毎回ゲストを迎えて、「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。
第19回のゲストは、大学3年生の松田莉里花さん。理工学部情報理工学科でプログラミングや数学を学ぶ傍、『SHIBUYA109 lab.』やC Channel株式会社が運営する女子大生マーケティング集団『yellow project』で若者のトレンドを研究している松田さん。
そんな彼女に、小中高生時代のプリの使い道や落書きのことなど、お話を伺いました!
シンデレラテクノロジーを研究
フリュー株式会社で広報を務める
「SHIBUYA109lab.」で所長を務める
プリ帳に同じプリがたくさん貼ってありますが、何故ですか?
これは小学生の時のものなのですが、人に見せる用ではなくストック用として作っていました。家で楽しかったなーと振り返りながらシール帳に貼っていた記憶があります。
1枚1枚切ってあるのも特徴的ですよね!
転勤族でよく引っ越しをしていたのですが、引っ越すとまず「プロフィール帳書いて」ってみんなから渡されるんですよ。顔写真のところにプリを貼るので、すぐ使えるよう予め切って貼っていました。
なるほど!プリがキラキラしているのがありますが(写真上)、これは何ですか?
プリ機があるゲームセンターに、ラミネート加工できるマシーンが置いてあって、無料で使えたので、よく使っていました。
一時期流行っていましたよね!プリは、いつまでシール帳に貼っていましたか?
小学生までで、中学生に入ってからは、この手作りしたプリポーチ(写真右)に入れていました。
手作り!?
はい(笑)。服飾系の中学に通っていたとき、筆箱を作ろうと作っていたら、プリのサイズにピッタリだなと思って、プリ入れに変更しました。
携帯電話はいつから持っていましたか?
中学進学のタイミングで買ってもらいました。これ、SHIBUYA109と『CECIL McBEE』がコラボしたドコモの携帯なんです!
私も全然知りませんでした!(笑) 調べたところによると、1999年ごろのSHIBUYA109のカリスマ店員ブームがきっかけとなり発売された商品のようです。 当時SHIBUYA109のショップスタッフのファッションやメイク・ライフスタイルが若者から注目されており、SHIBUYA109ブランドのショッパーを持つことがステイタスとなっていました。生活の中でも欠かせない携帯にまで広がっていたようですね!
このデザインをよく持っている人がいたので、友達に「マネしないで!」って言った記憶があります(笑)!
最初に持った携帯がこんな可愛いなんて…!この頃は女の子たちにスマホが普及する直前の、まさにガラケー成熟期でしたね!
携帯にペンが付いていて、撮った写真を自分で加工ができるのがポイントです。内カメラもあるので自撮りに適していて、私はこの頃から自撮りをするようになりました。
高校生の時、プリはどのように使っていましたか?
SNSにアップする以外だと、誕生日プレゼントに使っていましたね。これは友達から貰ったコルクボード(写真上)で、私も100均やFlying Tigerに売っているコルクボード、キラキラのシールを使って手作りプレゼントをお返しに作っていました。
昔コルクボードは、部屋の中にかけて思い出の写真などを飾るパーソナルなものだった印象ですが、最近は100均でデコアイテムなどと共に売られるようになったので、プレゼントなどコミュニケーションツールとして使われるようになりましたよね!
フリューの「ガールズトレンド研究所」でも2016年からダイソーとコラボ商品を開発しています。“やすくて可愛い”をテーマにパーティーアイテムや美容雑貨、文具類まで幅広いジャンルの商品をこれまで展開してきました。ちなみに、貰ったプレゼントはSNSにアップしていましたか?
はい、Instagramにアップしていました。そこまでが一つの流れでしたね。
デジタルとアナログを行き来しているのが興味深いです。ちなみに、どういうシチュエーションでプレゼントし合っていたのですか?
友達から貰った時は、私の誕生日に「とりあえずプリ撮ろう」とプリを撮りに行って、プリ機の中で突然コルクボードを貰いました!サプライズの瞬間の動画も残しています!
プリを撮るあの短い時間に、動画を撮ってプレゼントあげてって大変ですね!
そうなんです!普段は渋谷とか原宿で撮るんですけど、混んでいるので比較的空いている代々木までわざわざ撮りに行っていました。好きなプリ機『Hi-cherry!』もあったので!
プリの落書きは、どのようなことをこだわっていましたか?
プリの半分は落書きをして、その他半分はほとんど落書きをしていませんでしたね。落書きをしていないプリは、後でスマホのアプリで落書きしていました。目の大きさとか肌の色とかも、プリを撮る時に一旦加工されますが、そのあとアプリでやることも!
プリとアプリ両方使うのですね!
『PicsArt』などの写真加工アプリが流行った2年前頃から、アプリを使ってプリに加工するというのは流行っていますね!『SNOW』で動物などの耳をつけたり、過度にデカ目にや小顔強調をして、少しコミカルな画像にするのも流行っていました。
プリの落書きって時間制限があるので、家でアプリを使ってやったほうが落ち着いてできるんです。落書きブースはライトがあってめちゃ盛れるので、自撮りをすることが多いですね!
コルクボードに使っている画像もプリの画像を使っていますよね?
そうですね。プリ画やプリ画で作ったコラージュ画像を、カメラ屋さんやコンビニでプリントをして貼っています。
デジタルの時代でも物をコツコツ作るというのは、やっぱり女の子たちはこういうモノづくりが好きなんですよね!
はい!しかも、こういうものは映えるので、インスタに載せると普段コメントしてこないフォロワーからも「おめでとう」ってコメントがくるので嬉しいです!
プリを撮る前に準備していたことはありますか?
プリ撮影前は、薬用の色付きリップとカラコン、二重作りは必須でしたね。学校が厳しかったので、カラコンやアイプチは週末遊びに行く時だけでしたが。あと、この鼻バサミは、家で漫画を読んでいるときやお風呂に入るとき、寝るときなど、気づいた時につけるようにしていました。
鼻バサミもプリで盛れるためですか?
カラコンやアイプチはプリで盛る為なのですが、鼻バサミは、プリを撮ると鼻が高く見える加工がされるので、現実でもそれに近づきたいと思って使っていました。
逆にプリという“バーチャル”がリアルの世界に影響を与えていたのですね!
はい、そもそもお洒落をしようと思ったのもプリの影響が大きいです。プリで盛れて、“本当の自分”ではなくなるんですけど、それによって自分に自信がつくというか、プリの自分に近づこうと思ってダイエットしてみたり二重にしてみたり。女の子らしくなるという意味でとってもプリは重要なツールでした。
それは自撮りとは違うのですか?
自撮りだと自分で角度とか決めて撮りますが、プリは他人目線の自分が見れると思っているので違いますね。女優さんとかって売れると可愛くなったりするじゃないですか。そういう感覚と似ているのかなって思います。
コルクボードなどをプレゼントし合ったりプリを撮ったりするのは、高校生の頃の方が多かったですか?
そうですね、大学に入ってからだいぶ減った気がします。大学に入るとそういうことを一緒にやれる友達がいなくなるというのが大きな理由かもしれません。本当ははっちゃけたいのですが…。
お互い、探ってるかもしれないですよね!今、学業以外で若者カルチャーを研究しているのは、何がきっかけだったのですか?
流行ってどうやって作られているんだろうという疑問があったのが最初のきっかけです。メディアが作り出しているものなのか、若者に直感で当たったものがあるのか。もしかすると定義があるのでは?と思い、活動を始めました。
将来の目標などはありますか?
自分が高校生のとき、流行を発信している人がいたので、自分が流行にミーハーになれたなと思っているので、将来的にはそちら側に行きたいという思いがあります。改めてこう振り返ると、プリがある国に生まれてよかったなって思います!
東京大学大学院博士課程修了(環境学博士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師、東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員など歴任。著書に『「盛り」の誕生―女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』(太田出版、2019)。
好きなものは、ビール、羊羹、芸能ニュース。
今年の目標は、昨年に引き続き、昭和初期を知るおばあちゃんたちとたくさん会うこと。
専門学校を卒業後、2017年新卒としてフリュー株式会社に入社。広報として、プリに関する最新情報や魅力を発信中。
好きなものは、旅行、焼肉、ドライブ。
今年の目標は、仕事もプライベートも新しいことに挑戦すること。
総合マーケティング会社を経て、SHIBUYA109のマーケティング担当となる。
毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
今年の目標はSHIBUYA109 lab.所長として若者に関する講演に講師として登壇すること。そして「大人っぽさ」と「透明感」を兼ね備えた女性になること。
大学では、情報理工を専攻し、プログラミングや脳科学について学んでいる。学業以外では、『SHIBUYA109 lab.』や女子大生マーケティング集団『yellow project』で若者トレンドを研究中。好きなことはYouTubeを見ること、作ること。今年の目標は憧れの長田さんのように若者トレンドを語れる人になること。
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