毎回ゲストを迎えて、「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。
第23回のゲストは、1985年生まれの櫻井美穂さん(34)。現在5歳と2歳のお子さんを育てるママ・櫻井さんに、中学高校時代、そしてその後暮らしていた九州時代のプリ事情やファッション事情など、お話を伺いました!
シンデレラテクノロジーを研究
フリュー株式会社・広報
「SHIBUYA109lab.」で所長を務める
プリ帳には、お友達のプリが多いですね!
出身は埼玉で、17歳から九州に住んでいたのですが、埼玉時代の友達とよく手紙のやり取りをしていたんです。その時にプリを送り合っていました。
好きなプリの機種はありましたか?
カーテンのような幕をガラガラって下ろして背景色を変える機種が印象的でした。色はピンクを選ぶことが多かったような。写りも実物より盛れるよう意識していましたね。
盛れるためにお化粧とか工夫していましたか?
私はそこまで意識していなかったんですけど、友達は白飛びしないようにと、少しメイクを濃くはっきりさせていました。
今でも、プリを撮る前にメイクを直す子はいますね!リップやチークなどメイクの中でも目立つところをいつもより少し濃いめにすると、よりプリが盛れるという声をよく聞きます。ちなみに、プリ機自体のらくがき機能にもリップなどのメイクを搭載しているので、撮影後に“盛れ感”を調節することもできますよ!
落書きのこだわりはありましたか?
時間内にどれだけデコれるかが勝負なので、コロコロスタンプを活用していました。周りを囲むだけで派手になるので!
コロコロスタンプは1999年頃に登場したもので、当時はハートやラメなどキラキラ・ゴテゴテとした派手なデザインが人気でした。今は手書き風のスタンプが人気ですね!食べ物や動物をゆるいタッチで描いたオシャレなデザインが多いです。
確かに今の若者の間では手書き風のフォントとかもトレンドになっていますね!
使い方も隙間なく押してデコる!のではなく、人物の周りを小さめのコロコロスタンプで囲んだり、ポイントで2〜3個押してみたりと、さりげないデコが人気です。プリ全体をシンプルに仕上げる傾向にあります。
中高時代、一番熱中していたことは何でしたか?
中学の時は、友達とくだらないことをするのが好きで、高校に入る前くらいからは「付き合う人が一番」という感じでしたね。
確かにカップルプリが多い印象です!
カップルプリを撮る目的は何でしたか?
記念になるというのはもちろんありましたが、友達に彼氏を見せるというのも1つの目的でした。彼氏が年上で、直接彼氏を紹介するっていうのもなかなか難しかったので、友達にはプリを見せて「これが今の彼氏だよ!」って。それで「お、いいじゃん!」って恋バナが盛り上がっていきました。
友達もカップルプリを撮っている人が多かったですか?
そうですね。「この前のプリの人とは別れたよー」とか、やっぱりプリで恋人の顔を共有していると話が早いというか。
確かに恋バナで相手の画があるかないかでは、盛り上がり方が全く違いますもんね!
学生時代は、「写ルンです」とかインスタントカメラでよく写真を撮っていました。
写真に落書きをしたりデコったりしていましたか?
はい、ポスカで落書きをしていました。ただ、写真の整理をした時に、除光液のようなものを薄めて、何枚か落書きを消したことも…(笑)。
えぇ!勿体無い!!
写真をスマホに貯めているデジタル世代は、嫌な思い出を簡単にすぐ消してしまいますけど、その前の世代の人たちは簡単に消せなかったので、良い思い出も嫌な思い出も残っているというのが特徴だと思っていたんですけど、消すこともあったのですね。ちなみに、どういう落書きが嫌だったのですか?
ポスカの色の合わせ方や太さなどの見栄えが、なんだか気に入らなくなっちゃって…。
写真を撮る上でのこだわりはありましたか?
あひる口とかやっていました(笑)!私は丸顔なので、あひる口をするとドペっとなってしまうんですよ。なので、ほっぺの肉をちょっとすぼめながらあひる口するというのがMyルールで、鏡を見てよく練習していました。
初めて買った携帯の機種は何でしたか?
最初は『Tu-Ka』でした。携帯は結構頻繁に変えていましたね。彼氏に折られたことも(笑)!
かの有名な“逆パカ”ですね(笑)!
はい(笑)。新しく携帯を買う時は、新規で買った方が安いということもあって、携帯キャリアを変えることも多かったです。多分全キャリアの携帯を使ったことがあると思います。
選ぶ基準は何でしたか?
同じ携帯キャリアじゃないと、絵文字が使えないんですよね。「、」や「。」、記号、顔文字とかメールがかなり地味になってしまうので、周りの友達に合わせて携帯のキャリアを変えていました。
なるほど!今の若者はSNS等のアプリを通してコミュニケーションを取ることが多いので、友達とお揃いのスマホキャリア!とかは気にしている子はいないですね。
当時の携帯の使い道は、電話やメールですか?
はい、特に友達や彼氏とは、頻繁にメールを送り合っていましたね。メールアドレスもしょっちゅう変えていたので、「メアド変えました」って一斉送信で送って、戻ってきてしまった人に電話してコンタクトをとって、という感じで。
アドレス変更報告…懐かしい!その当時ならではの文化ですね。
彼氏の名前とか記念日をアドレスにしていた人もいたので、メールが送信できず戻ってきたら、「あ、別れたからメアド変えたんだ」って感じとることも(笑)。
当時、どのようなファッションが好きでしたか?
浜崎あゆみのファッションを真似する人が増え始めた時代で、ギャルではなかったのですが、ミニスカにブーツを履いたりしていましたね。一時期、色黒になりたいと思って日サロに行ったこともあったんですけど、肌が赤くなるだけで焼けなかったので、色黒は諦めました(笑)。
参考にしていた人や雑誌はありましたか?
女兄弟がいなかったので、雑誌ですね。中学の頃は『Zipper』、その後は『Popteen』を読んでお化粧とかの勉強をしていました。
洋服はどこで買っていましたか?
遊びに行くときは動きやすいものをラフォーレ原宿で買って、彼氏とのデート用の服はSHIBUYA109で買っていました。
会う人に合わせていたのですね!ちなみに、九州のファッションは東京と違いましたか?
福岡は東京と変わりないと思うのですが、私の住んでいた長崎・佐世保は、米軍基地があるということもあって外国人ウケする洋服屋さんがたくさんありました。ピタっとして露出多めのファッションが流行っていました。
なるほど、首都圏でいうと横須賀のような感じですね!
改めて櫻井さんにとってプリとはどのようなものですか?
その時その時の記録ですね。「痩せた・太った」とか「髪型が短い・長い」とかもプリを見れば一目で分かるし、「この時この友達と仲良くしてたんだな」とか「頻繁に連絡とってプリ交換をしていたんだな」とかも見ればすぐ思い出せます。
プリ帳はよく見返しますか?
これは久々に見ました。時代を感じますね(笑)。
最後に、いまの時代を生きる若者にメッセージをお願いします!
学生当時、私は人に流されるタイプだったので、"自分"というものがあまりない時代だったように思います。ぜひ自分の信念というか趣味や好きなこと、自分がやりたいことをやって後悔しないような青春時代を過ごして欲しいですね。
東京大学大学院博士課程修了(環境学博士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師、東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員など歴任。著書に『「盛り」の誕生―女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』(太田出版、2019)。
好きなものは、ビール、羊羹、芸能ニュース。
今年の目標は、昨年に引き続き、昭和初期を知るおばあちゃんたちとたくさん会うこと。
専門学校を卒業後、2017年新卒としてフリュー株式会社に入社。広報として、プリに関する最新情報や魅力を発信中。
好きなものは、旅行、焼肉、ドライブ。
今年の目標は、仕事もプライベートも新しいことに挑戦すること。
総合マーケティング会社を経て、SHIBUYA109のマーケティング担当となる。
毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
今年の目標はSHIBUYA109 lab.所長として若者に関する講演に講師として登壇すること。そして「大人っぽさ」と「透明感」を兼ね備えた女性になること。
34歳、専業主婦で2児の母。たまにお手伝いで飲食店に勤務。
料理が好きなので、食べ歩きは勿論、家で料理を作ったものを写真に撮ってSNSなどに投稿。たまーにお料理を教える事も。将来は自分のお店を開くことが目標。
会社名 | 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント |
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