SHIBUYA109 lab.

SHIBUYA109 lab. 変遷レポート 推し活編

私たちSHIBUYA109 lab.は、2018年より15-24歳の若者を対象に、様々なテーマで定量・定性調査分析を行ってまいりました。「SHIBUYA109 lab.変遷レポート」では、これまでの調査結果を改めて再編集し、若者の消費の変遷としてお伝えいたします。

今回のテーマは「推し活」。
時代とともに変化してきた推し活のトレンドについてご紹介します。

SHIBUYA109 lab. メンズトレンド大賞2024

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INDEX 目次

1 現代の消費活動において当たり前かつ重要な
「推し活」

2021年には「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートもされた「推し活」。2022年のSHIBUYA109 lab.の調査でも、8割以上の若者(=around20)に「推しがいる」ことがわかりました。

SHIBUYA109 lab.が「推し活」について初めて調査を発表したのは2018年。
当時から7割近くの若者が何かしらのヲタであると自覚しています。

2018年 SHIBUYA109 lab. 「推し活」調査

2022年 SHIBUYA109 lab. 「推し活」調査

2019年の調査では、「推し活」への支出額が年間150,000円にものぼることがわかり、若者にとって「推し活」は当たり前になるだけではなく、消費活動の中で大きな支出先になっていることがわかります。

年間消費金額

SHIBUYA109 lab.では2018年から若者の消費行動を整理し、4つのKeywordにまとめてきましたが、そのKeywordにも大きく「推し活」が関わります。「推し」を含む他者を応援したい気持ちが生む「応援消費」、普段は節制し「推し活」など自分が価値を感じるものだけにお金と時間を投資する「メリハリ消費」が最もわかりやすいでしょう。
さらに、2022年からSHIBUYA109 lab.が提唱している「界隈消費」では、「推し」を軸にしたクラスタも多く、推している対象ごとに文化の異なる小さな消費圏が次々生まれています。

Z世代の消費行動におけるキーワード

界隈消費

また、SHIBUYA109でも、推し活消費を軸にPOPUP STOREや商品などを複数企画してまいりました。SHIBUYA109のエンタテイメントポップアップスペース『DISP!!!』では、コンテンツによって多くのZ世代が来場し行列ができることも多く「推し活」への理解が、若者の心を掴む上で大きな助けになることを実感しています。

推し活実態

【事例】2020-2021年 Hotel Mei SHIBUYA109 lab. × teens laboコラボ企画 「10代20代向けホテルプラン」

【事例】2023年 NEWT × SHIBUYA109 lab. Z世代向け「#청춘推し旅プラン」

2 推し活市場の変遷

推し活市場についてまずお伝えしたいのは、「推し活」によって生み出される行動は、消費活動だけにとどまらないということです。2022年の調査では、推し活を始めて聴く音楽が変わったという意見のほか、グループインタビューでは、「推しに関連する会社に入りたい。中学受験は嫌だったけど、その会社に入るために偏差値の高い学校に行きたくて努力した」「韓国語と中国語の勉強をはじめ、将来は通訳にも興味がある」などのキャリアに関連する意見も聞かれました。「推し」への思いが、様々な行動のモチベーションになっていることがわかります。

推し活の熱量は様々な消費のモチベーションに

Q.推しの影響を受けて、変化したことや始めたことを全て教えてください。(複数選択)

(詳しくはこちら:https://shibuya109lab.jp/article/220712.html)

一方で、推し活にまつわる消費行動の変遷を時代ごとに追っていくと、その楽しみ方にも変化が見られます。SHIBUYA109 lab.はその変化の中でも、どのようなアイテムを購入・消費しているかに注目しました。

推し活市場が成熟。推しからわかるZ世代の頑張ってるマインド

その結果、「公式が発売しているグッズを購入する」ところから「自分たちがグッズを創作する」流れをたどっていることが明らかになりました。
現在では、そのヲタクたちの創作を公式がサポートするような商品も多数生まれています。

推し活における創作が盛り上がり始めたきっかけはコロナ禍にありました。ライブ参加などの推し活が制限される中、自分の推しを表現するアイテムを自作する流れが生まれ、2021年・2022年のSHIBUYA109 lab.トレンド大賞のヲタ活部門では『推しグラス(2021年1位)』『センイルケーキ(2022年 第二位)』『硬質ケースデコ(2022年1位)』『カンペうちわ(2022年2位)』『ペンラデコ(2022年3位)』がランクインしました。

SHIBUYA109 lab.トレンド大賞:ヲタ活部門

創作推し活には、「作る過程も楽しめること(体験ごと楽しめる=体験消費)」や「モデルとなるものを再現しつつオリジナリティを出せる余白がある(再現消費)」などの特徴があり、それらが若者に楽しまれていると考えられます。

(※再現消費についてはこちら:https://shibuya109lab.jp/article/report_241024.html)

創作推し活は多岐にわたります。"推しに応援の気持ちを表明するアイテム(うちわなど)"だけではなく"推しとの時間を作り出すためのアイテム(推しドリンク、推しとカフェ巡り)""推しを身近なアイテムとして身につけ推しをさりげなく表明するためのアイテム(推しネイル、硬質ケースデコ、推しポーチ)"など、その背景にある思いも多様です。

創作推し活が非日常から日常に拡大

2024年現在よく見られる創作推し活

推し活消費事例

推し活消費事例

創作推し活が当たり前になると、ヲタクの創作を公式(企業)がサポートする動きが見られるようになりました。多様なカラーを取り揃え、推しのメンカラ(メンバーカラー)を表現できるようになっている商品や、誕生日など推しのアイデンティティに合わせてカスタムできる商品、文字やイラストなどを自由にデザインできる商品などが登場しています。いずれも、自分の推しに合わせて「カスタムできる余白」を楽しめるようになっているのがポイントです。

推し活消費事例

また、2023年には、SHIBUYA109 lab.のトレンド大賞 体験部門にて『オシャレ魔女ラブandベリー オシャレまほうカフェ』が第4位にランクイン。『たべっ子どうぶつLAND』『ビバ~マツケンサンバⅡワールドカフェ~オレ!』など、推し活の対象となるキャラクターや人物などとカフェがコラボする「コラボカフェ」が、コロナ禍が明けた頃から盛り上がりを見せています。

推し活消費事例

2021年のSHIBUYA109 lab.のトレンド大賞ヲタ活部門 第4位にランクインしていた「推しとカフェ巡り」は、普通のカフェにアクリルスタンドなどの推し活グッズを持ち込み、推しとの時間を作り出すものでしたが、公式(企業)がサポートすることによって、カフェ自体が推しをテーマにした空間となり、より一層「推しとカフェ巡り」に適した場所へと進化していることがわかります。

3 「衣食住推」日常と推し活は
 シームレスにつながり、「常時推し活」が可能に

8割以上の若者が「推し」がいる時代、「推し活」と「日常」の境界線は曖昧になっています。あるいは、日常の中にも「推し」を感じる時間を取り入れることが多くの人にとって癒しとして浸透しているとも言えるかもしれません。

SHIBUYA109 lab.のトレンド大賞に入っていた『アフタヌーンティー(2022年 体験部門 第5位)』『おしゃピク(2021年 体験部門 第2位)』『ホテル女子会・ホカンス(2021年 体験部門 第3位)』なども、推し活する場として当たり前のように活用されています。今や、推し活は非日常ではなく、ヲタクは特別な界隈でもありません。あくまで誰もが体験する日常として、現代の推し活は存在しています。

推し活消費事例

推し活が当たり前になったことから、日用品と「推し」のコラボも増え、一方で推し活グッズを日常で活用する事例も増えています。2022年の調査では、推し活がきっかけで購入した商品のほとんどが日用品になっています。近年では「メンカラ(メンバーカラー)」など、推しの表現方法も多様化。それにより、推し活グッズも日常で使いやすいよう進化していると言えるでしょう。若者世代にとって推し活は、「衣食住"推"」とも言えるほど、もはや日常に溶け込み、欠かせないものになっているのです。
(詳しくはこちら:https://shibuya109lab.jp/article/220712.html )

Q.あなたは公式グッズを日常でも使用していますか。

Q.公式のグッズやライブ以外に、ヲタ活や推しがきっかけでお金を使ったことがあるものを教えてください。(複数回答)

これがヲタ活MIXコーデ!!

4 推し活のコミュニケーション
‐推し活安全圏で閲覧&発信

最後に「推し活」とコミュニケーションについて取り上げます。2022年の調査の結果、約7割以上の若者がSNSで推し活について投稿しています。しかし、推し活においてもSNSは「使い分け」が当たり前。SNS編でも取り上げたように、ゾーニングをしながら投稿することで、ストレス負荷を下げながらコミュニケーションしているといえるでしょう。

Q.あなたはヲタ活をどのSNSで投稿していますか。(複数回答)

(詳しくはこちら:https://shibuya109lab.jp/article/220712.html)

ゾーニングされた「界隈」の中では、推しに関する情報収集や発信された動画などを見ている他、ヲタ友をつくることも積極的に行われています。2021年の調査では、推し活を一緒に楽しんでいる人として「SNSで知り合った友達」が約25%となり学校やアルバイト先の友達に次いで二番目に多くなりました。

つながるきっかけになるのはハッシュタグ。ハッシュタグを通じて投稿を見つけ合い、投稿を元にその人の人となりを理解しながら距離を近づけていくようです。グッズ交換なども積極的に行われています。

Q.あなたが現在行っているヲタ活を教えてください。(複数回答)

Q.あなたがヲタ活を一緒に楽しんでいる人を教えてください。(複数回答)

SNSでヲタ友を作る流れ

推し活実態

また、2022年の調査によると、頻繁に編集する動画のジャンルとして、「友達との思い出」の次に「推し活動画」が多くなっており、SNSにおいても「創作」が行われていることがわかります。また、芸能人にまつわる発信は、一般人から行われるのも当たり前になっており、重要な情報発信源になっているともいえるでしょう。

Q.動画ジャンルについてあなたにあてはまるものを教えてください。[複数回答]

Q.あなたが現在行っているヲタ活を教えてください。(複数回答)

(詳しくはこちら:https://shibuya109lab.jp/article/220818.html)
(詳しくはこちら:https://shibuya109lab.jp/article/210713.html)

会社概要

会社名 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
TEL 03-3477-6723
FAX 03-3496-1875
本社所在地 〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂2丁目6番17号 渋東シネタワー14階

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