毎回ゲストを迎えて「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。
第13回は、1991年生まれのSHIBUYA109 lab.所長・長田麻衣をピックアップ!
小学校から大学まで女子校で育った長田所長は、学生時代、どのようにプリや写真を保存していたのか。またSNSやブログの使い分けなどについてご紹介します。
シンデレラテクノロジーを研究
フリュー株式会社『GIRLS’TREND 研究所』で所長を務める
「SHIBUYA109lab.」で所長を務める
初めてプリを撮ったのはいつですか?
友達と初めてプリを撮ったのは小4の時だったと思います。その頃「プロフィール帳」が流行っていて、そこに貼っていました。
私の時代も「サイン帳」という名前でありました!小学校の卒業式のときに書き合うものですよね?
私は卒業式ではなく、出会った時や日常的に。
そっちの方がいいですね!別れのときに詳しいプロフィールを知ってどうするんだろう?って思っていました(笑)。
私の時代も「サイン帳」という呼び方でしたが、「プロフィール帳」と「サイン帳」…どう変化したのか気になります。
今後調査したいですね!当時ペンを40本くらい持っていて、それを使うのが楽しみだったのですが、今の小学生もペンをたくさん持っているのでしょうか。
小学生は、まだデジタル機器を使わない世代なので、時代が変わってもこういうアナログ文化は変わらないのかなと思いますね。
このコラージュノート、クオリティが高いですね!
中学〜高校にかけて作っていたのですが、毎日デジカメを学校に持って行って撮影。放課後カメラ屋さんでプリントした写真を、家でノートにまとめるというのが日課でした。日記に近い感じですね。
私の学生時代は、写真を現像するのに時間がかかりましたので、デジカメ世代ならではのまとめ方ですよね!人に見られることは意識していましたか?
友達に「見せて」って頻繁に言われるようになってから、意識していた気がします(笑)。
友達との思い出だけじゃなくて、面白い看板とか、コーラを使った実験とか載せているところが興味深いです。
コンテンツ力がありますよね!ブロガーやYouTuberっぽいというか。なぜ止めてしまったのですか?
自分の携帯電話がカメラ付きになったので、それで撮るようになったということもあり、途中で止めてしまいました。
カメラ付き携帯を持つようになって、ブログやSNSも使っていましたか?
高校から「前略プロフィール」「アメーバブログ」「Deccoリアル」「mixi」と、一通りやっていました。高校の時のメインはリアルで、Twitterのように「◯◯行った」とか写真と一緒に。クラスの友達のリンク集を作っていたのが懐かしいです。
アカウントは1つずつですか?
アメブロは2アカウントありました。1つは友達が見るもの、1つは裏アカ的な感じで非公開にしていたような。
裏アカには何を載せていたのですか?
ポエムのような感じで、漠然とした不安とかを書いていた気がします。友達に見せる用のブログは「今日は◯◯があった」とか、キラキラまではいきませんが、いわゆるみんなが思う“長田らしさ”を出していたと思います。
Twitterの裏アカの先駆けみたいな感じですね!
学生時代、趣味はありましたか?
高校からベースを始めて、ガールズバンドを大学4年まで組んでいました。「けいおん!!」とか、バンドブームでもありましたね。
どういう活動をしていたのですか?
高校の時はバンドの大会に出場したり、ライブハウスで、月1回ライブをしていました。大学の時は、月1回でライブをやる傍らMyspaceにオリジナルをアップしたり、友達が作ってくれたPVやスタジオでの練習風景とかをYouTubeにアップしたり!
そのような発信の目的は何でしたか?
一番の目的は集客、あとは有名になりたいと思っていたので頑張っていましたね。今の時代ならInstagramやTwitterを使って告知をしたりするかもですが、当時はバンドメンバーで更新するアメブロやmixiのコミュニティをつくったりなど、とにかく色んな発信を試していました!
中高時代のプリを見ると、ほとんどがフリューの機種!つなぎプリが撮れる「美族」や合成遊びができる「姫組」、私が開発に携わっていた「姫と小悪魔」や「美人-プレミアム-」でも「フレーム」と呼ばれるコンテンツを多く選ばれており、楽しい・面白いプリがお好きな印象です!
ペンで何かを書くとか、ネタっぽいフレームのプリがすごく好きでした。
この頃は“遊び”の全盛期の時代ですね。少しずつ「盛れる」が意識されてきた時代でもあり、プリの背景にも合成などで撮影を楽しむ「フレーム」のほかに、盛れることを意識した「ノーマル」「オーラ」、というジャンルがあったのですが、長田さんのプリ帳を見ていると、完全に「フレーム派」と言えると思います。
あと、このペン好きでした!
このペン「カクぷにょ」という名前なのですが、すごく人気でしたね。当時はこれで落書きするのが一番オシャレという感じもありました。あと長田さんは、大学生になってからもかなりプリを撮っていますね!
はい。ただ、綺麗に貼るのに飽きてしまって、撮ったものをそのまま全部貼るという…ガサツな性格が出てしまいました(笑)。
学生時代のファッションは、どのような移り変わりがありましたか?
小学3〜4年の時、109-②ジュニアステーションのNARUMIYAが周りで流行っていて、林間学校の時には「どこの水着?」「pom ponette〜」って、ブランドを言い合っていましたね。
ませてる!
ファッションに興味があるグループにいて、小学校高学年になると、SHIBUYA109ブランドの話が結構出てくるようになったんです。それで、小6のときお母さんに連れて行ってもらってSHIBUYA109デビューを果たしました!
小学生でSHIBUYA109デビューは早いですね!
中2くらいまでSHIBUYA109ブランド。中3からは、下北や原宿の竹下通りに行くようになって、テイストが変わりました。原宿では当時、古着ではないけどカジュアル系が流行っていましたね。
何をお手本にしていましたか?
雑誌ですね。小学校の時は「nicola」や「ピチレモン」、中学の時は「Hana*chu→」や「Seventeen」、高校の時は「Zipper」です!
今、高校生など若者と関わるお仕事をされていますが、現代の若者とご自身の学生時代との違いはどこだと思いますか?
今の若者は、InstagramとかSNSを呼吸と同じくらい自然に使っていますが、私はSNSの変化と共に大人になったので、そういった意味でSNSに対する感覚は違うと思います。
今回、長田さんの思い出が詰まったノートがとても印象的でした。
当時、起こったことを「忘れたくない」という気持ちが大きく、プリや写真をまとめて自分のノートを作っていました。最近、日常すぎるとSNSにアップしづらいと聞くことがありますが、撮っただけで満足するのは勿体無いので、ぜひ自分なりにまとめる作業をしてほしいと思いますね!
取材・文/高尾ひとみ
2005年入社以来、プリントシール機の商品企画に携わる。現在はマネージメントも行う。
趣味は、美味しいもの、漫画、カラオケ、ホットヨガ、ダイビング、脱出ゲーム。なんでも記録するログ癖あり。
今年の目標は、社内の仕組みを整える、社外の方とたくさんお話する、家をキレイに保つこと!
東京大学大学院博士課程修了(環境学博士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師、東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員など歴任。著書に『「盛り」の誕生―女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』(太田出版、2019)。
好きなものは、ビール、羊羹、芸能ニュース。
今年の目標は、昨年に引き続き、昭和初期を知るおばあちゃんたちとたくさん会うこと。
総合マーケティング会社を経て、SHIBUYA109のマーケティング担当となる。
毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
今年の目標はSHIBUYA109 lab.所長として若者に関する講演に講師として登壇すること。そして「大人っぽさ」と「透明感」を兼ね備えた女性になること。
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