SHIBUYA109 lab.

新たなマナーに価値観の変化…2020年、"コロナ禍の就活"で起きたこと

株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:木村 知郎)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、2020年度に就職活動を行っている計11人の学生にインタビューを行いました。

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INDEX 目次

1 around20に調査。コロナ禍の就活はどうなっているのか

コロナウイルスの影響で、大きな打撃を受けた日本経済。その影響は就活生たちにも重くのしかかっています。

例年人気が集まる旅行業界やエンタメ業界が直に打撃を受け、募集を取りやめる企業が続出。志望していた学生たちにとっては無念としか言いようがありません。業界を問わず採用数を絞る企業も増加しており、ここ数年の就活市場と比較すると厳しい状況になっています。

さらに、オンラインでの選考が増加。採用活動そのものの在り方が大きく変化し、想定とはまったく違った形で就職活動がスタートしました。

就活生たちは、この未曽有の事態にどう立ち向かっているのでしょうか。

この度、SHIBUYA109 lab.では、2020年度に就職活動を行っている計11人の学生にインタビューを行いました。

これまでの常識が通用しない、コロナ禍の就職活動。話を聞いて見えてきたのは、想像以上に柔軟に対応する彼らの姿でした。

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■参考データについて
【調査方法】
グループインタビュー
男子:計7名(4名/3名 全2回)
女子:4名(全1回)
調査期間:2020年5~6月

※その他過去の定性調査をもとに考察
調査実施・分析:SHIBUYA109 lab.(運営:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント)
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2 これまでとは一変した就活。志望先に変化は…?

就職活動が本格化する4月に東京都で緊急事態宣言が発令された今年。就活生たちはどのように活動を進めていたのでしょうか。

学生たちに話を聞く中で多く聞かれたのは、「すでにベンチャーを中心に動いていた」という声です。

「就活ではじめてセミナーに行ったのが3年生の4月。先輩が紹介してくれた就活支援団体のものです。いろいろと教えてもらい、サマーインターンにたくさん応募していたら、なんだか急にベンチャー志向になってしまった」

そう話すのは現在ベンチャー中心に就職活動を進めているAさん。

2021年卒(今年の就活生)対象の採用活動より活動時期が自由化されたため、コロナウイルスが話題にのぼる前から行動を起こしていた人がほとんどでした。

スケジュール例

早い人だと、3年生になった段階から就職活動を始めているようです。

広告業界志望のA君は、「3年生のサマーインターンは絶対に出した方がいいと思いました。ベンチャーで10社くらい出して、自分の成長に繋がったと思います。大手に絞る必要はないなと感じる」と話します。

サマーインターンを開催しているベンチャー企業は多く、そこで就職活動のいろはを学びつつ早期内定の確保を目指す学生が多いようです。

コロナ禍の状況変化を経てもベンチャー企業を視野に入れる学生は多いですが、コロナウイルスの流行によって考え方が変わったという学生も。

外資系志望のB君は「私の行きたい業界はコロナの影響が大きいので、だからこそ、基盤がしっかりしているところがいいなと思いました。影響を受けても立ち上がれるところがいいですね。ずっとベンチャーも見ていたけど、大手の方がいいなと思うようになりました」と話します。

"コロナウイルスの影響に耐えうる大企業"といったワードは複数の学生の口から出ており、エンタメ・広告志望のC君は「エンタメや広告は景気に左右されるんだと実感した。厳しい状況でもコロナを見越して新たな事業を打ち出している会社などはすごいなと思います」と話していました。

3 就活生の情報収集テクニック

採用活動の状況や手法がこれまでと一変した今年。情報収集にこれまで以上に力が入る学生が多かったようです。

情報収集ツール

「みん就の掲示版で、『不安ですよね』みたいなつぶやきをしていた。あとはTwitterで検索をかけてみたり。同じ状況の子たちがたくさんいました」と話すのは、マスコミ志望のBさん。

Twitterのほか、LINEのオープンチャットで見知らぬ人たちと状況を共有する学生も多いといいます。

ベンチャー志望のAさんは「業界ごとに結構オープンチャットがあります。企業の公式もあるし、学生が勝手に作ることもできるので、みんな活動的にやっていました、匿名なので簡単に質問ができて良かった」と話していました。

4 コロナ禍で学生たちが見た企業のリアル

コロナ禍で就職活動を行う学生たちの多くが口にしていたのは、「企業から返信が来ない」という一言。

大手企業で採用情報が本格的に解禁され始めた直後に緊急事態宣言が発令され、企業としても採用活動が進めにくかったのは言うまでもありません。

オンラインに素早く切り替えた企業、対面での選考を重視し採用活動の中止決めた企業、はたまた決断しきれず数か月音沙汰のない企業…。対応の方法やスピードにはかなりの差があったといいます。

マスコミ志望のBさんは、「2ヶ月くらい返信が来なくて、急に中止になった会社もありました」と話していました。

また、緊急事態宣言が解除された頃、面接に呼び出す企業に不安を覚えた学生は多かったようです。

「緊急事態宣言が解除された途端、急に対面での面接に呼び出す会社もありました。この状況で飛行機に乗ったりするのは不安になりますよね。リモートワークにすぐに対応していなかった会社や、面接のために学生を呼びだす会社は、あまり行きたくないかも」

対応力の差を目の当たりにし、企業選びの視野がかえって広くなった学生も。

「みんなが知っている大企業でも、連絡が遅いと『あれ…』と思うようになりました。逆に、中小企業でも連絡が早いところは行きたくなった。今までネームバリューばかり気にしていたけれど、リモート選考に素早く切り替えてくれる会社に目を向けるようになったので、そこは良かったと思います」

ほとんどの学生が、今回の未曽有の事態への対応力が企業選びの指標になったと話していました。

4 オンライン面接のメリット/デメリット

採用数が絞られるなど、苦しい状況が続く今年の就職活動。選考のスタイルも大きく変化し、困惑している学生が多い一方で、“オンライン面接”そのものにはメリットを感じているという声が数多くありました。

情報収集ツール

あげられていたメリットの中で最も多かったのが「交通費がかからない」という点。

広告業界を志望するA君は、「就活の期間はバイトにあまり入れないけど、交通費でお金を持っていかれないので助かった」と話します。

合わせて、効率の面でも大きなメリットが。移動時間がかからないため、時間を有効的に活用でき、「面接が始まるギリギリまで対策ができる」と話す学生が多かったです。

外資系企業を志望していたB君は「オンライン就活は本当に恩恵も受けた」と話します。

「1日に面接を2~3個続けて入れられたので、たくさんの会社を受けられました。とりあえずいろいろ受けてみようと思えた」

また、授業にも出席しなくてはならない学生からすると、とても良い環境だったようです。

「4年生だけどまだ単位がけっこう残っていたので、学校との両立がしやすく、すごくありがたかったです。対面だと会社に行くまでに時間がかかり、授業を切らなきゃいけなかったりする。授業も面接もオンラインだったので、本当にスケジューリングがしやすかったですね」

「Uターン、Iターンなどがしやすい」と話す学生もいました。

デメリットとしてあげられていたのは「空気感が伝わってこない」という点。

「一度もオフィスを見ずに内定をもらった会社がある」と話すのはエンタメ志望のCさん。

企画職を志望している君は「実際に会社へ行けば、入り口から面接会場に行くまでのあいだに、案内してくれる人の対応など、総合的な雰囲気がわかった。それがないのがすごくネックです」と、不安を語っていました。

そのほか、コミュニケーション能力に自信のある学生からすると、オンライン面接は不利に感じられたようです。

メーカー志望のE君は、「コミュニケーション能力をア伝えたかったけど、対人じゃないと伝わりづらく、アピールポイントを押し出しにくい」と話していました。

4 新常識!オンライン就活の未知なるマナー

入る前に3回ノック、ドアを開けたら一礼… これまで伝え聞いてきた面接時のマナーも、オンライン就活となれば使いようがありません。

まだこれといった正解が存在しない、オンライン面接でのマナー。学生たちは面接をこなすなかで、オンライン上の心遣いを自ら手探りで学んでいったようです。

学生たちから教えてもらった“オンライン面接時の気遣い”を、いくつかご紹介します。

・話すときはカメラを見る
「第一に、カメラを見るようにしています。画面に映る相手の目を見ていると、目線が下がってしまう」

・他の人が話しているときはミュートに設定
「他人がしゃべっている時はミュートにすると気遣いができていると捉えられるかなぁと思って、始めてみました」

・Zoomのミーティングルームに早めに入室
「対面でも同じですが、早い時間に参加しておくのは意識していました」

・発言する時は手をあげる
「オンラインでのグループディスカッションは大変でした。タイミングがかぶって空気が悪くならないように、発言するときは手をあげるようにしました」

さらに、マナーだけではなく、さまざまなコツを習得しながら選考を進めていたようです。なかには、採用担当者には絶対に言えないハック術を編み出した学生も…。

・ヘッドセットで音声ケア
「初めてやったオンライン面接がもうダメダメだった。電波が途切れて、面接官に『もう1回お願いします』と何度も言われた。歯切れが悪い感じになってしまい、そこは落ちたので、ヘッドセットを買いました」

・蛍光灯は使わない
「蛍光灯の光は画面が荒れるのでやめたほうがいいと聞いたので、ライトを買いました。面接の時間もなるべく午前にして、電気を全部消してライトでやっていた」

・身振り手振りは画角を意識
「対面であれば自由に表現できるけど、オンラインだとできないので、画角を意識していました」

・背景は父の部屋
「父の部屋に移動して面接を受けていました。家の中で一番いい感じの背景を選んだ」

・PCにカンペ(!)
「PCのカメラのあたりにカンペを貼って使っていました。Zoomだとウィンドウを小さくできるので、バレづらく、つっかえずに話せました。企業に合わせていちいち志望動機を覚えるのはマジで面倒くさいので…」

COMMENT所長から

長田麻衣

就活のオンライン化により、学生が企業の社員やオフィス等の雰囲気を直接体感できる機会が減少しています。企業を知ってもらうという面では、各社のコロナ禍の対応にも非常に注目が集まりました。

例えば、在宅勤務への移行やオンライン面接への切り替え等、働き方や選考においてスピーディーかつ柔軟な対応ができている企業や、選考に関する連絡や報告をこまめにくれる企業に対しては信頼感が増し、好感を持った学生が多かったようです。この未曾有の事態によって、企業の「柔軟性」も学生にとっての重要な判断軸となったと感じています。

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