私たちSHIBUYA109 lab.は、2018年より15-24歳(=around20)の若者を対象に、様々なテーマで定量・定性調査分析を行ってまいりました。「SHIBUYA109 lab.変遷レポート」では、これまでの調査結果を改めて再編集し、若者の消費の変遷としてお伝えいたします。
今回のテーマは「ファッション・コスメ」。SHIBUYA109 lab.トレンド大賞でも初回から取り上げているテーマであり、変遷レポートでも、注目すべき傾向を複数お伝えしてきました。こちらの記事では、さらにファッション・コスメ領域に特化した、トレンドの変遷についてご紹介します。
まずおさえておきたいのは、2020年代前後から、遊びに行く場所や一緒に遊ぶ人の世界観に合わせられるように、ファッション・コスメも複数のテイストを使い分けながら楽しむようになっていることです。
SNSで日常を投稿することが当たり前になると共に、若者世代にとって、その場を切り取った写真の “世界観”は重要になっており、2020年以降、ファッション・コスメは、写真の世界観を構成するアイテムの一つとして捉えられていると考えられます。
まず、若者がファッションやコスメを「世界観」で捉えられている事例として、トレンド大賞にランクインする言葉にも、複数 “世界観” を意味する言葉が登場しています。
コスメに関しても、「白湯メイク」「甜妹(てんめい)メイク」など、毎年世界観を表現するキーワードがランクインしています。
2023年の調査でも、理想とする美について、「(理想像として)特定の人はいないが、なんとなく理想の系統がある」「理想の人に雰囲気などを近づけたい」という回答が最も多くなるなど、自分の理想の姿を実現することにおいて、雰囲気・世界観が重視されているのが見て取れます。
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https://shibuya109lab.jp/article/230518.html
さらに、若者世代は、自分が纏う「世界観」をその日によって変えていることもわかっています。
以前は、「赤文字系」「森ガール」など、自分のファッションのテイストとアイデンティティが結びついており、どこに行くにも誰と遊ぶにも、固定のファッションテイストから変わらない印象でしたが、現在は、その日楽しむ場所やアクティビティが持つ世界観に合わせて、テイストをコロコロ変えながら、ファッション・コスメを楽しんでいるのです。
2021年の調査では、「あなたのファッションテイストを教えて下さい」という質問に対し、3つ以上のテイストを選んだ回答者の割合が、男性は28.2%、女性は44.2%となりました。
グループインタビューでは、「相手の服装に合わせることが多い。女子がいるときに全部モード系で決めると引かれそうなのでシンプルめのコーデにする。逆におしゃれな男友達と買い物に行くときは自分の中でもお気に入りの攻めたコーデをする。(男子大学生)」、「友達と遊ぶ場所が決まったら、事前にどんなコーデにするか相談する。例えば、カフェだから淡色コーデ(ベージュなど淡い色でまとめたコーデ)にしようみたいな感じ。似たコーデの方が仲良く見えるし、写真を撮った時も場所とコーデが合うと統一感が出て良い。(女子大学生)」といった声が聞かれました。
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https://shibuya109lab.jp/article/210914.html
現代の若者世代は、ファッションやコスメを世界観で捉えながら、複数の世界観を行き来して、オシャレを楽しんでいると言えるでしょう。
ファッションやコスメを世界観消費していることと共に、若者世代の消費活動について特徴的なのが、あらかじめ “自分に似合うか” を「診断」で知っておき、その知識を消費活動に活かしていることです。
これは、若者世代の消費活動における重要キーワードの一つでもある「失敗したくない消費」が影響していると考えられます。情報収集を入念に行い、決して失敗しないように消費したい。その賢い消費をサポートするのが、自分を知る手助けをしてくれる「診断」なのです。
SHIBUYA109 lab.トレンド大賞でも、2021年の予測には「骨格診断」がノミネートし、2022年体験部門にも「MBTI診断」「顔タイプ診断」がランクイン。その他に「パーソナルカラー診断」なども人気で、今やファッションやコスメを語るうえで、「イエベ/ブルベ」「骨格ストレート/骨格ウェーブ/骨格ナチュラル」などといった診断結果のワードは欠かせなくなっています。個人だけではなく、ファッション・コスメメーカーも使用するほど当たり前になっているのです。
まずは「診断」で自分を知る。そしてその診断結果にあった情報収集を行い、消費行動に至る。そういった行動パターンが当たり前になってきています。
※各種診断について詳しくはこちら:
https://shibuya109lab.jp/article/230518.html
診断だけではなく、“自分に近い属性を探り当て、情報収集を行う” という意識は強く、インフルエンサーの投稿を見る際の意識にも影響を与えています。2022年のグループインタビューでは、「よく見るインフルエンサーは自分と年齢が近いので同じような肌悩みも多く(中略)信頼している。(女子大生)」という声が聞かれたり、2023年の調査では、美容に関する情報を参考にする基準として「自分と肌質や肌色が似ている」という点が32.3%で上位に挙がったりしていました。
※詳しくはこちら:
https://shibuya109lab.jp/article/220118.html
※詳しくはこちら:
https://shibuya109lab.jp/article/230518.html
トレンドを追いかけながら、一方で冷静に「それが自分に合ったものなのか」を判断する。現代の若者は、世の中で流行っているトレンドなどといった「みんな軸」と、自分に似合うかどうかといった「自分軸」の2つを常に意識しながら消費していると言えるでしょう。
SNSの投稿、店舗の商品、口コミなど、現代の若者が認知してから消費に至るまでには大量の情報に触れています。ファッション・コスメにおいて、どのような体験を経て、若者の感情が変化し、消費に至っているかは、有料レポートにて解説しています。是非ご覧ください。
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