ここ毎回ゲストを迎えて「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。
“盛り”を研究する久保友香先生。誕生以来若い子たちを魅了し、その青春を写し出してきたプリントシール機シェアNo.1のフリュー株式会社。そして長年若者の流行を見続けてきたSHIBUYA109の視点をかけ合わせることで、各世代のプリ帳を考察していきます。
第7回目のゲストは、SHIBUYA109エンタテイメントのMD(リアル、ECで出店するブランドとの営業窓口)として活躍中の山﨑彩夏さん。高校生からプリのデジタルデータをすべて保存しているという山﨑さんのプリ帳話や、ファッションのお話を伺いました。
東京大学大学院にてシンデレラテクノロジーを研究
「ガールズトレンド研究所」で所長を務める
「SHIBUYA109lab.」で所長を務める
プリ帳はいつから作っていたのですか?
初めて作ったのは中学生のときで、派手だと子どもっぽいので無印のノートに貼っていました。
プリの交換もしていましたか?
交換する文化はあまりなかったですね。友達の名前を書いて、あくまでも記録として使っていました。
プリがちょっと浮いていますが(写真右)、直接貼っていなかったのですか?
周りにやっている人はいなかったんですけど、私は両面テープで貼っていました。1回貼ると剥がせないじゃないですか!もし他に貼りたいところができたら…と考えて、やり直しがきくようにあえて両面テープを使っていました(笑)。
先読みの力がすごい!!!
筆箱にもプリを貼っていたんですね!
ノートに貼るいわゆるプリ帳には次第に貼らなくなって、筆箱に移行しました。
撮ったらとりあえず貼るという感じですか?
気に入ったものだけですね。お気に入りだけどあまり人に見られたくないプリは中に。貼りきれないものは、ディズニーのチョコクランチの缶にしまっていました。
縦のサイズがピッタリなんですよね!私もその缶、フリューに入社してから使っていました!2005〜10年くらいなのでちょうど同じ時期ですね!
お気に入りのものが貼りきれなくなった場合は、どうしていたんですか?
どんどん貼り替えていました。なので、そのときの自分のベストなプリたちが筆箱に貼ってある感じです!下敷きとかにも貼っていました
私、山﨑さんの1つ上の学年ですけど、ペンの中にいれるのが流行っていましたよ!ペンを開けて、インクが入っている部分に貼るといい感じになるんですよ。
それ知らないです!
地域によって違うのかもしれないですね。
筆箱のプリを見ると、フリューのプリばっかり!
フリューさんのサービスに有料会員の登録をしていて、お気に入りの機種ばっかり撮っていました。
この日付書いてあるフレーム、研究するときにいつ撮ったか分かるので助かるんですよね(笑)
はい、日付とともに思い出を残せる、自分でもお気に入りの機能です!
登録していたということは、プリをデジタルデータとして使っていたのですか?
デジタルデータはmixiのトップ画像に使ったり、投稿でアップしたりしていました。
なぜmixiがあるのに、プリ帳や筆箱にも貼っていたのですか?
学校での話題づくりです!学校が携帯禁止だったので、教室で友達にプリを見せるために作っていました。
昔のデジタルデータを見返すことってありますか?
地元の友達と話すときとかに見返します。実は初代携帯から全部引き継いでいるので、高校のときからのプリを全部見ることができるんです。ちなみに高校のときは638枚、大学のときは1321枚!
全部保存しているの、すごいです!
デジタルのプリ画像を、個人でこんなにきちんと全部保存できているのは珍しいです。デジタルリテラシーが高い!
「Googleフォト」に保存していくだけなので簡単ですよ!無料だし、使っているスマホと同期もすぐできるし、おすすめです!
学生の頃から、色々なデジタルツールを活用していたんですか?
mixiとか前略プロフィールとか、CROOZ blogとか一通りはやっていました。あと、部活のWebサイトを作っていたんですけど、外部の人に見てもらう用に、htmlを独学で覚えて活動内容とか試合の予定とかを掲載していました。
独学で作っちゃうなんてすごい!
(上:高校生のとき 下:大学生のとき)
ファッションはどのようなものが好きでしたか?
高校時代に好きだったのは、LIZ LISAとか!あとCECIL McBEEとか甘めの“マルキュー系”でした。今は無くなっちゃったんですけど、地元の静岡にSHIZUOKA109があったので、そこでよくお買い物をしていました。
いまと全然イメージが違う!!
ですよね(笑)!愛読していたのは「Popteen」で、メイクは目尻を垂れ目にしてつけまを2枚重ねづけしてたり、小さいのをチョンチョンつけたり。安いということもあって、Diamond Lashを当時みんな使っていましたね。
2010年ってでか目とか“盛りバブル”って感じでしたよね!
2010年ごろまでは、プリも限界まで目を大きくする加工が流行でした。その後、2011年に発売した「LADY BY TOKYO」という機種で、“ナチュ盛り(=ナチュラル盛り)”を提案し、別人感がなく、自然だけど盛れている状態の加工が人気に変わっていきました。
ただ私がマネージャーとして所属していた野球部は、化粧が禁止だったので、部活がない休日にとにかく派手にしていた感じです。引退後は、セーブされていた分かなり弾けました(笑)!
オシャレをするのがもともと好きだったんですか?
お化粧は、小学生の頃から手を出していましたね。親が結構ファッション好きだったので、当時はmezzo pianoとかが好きでよく買っていました。
高校時代の甘めギャルから系統が変わったのはいつですか?
大学に入ってから「JELLY」系にシフトしました。音楽系の学科でつけまをしているのが学年に2人しかいなくて浮いていたのでやめました。
就職してからは、写真やプリの保存に対して全然執着しなくなって、インスタとかもやっていません!そういうのは学生時代にやりきった感があって。
今関心があることは何ですか?
今は野球観戦とゴルフ、あとお酒にハマっていて…なんかおじさんみたい(笑)。
山﨑さんはいま、SHIBUYA109のMD(リアル、ECで出店するブランドとの営業窓口)を担当していらっしゃいますが、そもそも働くきっかけは何だったんですか?
もともと外資系のアパレルをやっていたんですけど、ディベロッパーになりたくて転職しました。大学のとき海外が大好で日本にこういう海外ブランドがあったらいいなと思ったのがそもそものきっかけで。
今は、どんなお店を担当しているんですか?
担当しているのはSHIBUYA109の4〜6階で、LIZ LISAやone spo 、adidas、MOUSSYなど学生時代着ていたブランドもたくさんあります。
学生時代SHIBUYA109に来ていたときと今の違いってありますか?
お客さんの感覚、買い方が全然違いますね。私がSHIBUYA109に行っていたときは、とにかくハシゴ!全部の階を周っていいものをどんどん買っていくという感じでした。今の子は全フロア見るけど、すぐ買わずに「1〜2着買うとして、どれにしようかな」という感じ。値段をしっかり見ていて、堅実です。
今の若者に伝えたいことはありますか?
データ化が進んで、整理整頓が難しくなっている時代だと思うので、うまく自分にあった保存の仕方を見つけて青春時代を残していってほしいと思います。繰り返しますが、Googleフォト、オススメです(笑)!
取材・文/高尾ひとみ
2005年入社以来、プリントシール機の商品企画に携わる。現在はマネージメントも行う。
趣味は、美味しいもの、漫画、カラオケ、ホットヨガ、ダイビング、脱出ゲーム。なんでも記録するログ癖あり。
今年の目標は、仕事で仕込んでいるいろいろな新しいことによって、世の中により多くのHAPPYをお届けすること。
東京大学大学院博士課程修了(環境学博士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師などを経て、現職。
研究テーマは、日本の女の子の「盛り」の文化と、それを支援する「シンデレラテクノロジー」。好きなものは、ビール、羊羹、芸能ニュース。
今年の目標は、昭和初期を知るおばあちゃんたちとたくさん会うこと。
総合マーケティング会社を経て、SHIBUYA109のマーケティング担当となる。
毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
今年の目標は、若者マーケターとしてテレビ番組に出ること、腹筋を割ること。
SHIBUYA109エンタテイメント MD担当。
外資系アパレル会社より(株)東急モールズデベロップメントへ転職。2017年4月、会社分割により(株)SHIBUYA109エンタテイメントが設立、同時に出向。現在はリアル店舗とEコマースのオムニチャネル業務を中心にSHIBUYA109公式アプリの立ち上げやインバウンドプロジェクトを担う。
趣味は、ゴルフ・野球・お酒・旅行・ドライブ・洋楽・ピアノ・ダーツ。
今年の目標は、仕事で新しい事を仕掛けること、ダイエットとゴルフの腕を磨くこと。
会社名 | 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント |
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TEL | 03-3477-6719 |
FAX | 03-3477-6702 |
本社所在地 | 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番7号 五島育英会ビル4階 |
とうとうプリの保存方法にGoogleフォトが出てきました…!
前回のさえりさんの回と同様、小学生中~高学年の頃に普通教育に「情報」の教科が新設されたタイミングのためか、デジタルに対するリテラシーが高いことが分かります。
プリのデータはアナログ・デジタルの両方で保有し、それぞれをコミュニケーションツールとして活用していて、デジタルネイティブ第一世代っぽい山崎さんでした!