こんにちは!SHIBUYA109 lab.の長田です。
SHIBUYA109 lab.では、毎週対象にグループインタビューを実施しています。話を聞くと、最近の女子たちはコスメ・ファッションや趣味に時間をかけたり、友人とカフェに行ったりと本当に大忙し。
そこで気になるのが、彼女たちのお財布事情。いったいどんなやりくりをしているのでしょうか。
実際に「月ごとの自由に使える金額」を聞いてみると、「毎月いくらお小遣いを貰っているかわからない…」や「都度お小遣いをもらっているから、総額が不明…」と、彼女たち自身も把握していないのが現状です。
この状態では、Web調査で同じ質問をされた場合、「わからないけど、だいたいこれくらいかな…」となんとなく回答している可能性がある。では、実態を正しく調査するには──そこで、次の仮説を立てました。
「around20女子のお財布事情は本人よりもママが一番知っている」!!
今回は、この仮説をもとに、around20の子をもつ母親を対象にweb調査とSHIBUYA109来館者アンケートを実施。親子の関係から若者たちのお小遣いやお買い物にまつわるお金周りの事情を、探っていきます。
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■参考データについて
①「around20ママ対象web調査」
実施期間:2018年3月
対象者:1都3県32歳~59歳 中学生~大学生の女児を持つ母親
N=600(長子の学齢が中学生・高校生※高専含む・専門/短大/大学生 各200)
②「around20(15~24歳)親子50組アンケート」
実施期間:2018年5月
対象者:SHIBUYA109来館者親子 50組
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中学生~大学生の子どもたちは、どのようにお小遣いをもらっているのでしょうか。
around20ママ対象web調査では、以下の結果となりました。
最も多かったのは、「必要に応じてその都度 ※決まったお小遣いはあげていない(36.3%)」、次いで「決まったお小遣い+必要に応じて都度(28.8%)」「定期的に決まったお小遣いのみ(18.5%)」。
学齢別でみると中学生は「必要に応じてその都度 ※決まったお小遣いはあげていない(45.0%)」、高校生は「決まったお小遣い+必要に応じて都度(39.5%)」専門・短大・大学生は「お小遣いはあげていない(37.0%)」と、それぞれ違いがみられました。
では、母親たちはどのような時にお小遣いを渡す必要があると判断をするのでしょうか?
around20ママ対象web調査では、以下の結果になりました。
母親が子どもにお小遣いをあげるタイミングで最も多いのは「学校/部活で必要なものを買うとき(66.0%)」次いで「修学旅行・合宿・遠征のとき(57.8%)」「友達や恋人と遊びに行くとき(54.2%)」。
学齢別でみると、高校生は「ファッションアイテムを買うとき」「美容室に行くとき」「ライブ・イベントに行くとき」などの数値がほかの学齢よりも高く、中学生、大学生よりもお小遣いをもらうタイミングが何かと多そうです。
around20の若者たちはお小遣い以外にも、「親と一緒にお買い物に行く」という「見えないお財布」とも言える手段をもっています。SHIBUYA109でも、土日になると多くの親子連れを見ることができます。では、彼・彼女たちが一緒に洋服を買いに行く頻度はどのくらいなのでしょうか?
arund20ママ対象web調査から得られた結果は次のとおりです。
親子で買い物に行く頻度については月に1回以上が29%、3ヶ月に1回以上が67%と、およそ7割の母親が1シーズンに1回以上、子どもとお買い物に出かけていることがわかります。
同じく「around20(15~24歳)親子50組アンケート」では、月に1回以上が72%、3ヶ月に1回以上が90%と、頻繁に親子でお買い物に出かけていることがわかりました。
また、around20ママ対象web調査にて親子でお買い物に行くきっかけについて聞いてみたところ、1位が「子どもが欲しいものがあるとき(60.9%)」次いで「セール・バーゲンのとき(44.8%)」「季節の変わり目(39.5%)」という結果となりました。
「around20(15~24歳)親子50組アンケート」で聴取したSHIBUYA109への来館理由でも、「娘がSHIBUYA109に行きたいといったから」や「娘が洋服が欲しいといったから」など、娘起点での行動が最も多くみられました。
また、親子で洋服を買い物するときの支払い方法については、「全額親が支払う(66%)」が最も多く、次いで「娘が支払い、少し援助する(28%)」という結果となり、「全額娘が支払う(親は支払わない)」は0%となりました。
ここからは「親子でお買い物=親のお財布で娘がお買い物」ということがわかります。
グループインタビューで娘側の意見も聞いてみたところ、「買いたいものがあるときは母親を買い物に誘う」「ほしい服があるときは、その服の写真をLINEで家族に送っておねだりする」という声も多く、around20にとって、親子でのお買い物は自然かつ欠かせないものであることがわかります。
親子で洋服を買い物に行くことが多い一方で、ファッションに関する親子間のコミュニケーションはどのくらい取られているのでしょうか。
around20ママ対象web調査の結果では、93.8%の母親が子どものファッションについてアドバイスをすると回答。93.6%の子どもも、母親からのアドバイスを参考にしているという結果となりました。
さらに70.2%が子どもと洋服をシェアしており、ファッション関する親子のコミュニケーションは多くとられていることがわかります。
グループインタビューでも、「母親にお金を出してもらうから、どの服が良いかアドバイスをもらうことがある」や、「母親がOKといった服しか買わない」という意見がありました。
このように母親とのコミュニケーションは、彼女たちのファッションやお買い物に大きく影響しているようです。
around20の子どもたちが親とシェアしているのは洋服だけではありません。
「around20(15~24歳)親子50組アンケート」で「子どもとシェアしていること」を聞いてみたところ、以下の結果となりました。
最も多かった回答は「洋服(44%)」次いで「コスメ/スキンケア(42.0%)」「好きなアーティスト/芸能人(38.0%)」という結果となりました。
アンケートを実施した時期、SHIBUYA109ではaround20に大人気のK-POPアーティスト「SEVENTEEN」の期間限定POP UP STOREをオープンしていたこともあり、回答者にはK-POP好きの親子が多くみられました。
以前記事でご紹介した第三次韓流ブームは、娘からの影響で母親も一緒にハマるパターンが少なくありません。子どもたちの中には、母が同じものにハマってくれれば、お財布をゲットできる…と企む子もいるよう…!
また、このような共通の「好きなもの」のおかげで、友達感覚で一緒にお出かけする親子も多いことがわかりました。
トレンドの発信源として強い影響力をもつaround20。彼・彼女たちに働きかけ、消費行動にまで結びつけるためには、子が「親を巻き込みやすいか」、そして親が「(子どもの目論見には薄々勘づいていながらも…)一緒に楽しめるか」の双方に配慮することがひとつのポイントとなりそうです。
SHIBUYA109 lab.所長。月200人以上の15歳~24歳の若者と接し、「若者のリアルな今」を調査中。最近になって周りの大人たちがTik Tokデビューを始めていて、(遅…)と思いながらも、そう感じられる自分は若者目線を実現できているということなので、ちょっとうれしい。
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今回も、定量調査の結果だけでは把握しきれない新たな実態を見つけることができました。調査から得られた「親子での行動」に焦点を当ててマーケティング施策を行うことで、若者たちと企業をつなげる新しいきっかけを生み出すことができるかもしれません。