株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキューラボ)』は、選挙権がある18歳以上の大学生などを対象に、「Z世代の政治に関する意識調査」を行いました。
SHIBUYA109 lab.のこれまでの調査では、Z世代は社会課題に関心が高い事がわかっています。では、政治に対する関心も同じように高いのでしょうか。10月に衆議院選挙も予定されている中、若者の投票率が課題と取り上げられることが多いですが、当事者であるZ世代にはどのように映っているのか調査しました。
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【調査方法】
①WEB調査
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用
調査期間:2021年7月
居住地:東京都
性別:男女
年齢:18~24歳
対象:大学生・短大・専門学校生
回答者数:400名(男性200名/女性200名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件: 大学生 男子4名、女子4名 2G 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
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まず、今後の選挙での投票意向について聞いたところ、「必ず投票すると思う(45.8%)」、「投票したいがまだわからない(日時や場所による)(32.0%)」と、約8割のZ世代に投票意向があることがわかりました。
政治に関して興味があることを聞くと、「新型コロナウイルス・感染症対策(50.3%)」、「税制度(消費税など)(34.3%)」と続き、Z世代の生活にも直結する感染症対策や税制度に対する関心が高いことがわかりました。女性は「LGBTQ関連政策」「子育て支援」「女性の活躍」が全体よりも高い結果となりました。
グループインタビューでは、「コロナ禍で、大学生活に大きな影響が出ている。ワクチン接種についても正しい情報がわからず、不安だ。(男子大学生)」といったコロナ禍の生活への政府対応に対する不満が多く上がりました。また、「コロナ禍以前から政治に注目しており、特にLGBTQやジェンダー問題に興味がある。最近もニュースに取り上げられることが多いが、前代表が女性蔑視発言をしたから後任に女性の代表を置くなどは、本質的な解決になっていないように思える。本質的な課題解決を望む。(女子大学生)」といったコロナ禍以外のLGBTQやジェンダーなどの社会課題に対する話題も上がりました。
政治への関心度が高いことがわかったZ世代ですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
政治に興味を持ったきっかけを聞くと、1位「テレビ(42.9%)」、2位「授業(36.7%)」、3位「コロナ禍での政府の対応(30.6%)」となり、昨今のコロナ禍における政府の対応をきっかけに、政治に興味を持ったという回答も見られました。男性は「Twitter(31.5%)」、「動画配信サービス(16.0%)」と、SNSで話題になったこともきっかけの1つとなっているようです。
グループインタビューでは、「コロナ禍によって政府の有事における対応がわかり、自分への影響度も高いため、政治に対する関心が高まった。ニュースでも日々取り上げられるので、情報の接触頻度も増えた。(女子大学生)」、「TikTokで政治に関する動画を見て、そこから関連動画で政治に関する動画が多く表示されるようになった。TikTokで投稿している人が動画配信サービスでも投稿していたので、そちらも視聴するようになった。(男子大学生)」などの声が聞かれ、自身の生活への影響度や情報の接触頻度の増加により、政治への興味度合いが高まっているようです。
次に、政治に関する課題を聞いたところ、1位は「若者の投票率が低い(39.8%)」となりました。Z世代自身も若者の投票率が低いことに課題を感じているようです。他には「自分が投票したことで、政治が変わった実感がない(34.0%)」、「応援したい政治家や政党がいない(33.5%)」、「若者向けの政策がない(32.3%)」など自分事化しにくい点が上げられました。
グループインタビューでは、「若者も政治も、双方の歩み寄りが足りないから、若者が投票に行かないと思う。若者向けの政策も少ないが、若者の投票率が低いから政治家も投票してくれる人向けの政策になってしまう。若者も政治家もお互いに意見交換が出来たら良い。例えば、マニフェストの中に“ここは若者から調査をして話を聞いて作った”など、自分たちが政治を動かしている感覚を掴めると良い。(男子大学生)」、「アメリカ大統領選は日本でも盛り上がるし、友達との話題にも上がる。投票者がお酒を飲みながら、お互いに気軽に意見を言い合える雰囲気がある。日本はイベント感もなく重い話題になり、周りとも話しにくいから投票率が低くなる気がする。(女子大学生)」といった声が聞かれ、若者と政治の距離感が課題となっていることがわかります。
一方、若者が政治に興味を持つために必要だと思うことを聞いたところ、「ネット投票(38.0%)」、「選挙の投票をしたらもらえるクーポンや割引(27.5%)」と、まずは投票のしやすさや、“若者が選挙に参加するきっかけ作り”を望む声が聞かれました。また、「同年代の人たちとの意見交換の場(25.0%)」、「政治家からのSNS発信(24.3%)」、「芸能人・インフルエンサーからのSNS発信(24.3%)」といった、同年代や政治家、芸能人・インフルエンサーなど、様々な目線からの政治に対する意見を知る機会を持ちたいといった声も聞かれました。
グループインタビューでは、「住民票を実家から移しておらず、投票所に行けず選挙に参加できなかった。ネット投票であれば、場所関係なく投票出来るので、投票がしやすくなると思う。(男子大学生)」、「投票に行くとポイントや割引がもらえる制度を利用したことがある。投票するきっかけになるのでよいと思うが、投票をする際はしっかりと調べて自分の意志を持って参加して欲しい。(女子大学生)」といった意見もありました。投票という手段が目的となることは避けるべきではありますが、まずは投票するという行動のきっかけ作りも重要なのかもしれません。
次に、政治に関する情報収集方法を聞きました。まず、普段の政治に関する情報収集方法は、「テレビ(60.5%)」、「ニュースサイト・アプリ(48.3%)」、「Twitter(43.3%)」という結果となりました。
グループインタビューでは、「ニュースアプリでは自分が気になるニュースをチェックしている。Twitterは友達なども気になっているニュースがわかり、テレビは自分が興味ないものも知ることが出来るので見ている。(男子大学生)」と、それぞれの媒体の特徴を理解しながら、日々のニュースを見ているようです。
また、選挙の際に投票するための情報収集でも、「テレビ(29.3%)」が1位となりました。次いで「候補者のポスター(25.0%)」、「候補者からのチラシ(24.3%)」など、候補者個人からの正式な発信を参考にしていることが分かりました。SNSでは、「Twitter(18.0%)」となり、普段から政治に関する情報収集もしているTwitterを、投票する際も参考にしている人が見られました。
グループインタビューでは、「Twitterで候補者の公約まとめ投稿を見て、そこから候補者を絞り、詳細は各候補者のHPなどを見て決めている。(男子大学生)」、「Instagramのストーリーズでも候補者の公約まとめが回ってくるので、それを参考にしている。(女子大学生)」といった声が聞かれ、SNSでのまとめ投稿を参考にしているといった声が多く聞かれました。
また、「投票した後は、Instagramのストーリーズで投票したことをシェアしている。(女子大学生)」と自分の選挙への参加姿勢をシェアする実態も見られました。
インターネットやSNSの情報を参考にするZ世代ですが、情報の信ぴょう性についてはどのように考えているのでしょうか。インターネット上での情報信ぴょう性の判断方法について聞いたところ、「特に確認はしない」という回答は21.8%にとどまり、約80%が情報の信ぴょう性を確認していることがわかりました。判断方法は、「発信者を確認する(55.0%)」、「同じ事象に対して発信している他の投稿を見る(36.8%)」、「個人ではなく、テレビやニュースの情報を調べる(30.0%)」などが上がり、「誰が」発信しているのかを重視している傾向にあるようです。
グループインタビューでは、「Twitterの投稿信ぴょう性を判断する場合は、①いいね数、②リツイート数、③コメントの内容で判断をしている。他の人の反応を見ることで、その投稿に対する賛否がわかるので、参考にしている。(女子大学生)」といった声が聞かれました。匿名性のあるSNSでは、周りの反応も一緒に確認することで、信ぴょう性を判断しているようです。
では、Z世代はどのように選挙で投票する先を決めているのでしょうか。
投票する際の重視点を聞いたところ、「候補者の公約・マニフェスト(34.5%)」が最も高く、次いで「政党の公約・マニフェスト(26.8%)」となり、政党よりも個人を重視していることが明らかになりました。
グループインタビューでも、「政党よりも、まずは政治家個人に注目しているため、個人の公約・マニフェストを重視している。"政党の中の候補者"というよりは、"候補者が所属している政党"という見方をしている。(女子大学生)」といった声が聞かれました。
次に、政治家から知りたい情報を聞いたところ、「自身の公約・マニフェスト(47.3%)」、「自身の公約・マニフェストの背景や理由(39.5%)」、「自身の公約・マニフェストの進捗状況(36.5%)」と、公約・マニフェストだけではなく、その背景や理由、その後の進捗状況について、候補者自身の言葉で発信して欲しいようです。
グループインタビューでも、「公約・マニフェストはよくテレビやSNSのまとめ投稿などでも見ることが多いが、その公約・マニフェストを掲げている理由や背景がわからないことがある。また、選挙当選した後に掲げた公約・マニフェストが今どうなっているのかわからないこともある。誰に投票するかを決める際も、過去の実績も参考にしたいし、自身の公約・マニフェストの背景や進捗状況も発信してくれた方が、誠実さも伝わり、応援したくなる。(女子大学生)」といった声が聞かれました。
次いで、政治家からどのように情報発信をして欲しいか聞いたところ、「Twitter(50.0%)」、「テレビ(39.0%)」、「動画配信サービス(31.8%)」となりました。
グループインタビューでは、「Twitterは140字以内という制限があるので、短くわかりやすく伝えられる。テレビは影響力も大きいので、多くの人に伝えられる。しかし、テレビ番組の都合でカットされてしまうことも多いので、動画配信サービスを通して政治家自身の言葉で伝えたいことを伝えて欲しい。短尺の方が見やすいが、興味を持った後は長尺の動画も見ると思う。(男子大学生)」と、Z世代がよく見るSNSなども活用しながら、政治家が自身の言葉を届けて欲しいといった声が聞かれました。政治家もZ世代のフィールドであるSNSで発信することで、若者も政治家をより身近に知ることが出来、双方の歩み寄りが期待出来るかもしれません。
10月に衆議院選挙も控えている中、Z世代の政治に関する意識を調査しましたが、世間でも選挙のたびに注目が集まる「若者の投票率」について、当事者である彼らも課題に感じている実態がみられました。また政党よりも候補者・政治家個人の活動について詳細に知りたいという声が多く上がっているのも、Z世代の特徴といえます。彼らの消費行動の1つとして、共感できる人や物を応援する「応援消費」があげられますが、応援対象に求められていることは「結果」ではなく「過程」と「ストーリー」です。
自分たちの国や市区町村を代表するリーダーを選ぶ選挙においても同様に重視されており、公約を掲げた背景や公約達成に向けた活動の過程を共有したり、様々な社会課題に対する候補者のスタンスの表明がされることを求めています。そして、その情報が彼らの生活の中心となっているSNSで共有されることで、政治や候補者がより身近な存在となり、「政治」と「若者」双方の歩み寄りを加速させることができるのではないでしょうか。
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