皆さんは「ヲタ」に対してどのようなイメージを持っていますか?
一昔前までは少数派と捉えられていたこの言葉の意味は、現在の若者たちには当てはまらなくなっています。
SHIBUYA109 lab.が独自の調査でaround20女子を5つのファッションマインドタイプに分類したところ、「自分の好きなものに打ち込みたいストイックタイプ」が最も多くのシェアを占める結果となりました。
また、私たちが毎月「アニメ・漫画好き」や「アイドル好き」といったテーマで行うグループインタビューでは、彼女たちが好きなもの・コトに半端ではない熱意をもって時間とお金を費やしていることがわかっています。
今回は、そんなaround20の「ヲタ」について、紹介させていただきます!
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「around20女子100人アンケート」
実施期間:2018年6月
対象者:SHIBUYA109 来館者around20(15〜24歳)女性
N=100
web調査(男女)
実施期間:2018年6月
対象者:全国女性15歳~24歳
N=400
本記事では、「web調査(女子)」の調査結果と「around20女子100人アンケート」の調査結果をメインで比較しています。
※ここでいうヲタとは、「ファンとして親しんでいること」や「お金や時間をたくさん費やしているもの」をさします
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では、実際に自分のことを「ヲタ」と自覚しているaround20女子はどのくらいいるのでしょうか?
web調査の結果によると、全体の69%がヲタを自覚しているということがわかりました。
SHIBUYA109ガールズ調査では77%と、全国に比べて高い割合を占めています。
ヲタの対象は、web調査によると1位「アニメ・漫画・ゲーム(28.2%)」、2位「日本の男性アイドル・有名人(24.9%)」、3位「日本のバンド・アーティストを含む音楽(10.1%)」という結果となり、アニメ・漫画・ゲームヲタが最も多いことがわかりました。日本独自のカルチャーでもあるアニメ・漫画・ゲームに注目しているaround20が多いようです。
SHIBUYA109ガールズ対象の調査では、1位「日本の男性アイドル・有名人(35.1%)」、2位「海外の男性アイドル・有名人(19.5%)」、3位「日本のバンド/アーティスト等の音楽(13.0%)」という結果に。SHIBUYA109に多くのジャニーズ好き女子がおとずれていることからも、日本の男性アイドル・有名人ヲタの多さは伺えます。海外の男性アイドル・有名人としては、K-POPアーティストが特に人気です。
先日の夏のイベントに関する記事「2018年夏、若者たちの遊びかた イベントにまつわる関心&行動調査レポート」でもご紹介した通り、音楽好きな若者は多いようです。
around20には、何かのヲタである女子が多くいることがわかりました。
では、彼女たちはヲタとしての活動、すなわち「ヲタ活」にどのくらいの時間とお金をかけているのでしょうか。
一週間当たりの費やす時間を聞いてみたところ、web調査・SHIBUYA109 ガールズ調査ともに「ほぼ毎日」という回答は6割に上ります。
ヲタ活に時間を惜しまないという姿勢に加え、SNSはもちろんのこと、YouTubeやSHOWROOMなどの動画配信サービスなどの台頭によって、好きなものと接触しやすくなっていることも理由のひとつと考えられます。
また、アニメ・漫画・ゲームヲタに絞ると「ほぼ毎日(80.8%)」と回答する人が8割を超えており、ほかのヲタよりもヲタ活が生活に根付いていることがわかりました。
ヲタ活は消費行動にも大きく関わっています。
年間でのヲタ活にかける費用について聞いてみたところ、web調査では「~5,000円未満(17.3%)」という回答が最も多く、次いで「30,000円~50,000円(15.2%)」「10,000円~30,000円未満(14.1%)」という結果となりました。驚くことに、SHIBUYA109ガールズ対象の調査では、13%が「15万円以上」という回答をしています。
ここまでの調査結果で多くの時間とお金を投資していることがわかりましたが、若者たちはどのような活動をしているのでしょうか。
web調査・SHIBUYA109ガールズ調査、いずれも「商品を買う」次いで「Twitterで情報収集する」「イベントに行く」という結果となりました。
グループインタビューによると、アイドル好きや漫画好きのヲタは、「限定商品はすべてそろえたい」という収集願望が強いことがわかっています。一方で、バンド・アーティストなどの音楽ヲタは「イベントありき」でのグッズ購入が多く、POP UP STOREといったグッズ単体にはあまり興味がないようです。
また、2番目に多かった回答「Twitterで情報収集する」からわかるように、ヲタ活に関してはTwitterがメインの情報源であり、カフェやファッション、コスメの情報収集に用いるInstagramと併用していることがわかります。身近な友達からのおすすめがきっかけとなりヲタ化することも少なくないようです。
グループインタビューから、ヲタ活をする対象によって異なるさまざまな特徴が見えてきました。
【アニメ・漫画・ゲームヲタの場合】
アニメや漫画、ゲームヲタの場合は、漫画化、アニメ化といった他メディアへ展開された作品や、それらを原作とした2.5次元劇場と呼ばれる舞台の鑑賞、声優のイベントへの参加など、一つの作品に関連したさまざまなコンテンツを楽しんでいることが特徴です。
Twitterでの情報収集の際も、公式のアカウントだけでなく、「絵師」と呼ばれるイラストが得意なファンのアカウントで公開される作品もチェックしています。これらの二次創作から新たな作品を知り、好きになっていくこともあるようです。
最近では、作品のコラボ商品や、POP UP STORE/カフェなどが増えています。アニメ・漫画ヲタたちはとにかく作品の世界観の再現度を重視しているため、彼女たちの心をつかむには、各作品自体を研究したうえでのプランニングが重要になります。
【アイドルヲタの場合】
アイドルヲタに関しては、「推しメン=好きなメンバー」の嗜好がファッションやコスメに反映されることが多くあります。
女性アイドル好きのある女子の場合、自分の推しメンのLINE LIVE、SHOWROOM、Youtubeなどを通じた動画配信をリアルタイムでチェックし、推しメンが身につけたブランドの商品を購入するそうです。より詳細な情報を知るためにブログも確認したりと、情報収集に余念がありません。普段読まない雑誌であっても、付録されている好きなアイドルのアイブロー(まゆげの描き方)用テンプレートほしさに買ったことがある、という声も。
これらのことから、彼女たちは推しメンの見た目に近づくために日々熱心に研究していることがわかります。
男性アイドル好き女子も同様で、推しメンが好むファッションテイストやメイクなどの情報を集めているようです。
around20は好きなものに対して、「心も体もできるだけ好きなものに近づきたい!」という意欲が強く、ヲタといえるほど好きなものに対しては消費行動の幅が大きく広がります。
一方で、若者たちの好きなものは細分化し、実態を捉えることが困難になってきています。
彼・彼女たちが何のヲタでどんなアプローチをすれば行動の喚起につながるのか、きちんと調査・検証をしておかなければ、たとえヲタの熱量があったとしても大きな効果は望めないでしょう。
around20の心をつかみ、企業として成果を出すためには、ヲタの生態を把握しておくことがとても重要です!
SHIBUYA109 lab.所長。月200人以上の15歳~24歳の若者と接し、「若者のリアルな今」を調査中。最近「PRODUCE 48」というアイドルのサバイバルオーディション番組にハマっている。若者からはやはり「欅坂46・乃木坂46」の人気が根強いが、いつかもう一度ハロー!プロジェクトの人気が再燃することを願っている。
会社名 | 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント |
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SHIBUYA109でヲタ向けにアイドルやアニメ・漫画の施策を行なっていると、ヲタごとに心をつかむポイントが異なると感じます。
若者がものを買わないといわれている今、ヲタたちの活発な消費行動と心を動かすポイントを把握し、彼・彼女たちに向けた施策を行なっていくことは重要です。SHIBUYA109 lab.は今後もヲタの生態を追い続けていきたいと思います。