株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:木村 知郎)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、around20(20歳前後)男女を対象に、「若者のSDGsに対する意識」ついて調査を行いました。
SDGsの認知状況について聞いてみたところ、約6割のaround20がこのキーワードを認知しており、「名前のみ知っている」と回答したが人が21.0%、「名称と特徴程度を知っている」と回答した人は23.9%となりました。
またSDGs17の目標から、日本がより力を入れて取り組むべき課題であると思うものを聞いてみたところ、最も多い回答は「5.ジェンダー平等を実現しよう(33.6%)」、次いで「1.貧困をなくそう(30.8%)」、「3.すべての人に健康と福祉を(30.4%)」という結果となりました。
グループインタビューで聞いてみたところ、自分自身や身近な人との関わりがある課題や、学校の授業で取り扱われる課題について問題意識が高い傾向にありました。
「ジェンダー平等」については、特に「LGBTQ+」「ジェンダーの不平等や差別」に対して身近かつ解決したいと感じているaround20が多くみられます。
実際に「身近な友達にもLGBTQ+の子がいて、批判をする人に対して疑問を感じる」「TikTokなどでもLGBTQ+であることを公言し、自分が受ける差別に対する意見などを発信する子をよく見るようになった」「LGBTQ+に対する差別について友達話すことがある」という声が上がりました。
また「ジェンダーの不平等や差別」について、「自分が着たい洋服・メイクをしていたりすると、男の子ウケにはこっちの方が良いよ、と言われ疑問に感じた」「WEBメディアなどでも“男の子は黒髪の方が好きだ”など書かれていたりすることもあり、自分自身ではなく性別で判断されることを窮屈に感じる」等の自らがジェンダーの不平等を感じるシーンを体験することが多いようです。
社会課題解決に対する興味関心度を聴取したところ、「関心がある」と回答したのは59.5%と半数以上のaround20が、関心があることが分かりました。また、現在の社会課題解決に対しての取り組み状況については、「関心はあるが、特に具体的に取り組んでいることはない」が36.8%と最も多く、次に「具体的に取り組んでいることはないが、情報収集をしている」26.4%という結果となり、社会課題解決に対して関心はあるものの、具体的なアクションを起こしているaround20は少ないことが分かります。
では、around20はどのように社会課題に接触しているのでしょうか。 社会課題に関して知るきっかけについて聞いてみたところ、最も多いのは「学校の授業(43.1%)」、次いで「テレビCM(22.0%)」「ドラマ・TV番組(21.4%)」という結果となりました。
グループインタビューで聞いてみたところ、高校や大学の授業で社会的課題について理解を深める、議論をするなどのシーンが多くあると聞かれており、学校の授業がきっかけで知る機会を持つaround20が多いことが分かります。
また直近の社会的課題への接点について聞いてみたところ、SNSからの接触も増えていることが分かりました。例えば、米国での黒人差別への抗議活動である「#BlackLivesMatter」や、「動物愛護法の各種数値規制改正案」 が挙げられ、それぞれインフルエンサーや友人のSNS投稿で見かけたことが、知るきっかけになったという声も多く聞かれています。
around20のメインの情報源はSNSですが、TVに出ているような有名人よりも、身近な人や親近感のある人の情報を参考にしています。社会的課題についても同様で、SNSを通じてaround20の社会的課題に接触する頻度がこれまでよりも格段に上がり、意識も高まっていることが考えられます。
またaround20にとって、社会的課題の解決に取り組みについてどんなきっかけがあればより取り組めるか聞いてみたところ、最も多い回答は「お金の節約になる(42.0%)」次いで「社会的課題について知る機会が身近に増える(32.5%)」、「自分が関わった事柄の成果が見える(26.0%)」という結果となりました。
実際にグループインタビューでは、「レジ袋有料化のタイミングで、節約にもなるのでエコバックを購入した」という回答もあり、エコバックや水筒を持つなど、環境にもよく節約にもつながる行為は比較的浸透しやすいことが考えられます。
SDGs・社会的課題について、情報の接触頻度と興味関心は強まっているものの、身近に感じられるシーンが少ない項目については自分ごとになっていないのが現状です。
企業のSDGsの取り組みについては56.4%が「好感を持てる」と回答しており、社会的課題の解決については、「個人や企業が協力し解決すべきだと思う」という回答が43.8%と最も多く、企業と個人が連携していくことに対して意欲的であることが分かります。
しかし、グループインタビューでは実際に企業の取り組みについて知る機会がなく、「就活における企業研究のタイミングで企業のSDGsに対する取り組みを見ることはあるが、それまで考えたことがない」という回答がきかれました。実際に企業SDGs文脈の取り組みであっても、自分に身近でないブランドの取り組みについては理解を深めるための行動が省かれるため、気付いていないケースが多い傾向にあります。
幼い頃から社会的課題について触れる授業を受けているなど、around20はSDGsについても身近かつ意識が高い面が見て取れます。また、SDGs・社会的課題に関する情報について、関心はあるものの、自分から積極的に調べることは少ないのが現状である一方で、コロナ禍のおうち時間でインフルエンサーの発信に向き合う時間も増えていることから、動物実験を伴うコスメの実態についてWEBで調べたり、ジェンダー学についての本を読み始めるなど、有り余る時間を知識の深耕に使うaround20が増えている傾向がみられています。
また、企業の社会的課題に対する活動については好印象を受けてはいるものの、一緒に取り組める事が少ないため、企業は 一方的な発信をするのではなく、around20の消費行動の特徴でもある「共創する余白」を要素として取り入れ、関わった成果を可視化する等、若者を巻き込んだ施策に落とし込むことがポイントとなりそうです。またSDGs17の目標に関しては、授業やSNSの投稿以外にも、SDGsについての体験を交えながら理解を深める機会を増やすことで、関心をアクションに変えられるaround20が増えるのではないでしょうか。
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【アンケート調査概要】
①WEB調査
調査期間:2020年7月
対象者条件:15~24歳 男女
有効回答数:N=800(高校生・大学生各400/男女各400)
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
調査期間:2020年7月
対象者条件:高校生・大学生の男女
人数:各グループ5名×2グループ
※その他過去の定性調査をもとに考察
調査実施・分析:SHIBUYA109 lab.(運営:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント)
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