株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキュウラボ)』は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代のジェンダー・多様性に関する意識調査」を行いました。
一般にZ世代はジェンダーに関する課題への関心が高いとされていますが、2020年にSHIBUYA109 lab.がZ世代を対象に実施したSDGsに関する調査において、SDGsにおける17の目標のうち、日本がより力を入れて取り組むべきだと思う目標は「ジェンダー平等を実現しよう」が第1位となっています。
(参考:https://shibuya109lab.jp/article/200818.html)
それを受け、今回も「日本がより力を入れて取り組むべき課題」について質問したところ、第1位(42.9%)は「ジェンダー平等を実現しよう」になりました。
グループインタビューでも、「ジェンダーに関する授業を大学で履修しているので身近に感じる」「生徒同士でジェンダーについてディスカッションする授業が人気になっている」などの意見が聞かれました。
実際に、SDGsに関する情報が授業でも提供されていることは定量調査でもわかっており、「SDGsに関する授業を受けたことがある」Z世代は73.0%、「ジェンダーに関する授業を受けたことがある」は57.8%となりました。
ジェンダーとファッションに関して「性別にとらわれずにお洒落を楽しみたい」と回答したのは71.7%、「ジェンダーレスにお洒落を楽しむのはその人の自由だと思う」という回答が78.9%、「すでに性別にとらわれずにお洒落を楽しんでいる」という回答が58.1%になりました。
グループインタビューでも、「性別を気にしてファッションアイテムを購入することはない。着たものがたまたまメンズだということもよくある(女子大学生)」「大きめのサイズの方が着ていてかわいい場合はメンズを購入する(女子大学生) 」「ウエストの位置がウィメンズの方が合うので女性用のアイテムを着ている(男子大学生) 」など性別関係なくファッションを楽しむ姿が見られました。
ショッピング体験に関しては、「男女が分けられている店には入りづらい。古着屋などは、メンズ・ウィメンズ分けずに商品が陳列してあって見やすい。フロアがメンズとウィメンズで分かれているお店は見づらい」「ドラッグストアのような内装の専門店やオーガニック系のブランドだと男性だけでも入りやすいが、コスメを購入する時に男性は入りづらいお店も多い」などの意見が聞かれています。
学校制服に関して、「制服の中で、男女ともにスラックス・スカートどちらの選択肢もあるのは良いことだと思う」と回答したのは77.6%となり、実情を調査した質問でも学生生活において、「女子生徒もスラックスの選択肢がある」のは50.5%、「スラックスを着用している女子生徒がいる」のは44.6%となりました。
グループインタビューでも「高校1年生の時に女子がスラックスを履いても良くなったし、今年からネクタイの長さも同じになる。生徒会が学校に提案して変更になった」「女子がスラックスを履いても良くなったし、年々実際にスラックスを履いている女子も増えてきている」「女子もスラックスOKにすることが、生徒会選挙の公約になっている」などのエピソードが挙がりました。
「これまで生きてきた中でジェンダーに関する不平等を感じたことがある」には49.4%が、「これまで生きてきた中で性別が要因の生きづらさや理不尽さを感じたことがある」という設問には38.5%の方が「とてもあてはまる」「ややあてはまる」を選択しました。
さらに、上記の設問に対し「とてもあてはまる」「ややあてはまる」を選択した対象者から、ジェンダーに関する不平等感や理不尽さを感じる場面について聞いてみると、「SNS上での発言やコンテンツの中で」が33.6%、「学校生活の中で」が30.0%、「家族や親せきとのやりとりの中で」が25.2%で多くなっています。グループインタビューでは、「共働きなのに母親の方が家事の負荷が高いのをみて、自分の家庭内で違和感を感じた」「飲食店で量が少なめのものを頼もうとすると『レディースセット』といった名前になっていて、(自分が男性なので)頼みづらい」などの実体験が話題に上りました。
また、「『男なんだから』 『女なんだから』という性別『らしさ』を強要されること」に違和感・不平等感を感じるのは64.6%となっています。グループインタビューでは、「学校にも性的マイノリティであることをカミングアウトしている人がいて身近な存在である」「男女平等を社会全体で掲げていて、そういうのを理解しないといけない風潮があって、皆も理解しようとしていると感じる。考え方がどんどん変わってきているんだなと思う」といった声が聞かれました。
また、「ジェンダーに関して差別的・不適切な発言をしている人がいたら不愉快だと感じる」と回答したのは、63.5%となりました。また、「ジェンダーに関して差別的・不適切な発言をしないように意識している」のは66.6%になりました。
最後に、ジェンダーを含む価値観の多様性に関して、「価値観が合わない人がいるのは仕方ないことだと思う」という回答は79.1%、「価値観が合わない人とは戦わずに距離を置きたい」のは73.4%、「価値観が合わない人とも歩み寄っていきたい」という回答は半数以下の43.8%となりました。
インタビューでは「考え方が違う人がいるのは仕方がないと思うので、各々が楽しく過ごせれば良いかなと思う」など、異なる価値観を持つ人に対して距離を取ることで衝突を避ける傾向にあることがわかりました。
「ジェンダー平等」は、Z世代にとって最も身近な社会課題です。
彼らは無自覚なジェンダー差別で誰かを傷つけたり、自分自身の選択肢を狭めてしまうことが無いように学校の授業で学んでいます。学校の制服に関する制度を変える提案をしたり、日々のコミュニケーションの中でも意識するなど、能動的にジェンダー平等を体現する実態も見られています。また、ファッションをはじめとしたジェンダーに囚われない消費は浸透しつつあり、個人の選択肢を狭めない「選択できる余白」を求めています。
今後企業は、職場のユニフォームや売り場づくりなどにおいて、「こうあるべき」をアップデートしていけると、新たな働きやすさ・買い物しやすさの創出ができるかもしれません。
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