSで絵を描いて投稿しているが、好きで描いているだけ、閲覧数やいいね数は気にしていない」「SNSは公開設定にしない。鍵をかけないと投稿から今いる場所などがわかるので怖い」「SNSは思い出を載せる場所」など、狭いコミュニティで自分の好きなことをシェアしたり収集したりして楽しむ手段の一つとしてSNSを楽しんでいる意見が聞かれました。
承認欲求に関連するSNSの事柄について聞いたところ、「SNSを通じて『承認欲求』が満たされていると感じることがある」には「あてはまらない」という回答が60.2%と多数派になりました。「SNSは『自分の居場所』を感じられるツールである」「SNSを通して多くの人からの共感(いいねなど)がほしい」「SNSを通して身近な人に『羨ましい』と思われたい」についても6割以上が「あてはまらない」と回答したため、SNSで承認欲求を満たそうとしている様子はこの調査では見られませんでした。
一方で「SNS上で他人から『承認欲求』が高い人と思われたくない」と57.9%の人が回答し、「承認欲求は高く見られたくない」という意識がうかがえます。
インタビューの中で、承認欲求の高い人について聞いてみると、「プライドが高そう」「ポジティブには思わないが、自分も承認欲求が高いので完全に嫌だとは言えない」などの意見が聞かれており、「承認欲求」についてマイナスなイメージが持たれていることがわかりました。
また、「『承認欲求』を満たしていると感じる他人の行動」においては、「自撮りの投稿(公開)(53.3%)」「顔やスタイルを大幅に加工した写真の投稿(36.1%)」「高頻度での投稿(30.9%)」が挙がりました。SNSは他人の承認欲求を感じる場所であり、そのように受け取られる行為を避けることで自身の承認欲求が高いと思われないように気を付けているようにも思われます。
それではZ世代がどうやって承認欲求が満たされたと感じるのか、「日常生活の中で『承認欲求』が満たされた状態だと感じるものを教えて下さい」という質問で聞いてみると「人から頼られた(47.9%)」「集団の一員として認められた(41.0%)」「自分の努力に対してリアクションがもらえた(40.8%)」が高くなり、直接的に何かを褒められることよりも、他者からなにかしらの良いリアクションが得られることに票が集まりました。
求めている褒められ方としては、「大勢の前よりも、個別で褒められたい」という回答が62.7%になっています。この傾向は、承認欲求の点数の平均点(40点台)を基準に承認欲求度が低い(30点以下)グループで特に顕著で、承認欲求度が高い(51点以上)グループでは半数程度なのに対し、30点以下のグループでは、7割以上になっています。
グループインタビューでも、「大勢の前で褒められると嬉しいけど『そこまで大したことじゃないのに』と思う」「大勢の前で褒められるのはちょっと負担かな。目立つし、嬉しさより恥ずかしさが勝ってしまう」などの意見が聞かれました 。
周囲からの見られ方に関する質問については、「意見を言う時、周囲に反対されないか気になる」という設問に「あてはまる」と回答した人数は全体で66.1%、「場違いなことをして笑われないよう、いつも気を配る」という回答は、全体で62.4%、「相手との閧係が悪くなりそうな議論はできるだけ避けたい」という回答は全体で67.0%と全体的に周囲の目を気にする傾向がありました。
さらに各結果を承認欲求度の高いグループ・低いグループで分類すると、「意見を言う時、周囲に反対されないか気になる」という設問に「あてはまる」と回答した割合は、承認欲求度が高いグループでは73.4%、低いグループでは60.3%、「場違いなことをして笑われないよう、いつも気を配る」という回答は、承認欲求が高いグループでは69.7%、低いグループでは55.6%、「相手との関係が悪くなりそうな議論はできるだけ避けたい」という回答は、承認欲求が高いグループは71.8%、低いグループは61.9%となり、承認欲求が高いグループの方がすべての項目で高い割合となり、より周囲の目を気にしていることがわかります。
また、同様の設問を職業別で見てみるとすべての設問で高校生の属性の回答者が当てはまると答える割合が高くなりました。「教室」や「部活」といった限られた友好関係のなかで生活する高校生はより周囲からの見られ方に敏感であることがわかります。
また、目標達成について聞いたところ、自分の承認欲求に51点以上を付けた承認欲求が高いグループは「誰かに貢献したい・役に立ちたい」という回答が43.6%があるのに対して、自分の承認欲求の点数に30点以下をつけた低いグループは60.2%となり、承認欲求の点数に低い点数をつけたグループの方が、目立つ功績よりも、周囲への貢献意識が強い傾向があると考えられます。
「可能な限り失敗を避けつつコツコツ経験を積みたい」に関しても、自分の承認欲求に51点以上をつけたグループは53.3%のところ、自分の承認欲求の点数に30点以下をつけたグループは67.6%となり、承認欲求の点数に低い点数をつけたグループの方が、リスクを避ける傾向がることがわかりました。
ここまで他者からの見られ方や評価について聞いてきたため、最後に自分自身の見方や評価を確認するために「自分への満足度」について聞いてみました。 自分への満足度への理由をプラス因子とマイナス因子を同時に聞き、グループごとにみてみると、承認欲求が高いグループは、「環境に恵まれているから(28.1%)」「ほかの人と比べると幸せな方だと思うから(28.7%)」など他者起因の理由が高く、承認欲求が低いグループは「自分の能力が気に入っていない・不足感があるから(28.5%)」「自分の外見が気に入っていないから(27.8%)」など自分起因の理由が高くなっているのが特徴です。悪い面は自分自身に、良い面は周りの環境に要因があると考えていることがわかりました。
SNSネイティブである若者は、不特定多数からの「承認」を求めているイメージが先行しがちですが、彼らの承認欲求は、実際には自分の身近なコミュニティからの承認で満たされています。
また彼らは周囲の目を非常に気にしていることから、集団から外れた目立つ行動を避けたい、という意識が強い傾向にあります。そのため、「承認欲求が高い」と他者から思われることをネガティブに捉える傾向にあったり、集団から目立ちすぎないようにしたいと考えて、謙遜することで期待値調整をしている実態も見られています。
若者たちが求めている「承認」や、周りの目を意識した期待値調整をしがちであること等、彼らの実際の行動の裏側にある意図をしっかり把握することが職場の同僚として、また消費者としてのZ世代とコミュニケーションを行う上での齟齬を防ぐことに繋がりそうです。
■無料レポート請求
本調査記事で使用されたWEB調査のグラフレポートを無料で配布しておりますので、以下よりお問い合わせください。
会社名 | 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント |
---|---|
TEL | 03-3477-6719 |
FAX | 03-3477-6702 |
本社所在地 | 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番7号 五島育英会ビル4階 |