SHIBUYA109 lab.

【東大研究員×フリュー×SHIBUYA109 lab.連載企画】プリ帳HISTORY 第9回

「プリ帳」からガールズカルチャー史をひも解く本連載。第9回目は、これまでお呼びしたゲストのプリ帳の共通点や相違点を振り返りながら分析します。

毎回ゲストを迎えて「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。
“盛り”を研究する久保友香先生。誕生以来若い子たちを魅了し、その青春を写し出してきたプリントシール機シェアNo.1のフリュー株式会社。そして長年若者の流行を見続けてきたSHIBUYA109の視点をかけ合わせることで、各世代のプリ帳を考察していきます。
第9回目の今回は、これまでを振り返り、お呼びした1980年〜1994年生まれの8名のゲストのプリ帳の共通点や時代を経て変化したことを深掘りします。

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INDEX 目次

【研究メンバーはこの3人】

久保友香先生

久保友香先生

東京大学大学院にてシンデレラテクノロジーを研究

稲垣涼子さん

稲垣涼子さん

「ガールズトレンド研究所」で所長を務める

長田麻衣

長田麻衣

「SHIBUYA109lab.」で所長を務める

1 無印良品が人気!8名のプリ帳を比較

プリ帳一覧

稲垣涼子 こうして見ると、無印良品の商品は世代を超えて使われていますね!

久保友香 カスタマイズ性がすごくあるので、プリ帳で個性を表したい女子高生にハマったのだと思います。

長田麻衣 実際に、無印良品の人は意識していたのか気になりますね。

——今回は特別に、無印良品の店舗・商品を展開する株式会社良品計画のPR担当・川尻さんにお話を伺いました。

今回の記事を拝見いたしまして、既に販売終了の商品などもお見受けし、大変懐かしく感じました。 またプリ帳として、こんなにも愛用していただいていたことに驚きました。
無印良品の商品は、使い方を限定せずにご使用いただける方が ご自分のお好きな使い方やカスタマイズなど行っていただける、自由度のあるものづくりとしております。もちろん年齢を問いません。
皆様にご自分なりの使い方をしていただけましたら、大変うれしく思います。

長田麻衣 株式会社良品計画様、コメントありがとうございました!
世代を超えて愛用されている理由は、シンプルなデザインで主役であるプリの邪魔をしないこと、そしてアレンジを加えやすく、自分だけのプリ帳を作ることができる点だと考えられます。

2 “ぎっしり”がお洒落♪プリ帳の美学

プリはぎっしり貼る派が多かった

プリはぎっしり貼る派が多かった

プリはぎっしり貼る派が多かった

長田麻衣 プリ帳にプリを敷き詰めて貼っている方が多かったですね。

稲垣涼子 私(80年生まれ)の少し下の世代からは「プリ帳はぎっしりがカッコイイ」という風潮がありました。

稲垣涼恵 雑誌「egg」にプリを詰めたページがあったり写真のコラージュがあったと思うのですが、もしかすると、その影響があるのかもしれません。

稲垣涼子 確かに!当時、卒業アルバムなどでもeggに似せたコラージュをよく見かけました(笑)。

稲垣涼恵 eggが一般の人にも真似しやすいけれど、お洒落でプロのような仕上がりになるデザインを提示していたということですね。

長田麻衣 余白を残しつつお洒落にするのは、難しいですもんね!

久保友香 友達にプリの「落書きのプロ」がいたと話す方も多かったのですが、現在に置き換えると、インスタの「加工のプロ」。どの時代にもプロがいて、努力が評価されるいい世界だなと思いました。

稲垣涼子 ツールは変わるけれど、その中でお洒落にみせるスキルやものづくり能力が評価されるのは、日本ならではの文化だと思います。

久保友香 匠の文化!

長田麻衣 その世代によって何を重視しているのかも、変化していますよね。

稲垣涼子 そう!私の時代は、落書きがないから「誰と写っているのか」が重要でした。可愛くて有名な子と撮ったら売れる!(欲しがられる)みたいな。その後は「落書きのクオリティ」、そして今は「いかに盛れるか」が重視されています。

3 プリの切り方が関係?プリ帳“廃れ”の原因

久保友香 92年生まれの山﨑さん(第7回ゲスト)からプリ帳が作られなくなっていますね。

長田麻衣 これはデジタル化が大きく影響しているのでしょうか?

稲垣涼子 デジタル化も関係していると思うのですがもう一つ大きな理由が…とっても後悔していることがあるのです。

長田麻衣 後悔ですか!?

稲垣涼子 プリを「切らないでOK」な仕様に変更したことでプリ帳文化を廃らせてしまったと思っていて…。

説明をする稲垣さん

図A、B

図C、D

稲垣涼子 2006年に発売した「姫と小悪魔」というプリ機で、プリを細かく何カ所も切るのは面倒だなと思い、一回ハサミを入れれば2人分に分けられるようにしたんです。(※図B参照) そうしたら、そのまま持ち歩く人が増えて、プリを交換したり貼る人が減ってしまいました…。

久保友香 この頃、女子高生はプリを長財布にしまうようになり、プリが長財布ブームを起こしたと言われていますよね。

稲垣涼子 そのあと5年くらいかけて、プリが貼られなくなってしまったので、2011年の「LADY BY TOKYO」から、プリ以外の部分も含めシール全体でデザイン性あるものに変えていきました。(※図C参照)

長田麻衣 なるほど!そういう経緯があったのですね。

4 落書きはシンプルに。写りのこだわりも時代に合わせて変化

プリクラのカット図

(写真左:昔の落書きイメージを再現 / 写真右:今の落書きイメージ)

長田麻衣 プリの落書きで使う「ペン」「スタンプ」はどう変化していますか?

稲垣涼子 落書きの変化は著しいです。例えば、昔のプリはコロコロスタンプを何個も重ねてさらにスタンプを押して、その上に文字を書いて…と賑やかで隙間がないのがイケてる印象でした。今はスタンプは耳や鼻など顔まわりの変身系か、ハートなどを1つか2つ、それにペンで一言だけ書くという全体的にシンプルな傾向があります。

長田麻衣 確かに、今コロコロスタンプは見ないですね!

稲垣涼子 落書き用のペン自体も、ふちがキラキラしていたり多色使いなど派手なものが人気で、種類も豊富でしたが、今は飾りも少ないペンが人気です。

久保友香 最近では、ティーン向け雑誌ですらシンプルなデザインが多い印象です。その頃の若者がどういうものに目が慣れているか、というのが大きく関係している気がします。

長田麻衣 スタンプは、やはりハートがずっと人気ですか?

ハートのスタンプ

稲垣涼子 そうですね。ただ、形がどんどん変化していて以前は、キラキラしていたり手書き風のぷにっとしたハートが人気でした。(画像左) それから徐々にシンプルなハートに人気が変化してきました。(画像右) 形も細長いものが主流でしたが、最近は縮んできたように思います。

久保友香 「盛る」についても黒く写りたいか白く写りたいかなど時代によって、みんなのこだわりが違いますね。

稲垣涼子 プリの写りの波は過去に大きく4回あり、すべて世の中の動きと連動しています。

写りの変化の表

写りの変化

写りの変化2

長田麻衣 雑誌が流行を作ると言われていましたが、フリューさんが新機種を考える際は、新たな流行を作ろうとしている、あるいは時代に合わせようとしている、どちらが近しいでしょうか?

稲垣涼子 プリ機を作るには1年ほどかかります。時代に合わせようとすると遅いので、女の子をよく見て流行を先読みして、提案できるようにしていますね。

5 プチプラアイテムに対する考え方が変化した理由とは?

長田麻衣 それぞれのインタビューを振り返ると、私はプチプラに対する考え方の移り変わりが興味深いと思いました。
86年生まれの高尾さん(第4回ゲスト)は「プチプラの化粧品を使うのが恥ずかしい、ダサいという風潮があった」と言っていましたけど、90年生まれのさえりさん(第6回ゲスト)以降はむしろプチプラを推していて。

稲垣涼子 山﨑さん(第7回ゲスト)も化粧品はCANMAKEなどを使っていたと言っていましたもんね!

長田麻衣 この短い期間に、何があったのでしょうか。

久保友香 おそらく2007年からの読モブーム、そしてブログの流行が影響していると思います。ブログで誰もが情報発信できるようになると、皆がお手本を求めるようになって、手の届かないかわいい子よりも、手の届きそうなかわいい子が人気に。
高いものを使うより、安いものを使いこなしてかわいくするのがいいという時代へ移っていったのです。

6 CECIL McBEEにone way!根強く人気なブランドの共通点

プリ帳分析中

久保友香 109ブランドは、どの世代にとっても憧れの存在でしたね。

長田麻衣 これまでゲストに来てくれた方たちの学生時代は、まだファストファッションが流行する前なので、好きなブランドでカテゴライズ化されていた時代、ブランド世代なのかなと思います。

久保友香 ただ、例えば好きなブランドでも、82年生まれの奈々恵さん(第2回ゲスト)と92年生まれの山﨑さん(第7回ゲスト)のいう「CECIL McBEE」では、同じブランドでも時代が違うので少し系統が違いますよね?

長田麻衣 「CECIL McBEE」は、SHIBUYA109の2000年〜2009年の売り上げトップで、確かに時代に合わせて系統が変わっていますね。そのほかに今でも人気なブランドに「one way」がありますが、私が学生の頃の「one way」はサーフ系のイメージで、今とは全然雰囲気が違います。

久保友香 実際にブランド側は、時代の変化に合わせてどう意識していたのでしょう?

長田麻衣 「CECIL McBEE」のプレスの方に話を伺ったところ、昔は「セクシー」を意識していたそうなのですが、ギャルが以前より減っているということもあり、今は「色っぽくてフェミニン」要素をプラスさせているとのことです。

稲垣涼子 時代に合わせて系統を変えるブランドが、長く人気を継続できるのかもしれませんね。

7 プリ帳は宝物♪ぜひまとめて保管してほしい

プリ帳

プリ帳

長田麻衣 プリ帳は、いまは全然作られていないのでしょうか?

稲垣涼子 そうですね。残念ながら、作られている方はかなり少ないと思っています。プリを楽しんでもらうには絶対あったほうがいいと思っているのでフリューでは2017年3月からプリを名刺/カードサイズに印刷するポケットプリを採用してアルバムにまとめてもらいやすくしています。

長田麻衣 ケースもいろいろ出されているのですね!

稲垣涼子 ポケットプリを入れるカードケースは、キャンペーン時にゲームセンターで配布していますし、ダイソーで購入することもできます。認知はされてきているのですが、まだまだ浸透していないのが現状。
第1回の時もお伝えしましたが、騙されたと思ってプリをカードケースに入れて保管してみてほしいです。
将来、きっと素晴らしい宝物になると思います!

長田麻衣 この企画のゲストでプリ帳を作ってきた人たちは皆「プリ帳を作った方がいい」と最後に言っていましたよね。

久保友香 デジタルデータのアルバムでは不要になったらすぐ削除できるけれど、プリ帳ではできません。それに、必ずしも良い思い出だけじゃないのがいいという声もありましたね。
時間をかけて出来上がった作品でもありますから。

稲垣涼子 もちろん画像データでシェアしたり見せ合うのもいいのですが、シールやプリ帳というリアルな物を囲んでキャッキャ言いながら見るのがやっぱり楽しいですよね。
カードケースという新しい形のプリ帳として、まとまったきれいな思い出品になること、さらには持ち歩いて見せ合う文化が再燃することを願っています!

取材・文/高尾ひとみ

PROFILE プロフィール

稲垣 涼子 Ryoko Inagaki

2005年入社以来、プリントシール機の商品企画に携わる。現在はマネージメントも行う。
趣味は、美味しいもの、漫画、カラオケ、ホットヨガ、ダイビング、脱出ゲーム。なんでも記録するログ癖あり。
今年の目標は、社内の仕組みを整える、社外の方とたくさんお話する、家をキレイに保つこと!

久保 友香 Yuka Kubo

東京大学大学院博士課程修了(環境学博士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師などを経て、現職。
研究テーマは、日本の女の子の「盛り」の文化と、それを支援する「シンデレラテクノロジー」。好きなものは、ビール、羊羹、芸能ニュース。
今年の目標は、昨年に引き続き、昭和初期を知るおばあちゃんたちとたくさん会うこと。

長田 麻衣 Mai Osada

総合マーケティング会社を経て、SHIBUYA109のマーケティング担当となる。
毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
今年の目標はSHIBUYA109 lab.所長として若者に関する講演に講師として登壇すること。そして「大人っぽさ」と「透明感」を兼ね備えた女性になること。

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会社概要

会社名 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
TEL 03-3477-6719
FAX 03-3477-6702
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