SHIBUYA109 lab.

【シンデレラテクノロジー研究者×フリュー×SHIBUYA109 lab.連載企画】プリ帳HISTORY 第22回

毎回ゲストを迎えて、「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。第22回のゲストは、オンライン英会話サービスを提供する「株式会社レアジョブ」の広報・荒川佳織さん(30)。


プリ

毎回ゲストを迎えて、「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。
第22回のゲストは、オンライン英会話サービスを提供する「株式会社レアジョブ」の広報・荒川佳織さん(30)。平成元年生まれで、学生時代、いろいろなものがデジタル化していく過程を見てきた荒川さんに、当時のプリ事情からネット事情まで、たっぷりお話を伺いました!


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INDEX 目次

1 ゲストの「プリ履歴書」

プリ履歴書

【研究メンバーはこの3人】

久保友香先生

久保友香先生

シンデレラテクノロジーを研究

門脇彩さん

門脇彩さん

フリュー株式会社・広報

長田麻衣

長田麻衣

「SHIBUYA109lab.」で所長を務める

2 プリ帳タイプは「敷き詰め→コラージュ→敷き詰め」と変化

プリ帳のタイプ

久保友香 プリ帳は無印良品のものを使っていますが、なぜ無印のものを使うようになったのですか?

荒川佳織 小学生の頃、当時流行っていた手帳サイズのシール帳にプリを貼っていたのですが、中学生になると、使っていたものが小学生っぽくてダサいと思うようになり、友達や雑誌の影響もあって、無印のものに変えました。

久保友香 無印には、少し大人な印象があったのですね!プリの貼り方が、敷き詰めタイプからコラージュタイプに変わるというパターンは、荒川さんの世代によく見られて、我々は「コラージュ世代」と呼んでいます。
(参照:【シンデレラテクノロジー研究者×フリュー×SHIBUYA109 lab.連載企画】プリ帳HISTORY 第18回

門脇彩 コラージュするようになったきっかけは何でしたか?

荒川佳織 敷き詰めるだけだとつまらないなと思って。あと、中2〜3くらいから、携帯電話の待ち受け画像を作るのにハマったんです。歌詞を書いたりキャラクターをコラージュしたり、画像を組み合わせることが大好きで、プリ帳もコラージュするようになったんだと思います。

久保友香 コラージュタイプのプリ帳の後、プリ帳を作らなくなるケースが多いのですが、また敷き詰めタイプに戻ってプリ帳を作っているのが興味深いです!

荒川佳織 コラージュのプリ帳は作るのが結構大変で…。徐々にまとめる時間もなくなってきて、高2の時から敷き詰めタイプに戻しました。最終的に、プリ帳は大学一年生頃まで作っていましたね。最後は簡易的なものでしたが。

3 演出が細かい…!コラージュプリ帳のこだわり

プリ帳1

プリ帳2

長田麻衣 コラージュタイプのプリ帳は、プリの落書きもコラージュの仕方もすごく見応えがあります!

荒川佳織 落書きは、上手な友達や雑誌『Hana*chu(ハナチュー)』に載っていたものを参考にしていた気がします。

門脇彩 プリ交換はしていましたか?

荒川佳織 していました!このページは友達から貰ったのを集めたページです。(※写真上)

長田麻衣 「エンドロール」って貰った子の名前一覧が書いてありますね(笑)!演出がステキです!

久保友香 プリやプリ帳に「ちゃん」を「©️」と書いたり、「ラブラブ」を「ラブ×2」とか「ラブ②」とか書いていたり、手書きの世界が面白いです。(※写真下)「中②」や「○笑」(※丸で囲った「笑」)とかもあって、丸で囲んで強調しているものが多い印象です。

荒川佳織 懐かしい(笑)!めちゃ書いていました!

長田麻衣 伸ばし棒を「→」にしたりするのも当時流行っていましたよね!今の若者はシンプルな加工がトレンドだからか、このように文字をアレンジしているのは見ないですね。この時代特有のトレンドなのかもしれません。

4 “素材屋”をやることも!学生時代のネット事情

手紙

久保友香 荒川さんが中高生を過ごした2000年代は、ガラケーを使ったHP制作やブログの情報発信などが盛んな時代でしたが、何かやっていましたか?

荒川佳織 初めてWEBサイトを作ったのは中1の時で、テンプレートが決まっている簡単なものから始めました。

門脇彩 それにしても中1からって早いですね!

荒川佳織 父親の仕事の関係で、幼少の頃から家にパソコンがある環境だったので。中3の頃やっていたキラキラサイトでは、素材屋さんのようなこともやっていました。作ったアイコンや壁紙を公開して「無料で使ってください」って。

久保友香 ガラケーだけでなく、パソコンも活用をしていたのですね!素材公開をするモチベーションは何だったのですか?

荒川佳織 自分が作ったデザインに対して「トップページ可愛いね」というコメントされるのが嬉しかったのと、ランキングが上がることもモチベーションでした。数回、女性素材サイトランキングで1位をとったこともあります。

久保友香 キラキラサイトは、学校の友達とやっていたのですか?

荒川佳織 キラキラサイトは基本的にパソコンでしか見られなく、学校の友達でインターネットをたくさん使っている人はあまりいなかったので、共有はしていませんでした。顔出しをして友達用にガラケーでやっていたのは「前略プロフィール」やケータイのWEBサイトですね!

久保友香 ガラケーのコンテンツではリアル友達と交流し、パソコンのコンテンツではネット上での友達と交流するというように、その頃からいくつかの自分を持っていたのですね!

荒川佳織 確かにそうですね。ネット上で出会った人と文通したりリアルな友達になることはありましたけど。

長田麻衣 ネットの友達と文通…!? 展開がスゴイです!

5 きっかけは!? ネットで知り合った友人と文通

プリクラ1

2回撮影して合成することができるプリが当時のお気に入り!

久保友香 なぜネットで出会った人と、あえて時間もお金もかかる文通をすることになったのですか?

荒川佳織 「プリを交換したい」というのが最初のきっかけでした。ネットで知り合った人に、住所や本名も教えて文通するのって結構ハードルが高いことなので、より仲が深まった感じがしていましたね。

長田麻衣 今の若者も、好きなアーティストが同じ人とSNSで知り合って実際に遊んだりしている子が多いですが、荒川さんは何が通じ合って文通に至ったのですか?

荒川佳織 私も音楽の趣味が合う子とかは、仲良くなると実際に会ったりしましたね。今でも繋がりのある一番仲良くなった子は、境遇が似ていたんです。中高一貫の女子校、そして当時は女子でインターネットを使っている子があまりいなかったので、ネットの世界に興味があるというのも大きな共通点でした。

久保友香 なるほど!今ではみんながネット好きのようなものなので、ネット好きが特殊な共通の趣味になるのってこの頃ならではですね!

6 自己満だけど楽しい♪旅行のフォトブック制作

フォトブック1

フォトブック2

長田麻衣 素材集など作っていた経験から、将来デザイナーに進もうとは思わなかったのですか?

荒川佳織 デザイナーを目指してグラフィックやWEBデザインの勉強をしたこともありました。でも中2の頃からプリのモニターなど、いろいろな会社と商品開発をしていくうちに、マーケティングにも興味が出てきたんです。天秤にかけた結果、大学はマーケティングを学ぶ学部を選びました。

門脇彩 当時やっていたことは、今の仕事にも活きていますか?

荒川佳織 今は広報なので、メインの仕事は少し種類が違いますが、外部で運営しているコミュニティのイベントのバナーや制作物は自分で作っちゃったりしますね。

門脇彩 すごい!

荒川佳織 あと最近は、旦那さんと旅行へ行く度に一眼レフのカメラで写真を撮って、フォトアルバムを作っています。完全に自己満ですが。

久保友香 そういう〆切がない作業って後回しにしてしまいがちななか、きちんと完成させているのはすごいです。

荒川佳織 正直、最近は撮ったら満足して、レイアウトなど旦那さんに丸投げしています(笑)。実は細かい作業が苦手なので、きれいに形にしてくれる人がいるとありがたいんですよね…!旦那さんは設計のお仕事をしているので、使えるんです!

久保友香 いい“スタッフさん”が近くにいるのですね!

荒川佳織 あ、使えるって「ソフトを」ですよ(笑)!

7 飲み行こうと同じ!? プリは最大のコミュニケーションツール

プリクラ2

長田麻衣 今の若者は、デジタルが中心でプリ帳もあまり作っていませんが、その世代の方たちにアドバイスなど伝えたいことはありますか?

荒川佳織 最近フォトアルバムや旅行行ったら動画作ったりしていて、改めて「思い出をまとめること」って記憶にも残るしいいなって思っています。なので、写真などデータ単体としてどんどん残していくのもいいですが、何かしら「まとめること」をオススメしたいですね。

久保友香 プリを撮る目的も「盛る」より、まとめて残す「作品作り」という感じでしょうか。

荒川佳織 そうですね。プリは私にとって「アウトプットツール」でもあり「遊び」でもあり「コミュニケーションツール」でもありました。プリ帳を見せ合うのもそうですが、「プリ撮りに行こう」は大人でいう「飲みに行こう」と同じで、大切なコミュニケーションの一つで。今は完全に「飲みに行こう」ですけど(笑)。

門脇彩 最後に、プリを撮っていた学生時代を振り返ってどうですか?

荒川佳織 学生の頃はプリに時間とお金を相当費やしていて、よくやっていたなって思います。でも、やっていたからこそ将来のやりたいことが見つかった気がするので、すごく重要なことだったのだなと思いますね!

取材風景1

取材風景2

PROFILE プロフィール

久保友香

久保 友香 Yuka Kubo

東京大学大学院博士課程修了(環境学博士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師、東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員など歴任。著書に『「盛り」の誕生―女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』(太田出版、2019)。
好きなものは、ビール、羊羹、芸能ニュース。
今年の目標は、昨年に引き続き、昭和初期を知るおばあちゃんたちとたくさん会うこと。

門脇彩

門脇 彩 Aya Kadowaki

専門学校を卒業後、2017年新卒としてフリュー株式会社に入社。広報として、プリに関する最新情報や魅力を発信中。
好きなものは、旅行、焼肉、ドライブ。
今年の目標は、仕事もプライベートも新しいことに挑戦すること。

長田麻衣

長田 麻衣 Mai Osada

総合マーケティング会社を経て、SHIBUYA109のマーケティング担当となる。
毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
今年の目標はSHIBUYA109 lab.所長として若者に関する講演に講師として登壇すること。そして「大人っぽさ」と「透明感」を兼ね備えた女性になること。

荒川佳織

荒川 佳織Kaori Arakawa

平成元年生まれ。株式会社レアジョブ 広報。
中学時代からのモニターや企業との商品開発などの経験から、“トレンド”を生み出す仕事に興味を持ち、明治大学商学部でマーケティングを専攻。その後、若年層女性向けのマーケティング代理店に入社、ソーシャルゲーム企業の広報を経て、現職。最近はカメラと動画制作にはまる。

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会社概要

会社名 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
TEL 03-3477-6719
FAX 03-3477-6702
本社所在地 〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂1丁目10番7号 五島育英会ビル4階

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